
日本酒好きは要チェック!清酒発祥の地・奈良で酒造巡りをしよう
日本酒といったらお酒好きもそうでない方もまず思い浮かべるのが米どころ・新潟ですよね。では、そのはじまりはというと…実は奈良発祥って知ってましたか?(諸説あります)厳密にいうと現在のような透明度の高い澄んだ清酒の発祥地として知られているんです。今回はそんな清酒発祥の地・奈良の美味しい地酒を作る酒造をご紹介します。利き酒体験や酒蔵見学が楽しめる酒造を厳選しました。
2017年09月11日
正暦寺には石碑が!
正暦寺には「日本清酒発祥之地」の石碑が。現在でも、大事な年中行事として「菩提酛(ぼだいもと)清酒祭」が毎年1月に行われ、正暦寺の境内で酒母の仕込みが行われています。仕込んだ酒母を奈良県内の蔵元が持ち帰り、各々がその酒母を用いて清酒を醸造しているんです。
奈良の酒造に出かけよう!
そんな清酒発祥の地・奈良には美味しい地酒をつくる小さな酒蔵がたくさん。今回は酒蔵見学や利き酒体験ができる酒造を紹介します。時期や酒造によっては酒造りの作業をしているところが見られたりと、日本酒ファンにとっても貴重な体験ができますよ。
※見学内容や時期等は変更となる可能性があります。詳しくは各酒造まで確認してみてくださいね。
①今西酒造(桜井市)
今西酒造は江戸時代1660年の創業で、文楽の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」の舞台にもなった歴史ある酒造です。酒の神・大神(おおみわ)神社のお膝元である奈良県桜井市三輪にあります。JR三輪駅から徒歩5分ほどです。こちらの酒造では、利き酒を楽しむことができます。通年を通して酒蔵見学も実施していましたが、残念ながら現在は酒蔵改修中のため利き酒のみとなります。(再開日未発表:2017年9月時点)
主要銘柄は「三諸杉(みむろすぎ)」と「鬼ごのみ」。ただ辛いだけで終わるような辛口酒ではなく、しっかりと米の旨みを感じる「三諸杉 辛口純米 切辛」など食中酒をつくっています。酒米は奈良県に古来から伝わり幻と呼ばれる露葉風(つゆはかぜ)や正統派の山田錦など地元三輪でとれたものを使用。仕込水は三輪山の御神水である狭井神社の薬井戸と同じ水脈のものを使っています。
利き酒体験は前日までに要予約で有料です。築120年の本屋・実際に酒造りをしている築170年の酒蔵を横目にくいっと一杯。利き酒の方法や日本酒の裏ラベル表示の見方なども教えてもらいましょう。お土産に「酒造りワークシート」と利き酒に使ったお猪口(ちょこ)がもらえます。
②梅乃宿酒造(葛城市)
銘柄は梅乃宿・山風香(さんぷうか)・アンフィルタードサケ、など。山田錦・備前雄町・奈良県産ひのひかりなど多様で蔵平均55%という高精米の酒米を原料にし、仕込水は葛城山系の伏流水を使っています。味のある酒・心地よい余韻を残す酒を目指して手間ひまを惜しまない製法にこだわっています。
昨晩から奈良県の梅乃宿酒造さんに懇親会を兼ねての蔵見学へ行ってきました。
— 井上酒店 三代目 (@inoue_saketen) 2014年3月2日
蔵は朝早くから備前雄町の蒸しが行われてました。今年もいい酒がドンドン上がってますよ!梅乃宿酒造さんの日本酒ご期待くださいね!新酒もゾクゾク入荷中です! pic.twitter.com/eyyVlzF3kS
蔵の見学・利き酒体験は事前に要予約で有料です。所要時間は1時間半から2時間ほど。案内してもらえるのは清酒蔵で、タブレットを使用して日本酒の製造行程をスタッフに詳しく解説してもらえます。見学の後は利き酒タイム。お猪口などお土産をもらえるのも嬉しいですね。
梅乃宿酒造の詳細情報
③喜多酒造(橿原市)
喜多酒造は江戸時代1718年の創業で、大和三山に囲まれた奈良県橿原市にあります。近鉄畝傍御陵前(うねびごりょうまえ)駅から徒歩10分ほど。現在の社長・喜多氏は東京農大を卒業後、醸造研究所や福井の黒龍酒造で酒造りを学ぶなど研究熱心で、美味しいお酒をつくるべく日々に酒造りに取り組み、地元から愛されている小さな酒造です。こちらでは通年を通して蔵内の見学や利き酒体験が楽しめます。
銘柄は御代菊(みよきく)・白檮(はくじゅ)・あすか川、など。初代・喜多利兵衞(きたりへえ)は水と米を選りすぐり納得いくまで酒屋として旗揚げしなかったこだわり者だったそう。その創業者の意思を受け継ぎ、造り手の思いが飲む人の心に伝わるお酒を造っています。
蔵の見学・利き酒体験は要予約で有料です。予約時に日程を相談してみてくださいね。利き酒はマッチングゲーム方式。蔵おすすめの5種類のお酒の利き当てをして、満点なら賞品があるかも?蔵見学のお土産には本醸造酒・御代菊300mlが付いています。
④上田酒造(生駒市)
上田酒造は室町時代1558年創業で、生駒山の麓・奈良県生駒市壱分町にあります。近鉄一分駅から徒歩5分ほどです。400年の伝統を受け継ぎ地元に愛されている日本酒を大切にしながら、新しい取り組みも始め近年は完全無農薬有機米を使用した「嬉長」有機純米酒を発売しました。こちらの蔵では例年2月~3月に酒蔵見学ができます。
銘柄は生長(せいちょう)と嬉長(きちょう)。「生駒の長でありたい」と「嬉しいことが長く続くように」との願いが込められています。代々の杜氏による知恵と勘で磨かれ受け継がれてきた技術と生駒山系の仕込水・良質の酒米を使って品質本位の日本酒を丹念に造り続けています。
⑤美吉野醸造株式会社(吉野町)
美吉野醸造は明治時代1912年創業で、桜で有名な吉野山をはじめとする大峰山脈に囲まれた奈良県吉野町にあります。近鉄六田駅から徒歩15分ほどです。日本酒が本来持っている酸味や旨味をバランスよく引き出し、料理の邪魔をしない香りのある日本酒造りを目指しています。こちらの酒造でも、例年冬の時期に酒造見学を実施しています。(2017年は1月実施ですが2018年実施時期は未定)
銘柄は花巴・はなともえ・弓絃葉(ゆずりは)など。酒米は地元農家との連携を進め、奈良県ではじめて作付した酒米「吟のさと」を中心に約80%は奈良県内産酒米を使用しています。仕込水は「弓絃葉の井戸」と伝わる井戸から湧き出る大峰山系の伏流水です。「花巴」はしっかりとした米の旨みに加え、酸度の高さが魅力のお酒です。味わい深い一杯に仕上がっています。
昨日は花巴の蔵見学に行ってきました!
— サケとスミビとロシュタン (@roshutan) 2014年2月18日
去年より色々と蔵の中が変わってました。花巴元年!より一層美味しいお酒が出来そうですね!
近日中にマル秘熟成生原酒が入荷しまーす。 pic.twitter.com/hEuPWXxcf6
蔵の見学は仕込みの時期の合間を縫って行われます。2017年には利き酒体験がついた見学が実施され、さらに過去を遡ると世界に一つだけのラベル作成+ラベル貼りや酒粕の袋詰め放題など有料体験があったりと、見学時の内容は実施年によって変わります。
美吉野醸造の詳細情報
⑥今西清兵衛商店(奈良市)
近鉄奈良駅から徒歩20分、ならまちの一角・奈良県奈良市福智院町にある「今西清兵衛商店」。創業は1914年と他の酒造と比べると、少し歴史が浅いように感じるかもしれませんが、創業一族である今西家は代々春日大社の神官をつとめ、春日大社の酒殿で神酒を造っていた由緒ある家柄で非常に歴史のある酒造なんです。こちらの蔵では味・コク・香りすべての点で先進技術と高品質を誇った「南都諸白」の伝統を現在に伝える酒造りをしています。
銘柄は春鹿・白滴(はくてき)など。山田錦・五百万石などの酒米を磨きこみ、仕込水には奈良県では珍しい硬水の春日山系湧水を使用しています。「春鹿」のようなコクがありながらもキレが良い日本酒は、甘みのある日本酒が多い奈良では珍しいタイプのお酒です。
そんな蔵の見学は2月の土・日曜日に行われ、事前に予約が必要です。酒蔵見学とは別に、併設の酒蔵ショップでは専用グラスを購入すると5杯まで試飲ができます。季節によってグラスの色も、試飲できるお酒も変わるので、季節が変わるたびに訪れたくなってしまいます。スタッフが銘柄によって異なる日本酒の味わいなど詳しく説明してくれます。