
冬の京都は『都七福神めぐり』で新春の福を呼び寄せよう!
室町時代からの七福神信仰は農民をはじめとし、漁民にも広がり、江戸時代には一般市民も七福神巡りを行いました。全国で七福神巡りは行われていますが、京都の七福神巡りは美しい御朱印集めもできるので「御朱印ガール」には魅力的。今年は、京都の七福神に会いに出かけましょう。
2016年12月07日
古来は新年を迎えることで年を重ねるとしていたので、今のように誕生日は祝わず、新年を無事に過ごすことが重要視されていました。仏教経典「七難即滅・七福即生(しちなんそくめつ・しちふくそくしょう)」から、幸運や金運を授けてくれる七福神を信仰するようになったそうです。
上野『寛永寺』を開山した天海大僧正が徳川家康公に『公はこの乱世を治め、天下泰平の基を築く福徳を備えている』と、七福神の七つの福徳を書いて示したことが七福神に始まりだそう。仁王般若経だけでなく、薬師経や観音経には「七難即滅・七福即生」と説かれているように火難、水難、盗難などの七つが消えれば、福が生まれるという考えだったとか。
天下統一を望んでいた家康は、これを聞いて喜び『狩野探幽』に命じて七福神を画かせました。私たちが目にする七福神の姿は、こうして生まれたてきたもの。実際に七福神巡りが定着したのは、江戸末期から明治にかけて。それまでは今のように華やかなものではなかったようです。
スタンプラリー気分で七福神巡りを始めよう!
通常は日数をかけてゆっくりと回りますが、観光で訪れるとなると七福神以外も見たいですよね。1日は七福神巡りに費やすのであれば、七福神巡り観光バスを利用してみましょう。お昼付きで、効率的にすべてを回ることができるのではじめての人も安心です。
最初の寺社で「大護符」を購入したら、順に御宝印をいただいて回ります。どこから回るのも自由なので、好きなところからで構いませんが、北は比叡山の麓、南は宇治と広範囲になるので事前に計画を立てるか、バスを利用するか決めておきましょう。今回は北から南の順に七福神を紹介していきます。
1.比叡山の麓・赤山禅院には「福禄寿」
『赤山禅院』は京都御所の表鬼門にあたります。京を守る寺院として多くの崇敬を受けてきました。【福禄寿】は本堂東の「福禄寿堂」に安置されています。商売繁盛・家内安全・健康長寿のご利益をいただけるので、しっかりお参りしていきましょう。
幸福の“福”、身分をあらわす“禄”、寿命を表わす“寿”の三文字を持っている福禄寿は、道教の長寿神。村や町に住み、人々の信仰を集めたといわれる仙人のため、老人の姿をしています。
左手に宝珠、右手に巻物を括り付けた杖をもつ姿、鶴と亀を従えた姿は、有名な○○仙人のモデルにもなっているんですよ。修学院離宮や曼殊院も近いので、時間をかけて回りたいですね。
赤山禅院の詳細情報
2.妙円寺(松ヶ崎大黒天)では、開運招福「大黒天」
【大黒天】は大国主神と神仏習合(しんぶつしゅうごう)し、仏となりましたが、人々に福徳を授けるためにこの世に現れた神様です。豊穣の神様として、農民信仰が非常に強かったそうですが、財宝、福徳開運の神様として近年は商業の神様としても崇められています。
大きな袋に打出小槌、頭巾をかぶった福福飄々とした外見は、日本人に馴染み深い優し気な表情。インドでは破壊神、密教では大自在天(ヒンドゥー教におけるシヴァ神)の眷属(けんぞく)であり、三宝を守護する神様として、寺の厨房に祀られているとか。
3.西国三十三所の札所・行願寺(革堂)には「寿老人」
一条通リにあった『行願寺』は、豊臣秀吉により現在地に移築され、【寿老人】を祀るようになったそう。「寿老人神堂」に寿老人が祀られており、七福神巡りだけでなく西国三十三ヶ所札所としても多くの人が訪れます。
【寿老人】は星の化身とも呼ばれているため、長寿と富の神様として信仰されています。手の団扇は難を払いのけるため、桃と鹿は寿の証だとか。
4.「恵比寿様」は日本の神様!京都ゑびす神社
【ゑびす様】は、伊邪那美・伊邪那岐の三番目の子供でしたが成長が遅く、三歳になっても歩くことができず船に乗せられ捨てられてしまいました。浜にたどり着いたところを、漁師が助けたことから海の守り神となったそう。
商売繫盛の神様として有名なゑびす様ですが、神無月に出雲大社へ神様が向かった後に留守を預かる神様として『ゑびす講』が行われるようになりました。魚釣りが得意で、人々の暮らしを守る優しい神様として日本人にお馴染みですよね。
ゑびす神社の詳細情報
5.六波羅蜜寺には、金色の「弁財天」
七福神中、唯一の女神の【弁財天】は、もともとインド河を守る神様です。母なる大河は、大地を潤し、豊穣をもたらし、心を豊かにすることから知恵財宝、そして女性には縁結びの徳があるといわれています。
こちらの弁財天は金色に輝く美しいお姿で、新年の三が日のみ、「福徳自在初穂」が先着で授与されます。芸事の上達、金運アップと非常にありがたいご利益がいただけますので、七福神巡りでパワーをいただいてください。
六波羅蜜寺の詳細情報
6.教王護国寺(東寺)には「毘沙門天」
別名「多聞天」と呼ばれる【毘沙門天】は、神様のなかで唯一武将の姿をしています。北西の毘沙門堂に安置されており、スラリとした姿は中々のイケメンぶり。国宝にもなっている美しい像です。
仏教を守る神様で、魔を寄せ付けない・強さを与えてくださる神様でもあり『菅原道真』が信仰していたことから、学業成就の神様としても有名。現在は、宝物館に毘沙門天像が安置されていますが、特別拝観のみにしか拝顔できません。
昨日、日本最古の七福神巡り「都七福神まいり」に行ってきました。
— かっしー (@herosunrise62) 2016年1月4日
友人と待ち合わせしてJR京都駅からスタート!
まずは、東寺の「毘沙門天」から。専用の都七福神まいりの朱印帖にて御朱印いただきました。 pic.twitter.com/UIJsEEpvkV
東寺(教王護国寺)の詳細情報
7.「布袋尊」は黄檗山萬福寺
【布袋尊】は弥勒菩薩の化身ともいわれ、いつも笑顔で、宝物がいっぱい入っている大きな袋をもっていました。笑門来福、夫婦円満、子宝の神として信仰が厚く、見ているだけで幸せを運んでくれそうです。
この『萬福寺』は、徳川4代将軍 家綱が禅道場として隠元禅師に開山させたことが始まりです。京都の寺院の中でも、日本らしくない雰囲気なのは、中国の明時代末期の様式を隠元禅師が取り入れたからだそう。「卍くずし」「黄檗天井」「桃符」と、珍しい建築に暫し時間を忘れてしまうほど。
最後は萬福寺の布袋尊さま!
— 紀伊さつき (@keysatsuki) 2015年1月4日
諸縁吉祥。おすそわけ。
なんとか1日で、しっかりお詣りして都七福神巡りを終えられました(*^^*)
幸運のおすそわけをお気に入りやリツイートしてくださってる方、ありがとうございます♪♪皆さんにも幸あれ! pic.twitter.com/UnufiSWhFy
楽しくゆったり「都七福神巡り」
北から順に紹介しましたが、好きなところから回って福をいただくのが七福神巡りの楽しみ方。余裕をもって、新春には福の神様に会いにいきましょう。1月は、七福神巡りの寺社仏閣は人でいっぱいなので、計画をしっかり練らないと時間がなくなってしまうこともあるので気をつけてください。
個人で回るなら京阪電車か叡山電車が便利です。駅から近い寺社仏閣が多く、「東寺」のみ丹波橋駅から近鉄電車に乗り換えが必要です。期間中は、京都駅から「都七福神めぐり」のバスが運行されているので便利!七福神巡りに集中したいなら、バスツアーがおすすめ。大護符が出来上がったら「行って良かった」ときっと満足できるはず。新しい年の始まりを、日本最古の七福神巡りで始めましょう。

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