これぞ本場の味！飲茶好きがおすすめする東京＆横浜の飲茶の名店6選

中国の広東地方、とくに香港やマカオを中心に定着している伝統的な食習慣で、「お茶」を飲みながら「点心」を食べることを「飲茶」と呼びます。そもそもは唐の時代にまでさかのぼる食習慣で、ナッツや菓子とともにお茶を飲むことを指していました。今でもこのようなかたちでお茶を飲む習慣は中華圏の一部に残っています。

一方、点心は、中華料理における軽食を指します。菜（主菜）と湯（スープ）以外はすべて点心です。本来は食事と食事の間に食べるものですが、中華圏では朝食はこの点心だけで済ますことが多いようです。点心は概して味が濃く、中国茶との相性が良いとされています。本場ではあくまでお茶といただくものであって、合わせるお茶もさまざまです。香港ではプーアール茶、鉄観音、菊花茶が多く、日本でよく出るジャスミン茶はあまり飲まれません。

日本でもっともポピュラーな点心は餃子でしょう。春巻き、シュウマイなども点心です。1990年代以降は、中国でも冷凍食品が増えてきて、冷凍の点心が日本にも入ってくるようになりました。それもあって、わりと手軽にさまざまな点心が食べられるようになってきたのです。

とはいえ、日本では飲茶は食事であり、点心に主眼があってお茶はさほど重要視されません。お茶の種類も多くない店がほとんどで、ほかの中華料理同様、日本風にアレンジされているのが日本における飲茶の姿です。それでも、小さな蒸籠に入ったさまざまな味、食感、形の点心がずらりと並ぶさまは楽しく、日本でも飲茶はすっかり定着し、変わらず人気があります。

東京では、街場の中華料理店からホテルダイニングまで、さまざまな店で飲茶を味わえます。今回は、カジュアルに楽しめる街場の穴場的名店1店と、本場の点心師によるこだわりの点心が味わえる名店2店をピックアップしました。

マンガ『大奥』『きのう何食べた？』で有名なよしながふみさんもエッセイでおすすめしているのがこのお店。池袋の地で創業して45年以上経つ老舗です。なによりうれしいのはそのお値段。飲茶の食べ放題が90分2625円（税込）から楽しめるのです。用意されている料理は実に80種類。しかも「つくりたて」と銘打っている通り、熱々が出てきます。点心以外の一品料理も評判がよく、特に野菜炒めは必ずオーダーするという人も多いです。「茶館」という名にふさわしく、中国茶も各種用意されています。

香港でも有名な、マンダリンオリエンタルホテル内にあるダイニングです。地上37階にあり、スカイツリーがよく見えて眺めも最高！飲茶は土・日・祝ランチの限定なので、予約は必須です。点心師がその日の朝にすべて手作りしており、冷凍は一切ありません。しかも、点心に使う色素も野菜などから抽出しているというこだわりよう。日本でこれ以上こだわった点心はないのではないでしょうか？23種のメニューから選べ、点心は1個からオーダー可能なのもうれしいところです。ドレスコードはあるものの、気負いすぎずに入れるお店です。

オーダービュッフェ形式で開始は11時と13時30分の2部制。飲茶コースは「PINK BAUHINIA」（8800円）と「WHITE BAUHINIA」（6800円）の2種類あります（価格は13％のサービス料、税ともに別）。違いは、上海蟹小籠包、たらば蟹のスープなどのプレミアム点心が含まれるか否かです。

東陽町という繁華街ではない立地ながら、ホテルオークラ系のシティホテル「ホテル　イースト21東京」の中にあり、落ち着いた雰囲気で食事ができます。地元の方からも「自腹で使うなら中国料理 桃園！」というほど信頼されているようです。たとえば点心といえばどこでも出てくる海老蒸し餃子も、きちんと手作りしていることがわかる味と歯ざわりだと高評価です。飲茶は平日の13時～14時半、土・日・祝は13時～17時。飲茶を注文すると、中国茶（烏龍茶・ジャスミン茶・プーアール茶）が無料でポットサービスされます。

横浜で飲茶といえばなんといっても「横浜中華街」です。東アジア最大のチャイナタウンであり、飲茶を食べさせるお店は数えきれないほどあります。ここ最近はずっとオーダー式食べ放題が流行っていて、飲茶でも実施している店は数多くあります。安さを売りにした食べ放題店が多いなか、質・種類・使い勝手いずれも満足できる3店をご紹介しましょう。

「萬珍楼本店」は創業が明治25年、約120年の長きにわたって横浜中華街に店を構えています。その萬珍楼の支店であり、飲茶をオーダー形式ではじめて横浜中華街に導入したのがこちら。点心は約60種類以上あり、ほかにも本店同様の広東料理を提供しています。最大の特徴は、中華料理には付き物の化学調味料を使っていない点。どの料理を頼んでも満足できるアベレージの高さ、安定したサービスに信頼を寄せる常連は多いです。種類豊富なデザートも、ひと手間かかっていて満足度が高いです。飲茶コースは「ふかひれ点心膳」などの特徴あるコースが用意されています。

モットーは「本場香港の味」だけあって、広東料理と飲茶に力を入れています。一番人気は「元祖海老のウエハース巻き揚げ（2個で580円）」。エビを入れて揚げた皮はサクサクしていて、創業以来の看板点心だとか。珍しいのがネギだけの素朴な腸粉（蒸したクレープのような点心）があること。他店ではだいたい具が入っていて、ネギだけというのは珍しいのです。飲茶のコースは1人3000円（税込）でおなかいっぱいになるので、コストパフォーマンスは随一。香港から招いた厨師の手作り点心が10品出てきます。座席数は454席で比較的待たずに入店できるものの、人気店なので休日・祝日は予約したほうがいいでしょう。

ここはなんといっても、時間無制限の飲茶食べ放題コースが大人気です。飲茶のコースはいくつかありますが、たとえば土・日・祝ランチ限定だと、11時入店、ドリンクバー付きで1人税込3000円です。全50品のオーダー式で、麻婆豆腐、特製カレー、セルフのソフトクリームなど一部バイキング形式の料理も用意されています。特筆すべきは、お盆期間限定、大宴会場での飲茶食べ放題（90分制、招福門ホームページから限定で予約も受付）。久しぶりに会う同級生、親戚の集まりなどで便利に使えそうです。

日本でも多くの人に愛されている飲茶は、デート、気の置けない友人同士の集まり、家族の集まり、子ども連れなどいろんなシチュエーションで使えます。今回は、庶民的なお店から高級店まで、名店がしのぎを削る東京＆横浜ならではのとっておきのお店をご紹介してきました。読んでいるだけでおなかが空いて…きませんか？次の休日は、大切な人といっしょに、飲茶でゆったりとしたランチを楽しんでみてはいかがでしょうか。