2016年04月02日

天皇の料理番が勤めた「東洋軒」で、伝統の洋食を堪能

天皇の料理番が勤めた「東洋軒」で、伝統の洋食を堪能

俳優の佐藤健さんが演じたことで一躍有名になった天皇の料理番こと秋山徳蔵氏。彼が3代目料理長を勤めたのが、創業から約130年を迎える洋食店「東洋軒」です。現在、本店は三重県津市にあり、2014年に世界のNARISAWAとして知られる成澤由浩シェフを迎え、東京の赤坂にも支店ができました。日本の食文化が大きく変化した時代に生まれ、今もなお洋食店の名店として君臨する「東洋軒」。伝統と進化を融合した、「東洋軒」の魅力を紐解いていきましょう。

料理人の熱い精神を受け継いできた「東洋軒」

料理に命を懸け、大正・昭和期の宮内省厨師長を務めた「天皇の料理版」こと秋山徳蔵氏。ドラマで佐藤健さんが好演し、その精神が多くの人々の胸を熱くしました。そんな秋山氏の精神を受け継ぐ一皿を、今でも味わうことができます。それが洋食の名店「東洋軒」です。

「東洋軒 本店」料理 243 洋食プレートセット

出典:

日本の西洋料理史=東洋軒の歴史

東洋軒は1889年(明治22年)に創業し、8年後に伊藤博文や当時の閣僚の薦めで西洋料理に特化します。秋山氏ら歴代料理長の高い技術が評価され、宮内庁御用達としても地位を確立します。昭和に入り本店を三重県津市に移転。天皇陛下の現地御視察の際にも奉仕しました。日本における西洋料理のパイオニアであり最高峰として、その確かな腕と熱い精神を今に受け継いでいます。

「東洋軒 本店」外観 246 東洋軒本店

出典:

津市の本店。風格あるエントランスが落ち着いた雰囲気を醸し出しています

「東洋軒 本店」内観 247 〈店内〉大正時代に建てられた銀行を移築し、現在に至る東洋軒本店は、ガス灯が揺らめき大正ロマンが漂う。

出典:

大正時代の銀行を移築したクラシカルな店内。ガス灯の柔らかな光が照らします

東洋軒 本店の詳細情報

東洋軒 本店

津新町 / 洋食、フレンチ、カレー

住所
三重県津市丸之内29-17
営業時間
[月]  定休日 [火]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) [水]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) [木]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) [金]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) [土]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) [日]  11:00 - 14:30(L.O. 14:00)  17:00 - 21:00(L.O. 20:00) ■ 営業時間 新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた政府の協力要請を受け、当面の間時短営業とさせていただきます。 ■ 定休日 月曜日(祝日の場合は営業,)・年末年始
定休日
月曜日
平均予算
  • ¥2,000~¥2,999

食すべき逸品 伝統の「ブラックカレーライス」

日本は明治初期に文明開化が一気に進み、一種の西洋ブームが起こりました。そこで日本独自の洋食も次々と開化。花形とされる食材は肉でした。当時の日本はいわゆる肉食が一般的ではなかったためです。そんな中産声をあげたのが、東洋軒の「ブラックカレー」です。使用する牛肉は松阪牛。素材が持つ甘みや旨味を引き立たせるルーは、創業当時から受け継がれている味です。

「東洋軒 本店」料理 251 看板メニューのブラックカレーは松阪牛を使い一ヶ月もの手間隙をかけた一品。

出典:

伝統の「ブラックカレー」。ルーの色の深さは、料理人の技術の深さともいえます。ルーの完成までに約1か月。松阪牛の背油と小麦粉、秘伝のスパイスを合わせて煮込み続けます。

「東洋軒 本店」料理 252 プレミアムブラックカレーライス(ミニサラダ付)

出典:

この黒いルーの誕生は粋人の遊び心からでした。百五銀行の頭取、川喜田半泥子が発した「黒いカレーはできないの」という一言。その言葉から生まれた一皿が、時を経て平成の世でも愛されるとは、当時は思いもしなかったかもしれませんね。

どの一皿も裏切らない 一貫した姿勢

「東洋軒 本店」料理 254 洋食コース

出典:

クリームコロッケ

1か月かけてつくるカレーをはじめ東洋軒で提供される一皿からは、手間暇を惜しまない料理人の姿勢が感じられます。例えば子どもからお年寄りにまで愛される洋食の代表格、コロッケ。クリームコロッケのホワイトソースは何度も何度もオーブンで焼き上げることで味わいをより深めているのだそう。

「東洋軒 本店」料理 257 カニ入りクリームコロッケ 

出典:

カニクリームコロッケ。自家製パン粉の衣が、口の中でサクッとはじけた後に感じる滑らかさ。食材のおいしさはもちろん、食感も楽しめます

ビーフシチュー

「東洋軒 本店」料理 259 ビーフシチュー 

出典:

煮込み料理にこそ、料理人の繊細な技術が生かされています。伝統のデミグラスソースで煮込まれた和牛と野菜からは口に入れた瞬間、旨味が広がります

東京でも感動の味を 「東洋軒」は新たなステージへ

現在、三重県津市に本店を構える東洋軒が、2014年、東京・赤坂に支店をオープンしました。総料理長として迎えたのはアジアのベストレストラン「ナリサワ」で、世界のNARISAWAとして知られていた成澤由浩シェフ。伝統と今を融合した新たなステージへと私たちをいざなってくれます。

「東洋軒」内観 262

出典:chika**さんの投稿

シックな店内。シンプルで上質な空間が、素材そのものを大切にするシェフの思いを映しているようです

東洋軒の詳細情報

5000

東洋軒

赤坂見附、永田町、赤坂 / 洋食

住所
東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー 1F
営業時間
[月]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [火]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [水]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [木]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [金]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [土]  11:30 - 15:00  18:00 - 22:00 [日]  定休日
定休日
日曜日
平均予算
  • ¥4,000~¥4,999
  • ¥15,000~¥19,999

世界のNARISAWAの精神とは

成澤シェフは、里山へ自ら向かいます。そこは、人と自然が共存する場所。地に足をつけて成澤シェフが目指すのは、環境に良く体に良い「美食」です。豊かな食文化と先人の知恵を融合した一皿――日本料理でもフランス料理でもない「革新的里山料理」という独自のジャンルを確立しました。そんな成澤シェフの精神が、東京・東洋軒で洋食をさらに進化させています。

私たちにとっての「美食」がそこに

「東洋軒」料理 267 檸檬(れもん)に花瓣茸(はなびらだけ)

出典:酔狂老人卍さんの投稿

成澤シェフがこだわるのは、例えば油。米油を使うことで、洋食の「重たさ」を取り除きました。体に吸収されにくいと言われる米油は、現代人にとっての「美食」の要素です

「東洋軒」料理 268 北海道産毛蟹の クリームコロッケ、兵庫県坂越の 牡蠣フライ、沖縄産 車海老のフライ (2014/04)

出典:bottanさんの投稿

とある日のコースの一皿。北海道産毛ガニのクリームコロッケ、兵庫県坂越の 牡蠣フライ、沖縄産車海老のフライ。料理を口にした瞬間、親に連れられて初めて洋食を食べた感動を思い出したという客もいるといいます。食事の楽しみの原点を教えてくれる店ともいえそうです

「東洋軒」料理 269 ミニ松阪牛 ブラックカレー (2014/04)

出典:bottanさんの投稿

一方で、伝統のブラックカレーやハンバーグなどは東京でも健在。もちろん食材は松阪牛です。伝統と進化の融合こそが、新たな東洋軒のステージなのです

約130年間、その時代のトップクラスの料理人が繋いできた東洋軒の味。時代が変わっても変わらない精神と、今だからこそ味わえる「美食」を楽しまれてみてはいかがでしょうか。

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