2017年01月13日
海面下140mへ!青函トンネル記念館で世紀の大事業に心打たれる
青函トンネルが完成するまでの歴史から、当時の工事の様子や使用された工具、機材などの展示もある青函トンネル記念館は関わった方の苦労が心に響く、たくさんのことを感じられる施設です。一般の人が青函トンネルの坑道を歩くこともできる唯一の場所でもあり、日本一短い私鉄に乗って一気に海底まで下降する体験は大人から子どもまでワクワクすることでしょう。今回は、青森側にある青函トンネル記念館を詳しくご紹介していきます。
北海道と本州、青森を結ぶ津軽海峡の底を貫く青函トンネル。
24年という長い歳月に及ぶ工事の末に完成し、2016年にスイスのゴッタルド・トンネルが開通するまで「世界一長い鉄道トンネル」としてその名を世界に知らせてきました。青函トンネル工事の苦労や物語はテレビや書籍でも伝えられていますよね。最近では2016年3月の北海道新幹線開通に伴って在来線との共用走行の開始も話題になりました。
その偉業と数々の軌跡を後世に伝えるため、青函トンネルの入り口と定義されている青森県東津軽今別町と出口である北海道上磯郡知内町に青函トンネル記念館があります。入り口がある竜飛岬は一年を通して海からの強い風が吹き付け、雪深い青森の中でも深く積雪することが少ない厳しい土地柄です。
多くの人の苦労があったからこそ完成した青函トンネルですが、そんな場所柄もあり現地を訪れたことがある方は少ないのではないでしょうか?今回は、青森へ来たならぜひ足を伸ばして訪れてほしい、本州最北端の街、東津軽にある青函トンネル記念館とその物語について紹介していきます。
【車】東北自動車道「青森I.C.」より約80km
【電車】青森駅からJR津軽線三厩駅下車(青森駅から約100分)。三厩駅より外ヶ浜町循環バス龍飛行きで約27分、青函トンネル記念館下車
今でこそ、在来線や北海道新幹線が走り、生活の利便性を高めている青函トンネルですが、元は利便性を追求したものではありませんでした。青函トンネルが作られる以前、人々は青森〜函館間を鉄道連絡船で移動していましたが、1954年に悪天候で船が沈没し、一夜にして1430名もの犠牲者が出てしまった「洞爺丸事故」が起きてしまったのです。
この大事故をきっかけに安全な交通手段を確保するため、本州と北海道を結ぶ海底トンネルの実現に向けた動きが一層本格化しました。
青函トンネルの構想がスタートしたのは正式には1946年、実際はそれよりも少し早い1940年頃からだったことが分かっています。そして24年後の1964年に着工、そこからさらに24年経った1988年、つまり構想から約50年という歳月を経てついに青函トンネルは開業へといたりました。
長年にわたる工事の苦労や様子、青函トンネルが完成するまでの物語を分かりやすく、かつリアルに感じられるのが青函トンネル記念館なのです。
ここからは、青函トンネル記念館の魅力を詳しくご紹介していきます。
※青函トンネル記念館は、11月上旬~4月下旬の期間休館となります(但し、12月1日~12月25日・1月4日~3月31日は展示ホールのみ営業)。
青函トンネル記念館に来た際に絶対に見逃せないのが青函トンネル内部に降りて歩くことが出来る体験坑道。1回45分の体験坑道ツアーは1日約20便ありますが、人数制限があるので時間に余裕を持たせて到着されることをおすすめします。
地下坑道に到着したら説明を受けながら、特別展示エリアを歩いて展示物やパネルを見学します。
地上1Fにある展示ホールにはたくさんの写真と共に、どのようにして青函トンネルが完成するに至ったか細かく説明されています。吹き付けコンクリート技術や先進ボーリング技術、地盤注入技術などといった青函トンネルで生み出された多くの技術と工事方法が紹介されています。専門的な技術が事細かに説明してあるので、子どもには少し難しい内容かもしれません。
また2Fのギャラリーには工事の歴史が、3Fにはミニシアターがあり映像で当時の人々の苦労やドラマを分かりやすく紹介しています。
体験坑道までの待ち時間や、展示ホールで頭を使ってお腹が空いたときに利用したいのが、館内にある海峡味処「紫陽花」。青函トンネル記念館近辺には飲食店が少ないのでお腹が空いたら迷わずこちらへ行きましょう。
海峡味処「紫陽花」の詳細情報
海峡味処「紫陽花」
竜飛海底 / 海鮮
- 住所
- 青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜99
- 営業時間
- [月] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [火] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [水] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [木] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [金] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [土] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) [日] 10:00 - 16:00(L.O. 15:30) ■ 定休日 青函トンネル記念館の営業に準ずる
- 平均予算
- ~¥999
2016年3月に開通した北海道新幹線。青函トンネル着工時には、まだまだ北海道新幹線の具体的な話がない中で、当初から新幹線の車両が通行可能なサイズでトンネルは建設されました。正式な構想計画開始から70年後、その計画通りに新幹線が走る姿には感慨深いものがあります。
安全な交通手段を…という思いで建設された青函トンネルは開通から30年経つ現在、一度も犠牲者を出すことなく本州と北海道を結び続けています。しかし、忘れてはならないのが工事の最中に事故でなくなった34名の方々がいたこと。過酷な条件の中で、全ては人々の安全のためとの思いで長い年月を掛けて完成に至った青函トンネルが、日本の偉業だと言われる理由が少しでも伝わりましたでしょうか?青森県に訪れたらぜひ一度足を運んで、当時と変わらず流れ続ける坑道の空気を感じてみてください。
青函トンネル記念館の詳細情報