2016年11月28日

関東人が熱望しているのに進出しない!551蓬莱の確固たるこだわりを暴く

関東人が熱望しているのに進出しない!551蓬莱の確固たるこだわりを暴く

大阪に行ったら必ず食べたいもののひとつ「豚まん」。特に「551蓬莱」の豚まんは、もっちりとした皮と肉汁たっぷりの餡のバランスがやみつきで、わざわざ大阪まで行かなくても近所で買えればいいのになと思ってしまいますよね。需要はたくさんありそうなのに、なぜ551蓬莱は関西以外に出店しないのか? そこには、聞けば納得の理由があったのです!

見てください、この色白でふっくらとした豚まんのお姿!

「551蓬莱 戎橋本店」料理 901667

出典:

この美しいビジュアルを目にしただけで、一度でも551蓬莱の豚まんを食べたことがあるひとは、味の記憶がよみがえってきますよね。

「551蓬莱 JR京都駅店」料理 901797

出典:なでふなでふ。さんの投稿

1日平均14万個、冬の時期には20万個売れる日もあるという、551蓬莱の豚まん。でもそんなに売れているのに、関西以外では店舗をまったく見かけませんよね。
いったいどうしてなのでしょうか?

551蓬莱が関西だけにこだわる理由

少々データが古いのですが、551蓬莱の店舗数は、平成25年4月現在で61店舗。

「551蓬莱 JR京都駅店」外観 901702

出典:カメさん7さんの投稿

551蓬莱のJR京都駅店。

そのすべてが大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県にあるんです。

「551蓬莱 関西空港店」外観 902000

出典:腹ぺこ歯医者さんの投稿

こちらは関西空港店です。

ではなぜこれ以外の都道府県には出店しないのか? 551蓬莱によると、その理由にはふたつの思いがあるのだそうです。

そのひとつは、会社を大きく育ててくれた大阪のひとたちへの恩返しの気持ち。豚まんを「わざわざ大阪に来ないと食べられないもの」として使ってほしいという思いがあるんです。

551蓬莱が関西だけにこだわる理由901555

出典:Tomophotosさんの投稿

そしてもうひとつは、「いつでも最高の状態で豚まんを味わってほしい」という思い。

「551蓬莱 戎橋本店」料理 901960

出典:ココガイイカモさんの投稿

豚まんのあのもちもちとした食感は、生地(551蓬莱では「ネタ」と呼んでいます)の発酵の度合いと深く関係しているのですが、551蓬莱によると、イースト菌は生きて発酵を続けるため、最高の発酵状態をキープできる時間は「150分」しかないのだそうです。

「551蓬莱 戎橋本店」その他 901563 こんな車も走っています

出典:まっぱぁさんの投稿

150分以内に店舗にお届けします。

このため、大阪市の桜川にある工場から、保冷車で150分以内にネタを配送することができるエリア。551蓬莱のお店を置くことができる場所は、そこに限られてしまうというわけなんです。

「551蓬莱 草津近鉄店」外観 901619 テイクアウトコーナー側

出典:waratonさんの投稿

150分でネタを配送できる東の限界、滋賀県の「551蓬莱 草津近鉄店」。

とはいえ、どうしても551蓬莱の豚まんが食べたい!という声に応えて、最近では全国の百貨店の物産展などに出店することもあります。その場合は、現地でネタ作りができるよう、ミキサー持参で駆けつけるのだそうですよ。

ここで耳寄り情報をひとつ。どうしてもいますぐ豚まんが食べたいという関西圏以外のニーズに応えて、551蓬莱では電話・FAX・ネットショップによる通信販売もおこなっているんです!

これを可能にしたのは、チルド(およそ5℃以下での冷蔵)技術。豚まんを冷凍してしまうとどうしても味が落ちてしまうのですが、蒸したてを急速冷蔵するチルドなら、おいしさを可能なかぎりキープすることができるんです。

別途送料がかかってしまいますが、551蓬莱が大好きな方にとっては検討に値しますよね。
夢にまで見たあの豚まんに、すぐ手が届きます!!

551蓬莱の歴史を知ればもっと好きになる

全国展開すればもっと売れるかもしれないのに、おいしい豚まんを届けるためにあえてそれをしない、551蓬莱。おいしさのためのこだわりは他にもいろいろあるのですが、それをご紹介する前に、ここでちょっと551蓬莱の歴史を見ていきましょう。

551蓬莱の歴史を知ればもっと好きになる902033

出典:yosshy1112さんの投稿

551蓬莱のルーツとなったのは、1945年に大阪・戎橋で開業した「蓬莱食堂」。551蓬莱の前会長である羅邦強(ロー・パンチャン)氏が、台湾出身のふたりの仲間とともに始めた食堂です。

「551蓬莱 戎橋本店」外観 901574 戦後すぐ(@_@;)

出典:

蓬莱食堂の店舗外観設計図です。

意外なことにこの蓬莱食堂は、ひと皿10円のカレーライスが当初のウリで繁盛していました。しかし、徐々にお客さんが少なくなってきたため、当時神戸の元町で流行っていた豚饅頭を「豚まん」として売り出したところ、これが大ヒット。

「老祥記」料理 901655 90えん 豚まん2013.9

出典:samasamaのココロさんの投稿

神戸南京町にある大正4年創業の「老祥記」の豚饅頭です。こちらもおいしそう。

その後、火事による2度の店舗焼失を経て、1964年に創業者の3人は「蓬莱」「蓬莱本館」「蓬莱別館」の3社に袂を分かちます。このうちの「蓬莱」が、羅邦強氏が継いだ今の551蓬莱の原型なんです。

「551蓬莱」という名前の由来

3社に分かれた蓬莱食堂ですが、羅邦強氏は、どうやって他の蓬莱との差別化を図るのか悩んでいました。

「551蓬莱 戎橋本店」外観 901577 昭和23年ころの55蓬莱

出典:

1948年頃の分社前の蓬莱。当然、まだ551というロゴはありません。

そんなとき目を留めたのが、自分が吸っていたタバコ「State Express 555」でした。このタバコの箱は、「555」という数字が目立つようなデザインになっていて、一目見て他のタバコと区別がつくデザイン。

アラビア数字は覚えやすく、世界共通なので、これをブランド名に使おう!と思い立ったのでした。

そして当時、蓬莱が使っていた電話番号が64-551番。「味もサービスもここが一番!」という語呂合わせで使っていた番号「551」から、現在の「551蓬莱」というブランド名が誕生したんです!

「551蓬莱 戎橋本店」外観 901588 燦然と輝く551のサイン

出典:ツマジロさんの投稿

創業の地・戎橋には、現在551蓬莱の本店があります。

551蓬莱 本店の詳細情報

551蓬莱 本店

大阪難波、難波(南海)、なんば(大阪メトロ) / 肉まん、中華料理、飲茶・点心

住所
大阪府大阪市中央区難波3-6-3
営業時間
[月]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [火]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [水]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [木]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [金]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [土]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) [日]  11:00 - 22:00(L.O. 21:30) ■ 定休日 第一・三火曜 ※変更の場合あり
平均予算
  • ¥1,000~¥1,999
  • ¥1,000~¥1,999
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他にもまだある!551蓬莱のこだわり

それでは、おいしい豚まんを食べてもらうための551蓬莱のこだわりを、ひとつずつご紹介していきましょう。

生では販売しない

これはもう分かりますね。「関西以外に出店しない」のと理由は同じです。

「551蓬莱 「飲茶CAFE」伊丹空港店(南ターミナル)」その他 901800 豚まん(2個入)です。

出典:dosannkoさんの投稿

イースト菌が発酵を続ける豚まんのネタは、150分しかおいしさや形を保つことができないので、制限時間内にふっくらと蒸し上げなくてはなりません。

「551蓬莱 JR新大阪駅店」内観 901820

出典:プイーン&プノさんの投稿

生の状態で販売すると、持ち帰っているあいだに過発酵でネタがダレてしまい、どうしても上手に蒸し上げることができないので、けっして生では販売しないんです。

材料は厳選したものを使用

551蓬莱の豚まんは、餡(これを「カヤク」と呼ぶそうです)を作るのにタマネギと豚肉を使っているのですが、タマネギは甘みの強い淡路島産のものを中心に1日4トンも使用しています。

材料は厳選したものを使用901600

出典:あくがさんの投稿

また豚肉は、「ウデ」「モモ」「バラ」の3つの部位をミックスして使用し、脂や肉汁の量が最適になるように調整をしています。もちろん、保存料などは一切無添加。

材料は厳選したものを使用901607

出典:サンサンさんの投稿

豚まんのネタは、小麦粉・砂糖・イースト菌などを合わせたものに加水して作られるのですが、できあがったものは「オサエ」「スグ」「フツウ」の3種類に分けられます。

実はこれ、工場から店舗までの距離ごとに発酵時間が変わるようにネタを作り分けているんです! 工場から近いお店には発酵時間が早い「スグ」のネタ、遠い店舗には遅い「オサエ」のネタを送るのですが、ネタに加える水の温度を変えることによって、このような時間差をコントロールしているんです。

「551蓬莱 天王寺駅店」内観 901679 これに餡を入れます

出典:グランマーさんの投稿

また配送の回数も、一度にネタを送ってしまうのではなく、1日に何度かに分けて、いつも発酵状態が最高のネタで豚まんが作れるようにしています。

豚まんはすべて手作り

こうして店舗に届けられたネタとカヤクは、お店でひとつひとつ手作りで豚まんのかたちに成形されていきます。

「551蓬莱 JR新大阪駅中央口店」内観 901694 ●生地と餡を職人さんたちが驚くべきスピードで合体させていく。。

出典:Natalieさんの投稿

この豚まん作りの技術は、師匠から弟子への直伝なんです。師匠に合格をもらって豚まんを包めるようになるまで、弟子は繰り返し練習を重ねるのだとか。

「551蓬莱 JR新大阪駅店」料理 901827

出典:キャノンデールさんの投稿

このようにして、ひとつひとつ表情の違う「オンリーワン」の豚まんが作られているんですね。

「551蓬莱 JR京都駅店」料理 901707 豚饅 4コ入 (¥680)

出典:keitaiさんの投稿

ちなみに、包むときにできるひだが12本から13本なのが、最も見た目が美しく食べやすいのだそうです。

豚まんの底にひっついているアレ

コンビニの豚まんなどは、底に保温器にくっつかないようにするための紙が敷かれていますが、551蓬莱の豚まんは、薄い木でできたものが敷かれています。

豚まんの底にひっついているアレ901513

出典:katsucoさんの投稿

これ、実は四国で切り出した「松」の薄木なんです。551蓬莱では「ザブトン」と呼ばれています。
松は香りが良いため、豚まんと一緒に蒸すことによって、豚まんの味がいっそう引き立つという、影の立役者なんですよ。

からしも毎日自社生産

豚まんにつけるちいさな袋入りの「からし」も、業者から仕入れるのではなく、毎日自社で生産し、できたてのうちに出荷しています。

「551蓬莱 JR新大阪駅店」料理 901833 カラシにも!551蓬莱と!

出典:バーニーズマウンテンドッグ( 〃▽〃)LOVEさんの投稿

偶数個での販売にこだわる

551蓬莱の豚まんは、2個入り、4個入り、6個入り、10個入りが原則。

「551蓬莱 「飲茶CAFE」伊丹空港店(南ターミナル)」外観 901675 サンプルケース

出典:キャノンデールさんの投稿

これは、創業者・羅氏の「偶数は極めて縁起がよく、円満の印である」という考えに基づいて決められているんです。

ただ、最近では奇数個の要望があったときには、1個入り用の箱に入れて販売してくれるそうなので、どうしても奇数個購入する必要がある場合は、お店のひとにお願いしてみましょう。

「551蓬莱 JR新大阪駅店」料理 901698 新大阪駅をバックに豚まん(160円)を撮影中。

出典:でかちび調査隊さんの投稿

紙袋に英語で書かれた謎のメッセージ

551蓬莱の豚まんをおみやげとして持っていると、すぐに目につく白地に赤文字の紙袋。

紙袋に英語で書かれた謎のメッセージ901519

出典:Russellさんの投稿

ロゴの下になにやら英語で書いてありますが、あれは、

食文化を考え、半世紀にわたり味の徹底追求を重ねた結果、HORAIの食品は現在のかたちになりました。自信と実績に裏打ちされた食品たちは、こどもからおとなまで幅広い人気とご愛顧をいただいています。これからもHORAIの姿勢は変わらず、お客様本位で、時代に合った改良・改善をしていくつもりです。HORAI FOODSの豚まん、焼売、焼き餃子、アイスキャンデーを今後ともよろしくお願いします。

出典:551って?/551蓬莱

と書いてあるんです。なんて真面目な!

最後におまけ

「551蓬莱 戎橋本店」外観 902065

出典:ハラミ串さんの投稿

季節を問わず人気の豚まんですが、さすがに夏場は、冬に比べると販売数が少ないのだそうです。
そこで夏に売れる商品として目をつけられたのが、1954年から販売の始まった「アイスキャンデー」。551蓬莱のもうひとつの看板商品です。

「551蓬莱 戎橋本店」その他 901968 アイスキャンデー 120円×8
960円

出典:pinkmomoさんの投稿

551蓬莱のアイスキャンデーは、1日に約8万本、年間約1000万本を工場で生産しています。
味は「ミルク」「あずき」「チョコ」「フルーツ」「グリーンティ」「パイン」の6品。これらは通年で食べることができるのですが、その他に、毎年夏には「ミルクティー」や「オレンジ」などの期間限定味が登場します。

夏の大阪を訪れたときには、ぜひアイスキャンデーも賞味してみてくださいね!

いかがでしたか?

「551蓬莱 JR新大阪駅店」その他 913262

出典:マカロニ漫遊記さんの投稿

551蓬莱のおいしさに対するこだわり、いかがでしたか? 関西以外に住んでいるひとにとっては、食べたいときにすぐ食べられないのはとても残念ですが、おいしさと「大阪のソウルフード」というイメージを守るためというのであれば納得ですよね。551蓬莱の豚まんを食べる楽しみは、次に大阪に行くときまでとっておくとしますか♪

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