紅茶の名店が集まる尾張旭。その理由は「ティーズリンアン」にあった！

尾張旭市は、名古屋市の北東に位置する市。住宅地として大変人気のエリアで、市内には森林公園や城山公園など約70か所の公園がある、緑が豊かな場所です。といっても市内にお茶畑があるわけでもなく、特に紅茶とは関係がなさそうですよね？

実は、尾張旭市が「紅茶のおいしい街」になった背景には、ある尾張旭市民の尽力がありました。それが今回ご紹介する、紅茶専門店ティーズリンアンのオーナー、堀田信幸さんです。堀田さんは、もともと電機メーカーのエンジニア。紅茶好きが高じて、紅茶専門店をオープンしたのです。

堀田さんは、尾張旭市の町おこしのために、おいしい紅茶店を増やすことを思いつきました。目安になるのは、日本紅茶協会から認定される「おいしい紅茶の店」認定店です。この認定制度は1988年に始まり、紅茶専門店でなく一般の喫茶店も審査対象になります。つまり、とくに紅茶専門店でなくても認定されるため、一般の喫茶店でも町おこしに参加しやすかったのです。

とはいえ、審査基準は厳しいもの。紅茶のメニューは５種類以上必要で、説明がきちんとできるスタッフがいることが第一条件です。さらに紅茶の提供経験が１年以上なければなりません。ちなみに、認定審査は覆面調査でおこなわれます。認定されるのは、簡単ではないのです。

堀田さんは自分の仕事の合間をぬって、認定を希望するお店で紅茶の入れ方を指導しました。メニュー改善の相談に乗ったこともあったそうです。こうした地道な努力が実って、2016年4月の時点で尾張旭市内の「おいしい紅茶の店」認定店はなんと18店舗！ついに、日本紅茶協会から「日本一紅茶のおいしいまち」として認定されるほどになりました。

それでは、堀田さんが精魂込めて紅茶を提供しているティーズリンアンをご紹介しましょう！まるでイギリスの郊外にあるお家のような外観。この可愛らしいカフェが、尾張旭市内で初めて「おいしい紅茶の店」として認定されたところです。外観だけで、うっとりしちゃいます。

ティーズリンアンで使う茶葉は、世界中の産地から自社輸入しています。こんなことができるのは、オーナーの堀田さんが、もともとパソコン通信でお茶好きのためのフォーラム（ネットが普及する前は、掲示板をこういいました）を運営していたから。当時からの人脈を生かして、イギリスや中国の雲南省、インド、ネパールなどへ行き、茶葉を直接仕入れています。

ブレンディッドアッサムティー。アッサムティーはミルクティーにぴったりの茶葉です。ティーズリンアンでは、ミルクティーにする旨をオーダー時に伝えておけば、紅茶をちょっと濃いめに出してくれます。紅茶はすべてポットサービスなのでたっぷりいただきましょう。

こちらはディンブラです。紅茶ビギナーにおすすめの茶葉で、何をオーダーしたらいいのかわからない！という人は、ディンブラをどうぞ。紅茶らしい上品な香りとクセのない味わいです。どの焼き菓子と合わせてもおいしくいただけます。

初夏からはアイスティーがおすすめ。冷たい紅茶とチェリーパイとの相性は抜群。汗も疲れも一気に消えていきます。繊細な刺繍が入った白いテーブルクロスや食器類も涼しげで素敵ですね。

ティーズリンアンの大人気メニューは、本格的なイギリス式アフタヌーンティーです。3段の専用スタンドに、１人あたりケーキ2個、スコーン2個、サンドウイッチ1/２が盛り合わせられます。2名からオーダーできますが、2017年4月からは予約のみの提供です。電話もしくはサイトから予約しましょう。

トレイにあるのは、上からケーキ、スコーン、一口サンドイッチです。サンドイッチは本場イギリスとおなじく、キュウリとスモークサーモン。どれも一口サイズです。ケーキを食べ、スコーンに手作りジャムとクロテッドクリーム（牛乳の脂肪分を集めて熟成させたクリーム、イギリスではスコーンにあわせる）をつけて紅茶と食べれば、お腹がいっぱいになります。

ティーズリンアンのお菓子はすべて手作りです。おいしい紅茶にあわせるお菓子に手を抜きたくないという姿勢がうかがえます。一口サイズのプチフールから食事になるキッシュまで、その日の気分に合わせてフードメニューと紅茶を組み合わせるのが楽しいんです。

スコーンとジャム＆クロテッドクリーム。このセットに紅茶を組み合わせたものを、イギリスではクリームティーと呼びます。ティータイムの定番コンビですね。豪華なアフタヌーンティーとはまた別の、イギリスの日常的なティータイムです。ティーズリンアンでは、ジャムとクロテッドクリームがおかわりできます。

黒糖ミルクのサンドイッチ。配色が実に大人な雰囲気です。素朴なほんのりした甘さがたまりません。ストレートティーといっしょに、あっさりいただきたい一品。

あれこれと味の変わるプチフールも楽しみです。お菓子類は奥様の担当らしく、時にはオーナーの堀田さんも驚いています。

こちらのお店では、紅茶教室も開催しています。1回２時間で、紅茶についてのいろいろな知識を教えてもらいます。毎回３種類の紅茶をテイスティングするので、味もしっかり覚えられます。一緒にケーキがでるので、それが楽しみという人も！？1月スタートの教室は夜間に、7月スタートは午前に開催しています。

ティーズリンアンのオーナー、堀田さんの夢は、尾張旭市にもっと紅茶のおいしい認定店をふやして、紅茶を使った尾張旭市のオリジナル商品を開発することだそうです。尾張旭印の紅茶アイテムを期待しつつ、まずはティーズリンアンでくつろぎタイムを満喫しましょう。