2016年06月23日
抽出に1時間以上!究極のコーヒー専門店、大阪「ミュンヒ」
早いもので20分、通常1時間以上もの時間をかけて、1杯ずつ丁寧に抽出したコーヒーが飲める「ザ・ミュンヒ」。日本一とも言われる待ち時間の長さ!その間にはマスターとの会話だけでなく、詩の朗読や占いまで?!1杯10万円とも言われるコーヒーも度々話題になるお店、ザ・ミュンヒをご紹介します。
大阪の八尾市の住宅街に存在する、そのお店の名は「ザ・ミュンヒ」。コーヒーを愛してやまない人であれば、ご存じかもしれません。過去、40回近くメディアでも紹介されたこのお店。
近鉄大阪線「高安駅」、もしくは「恩知駅」から徒歩15分~20分という、日が暮れると、人通りも少なくなる住宅街。お世辞にも立地条件が良いとは言えない場所にたたずむ、なんとも年季の入った建物。しかし、一度訪れると魂の深淵まで魅了されてしまう「本物」がここにあります。
一般向きとマニア向きにわかれるという、このお店のコーヒー。20分から60分をかけてじっくり抽出されるコーヒーは、まずここでしか味わえないもの。味、香りとも誰かに伝えることを、こんなにも悩ましいと感じることがあるでしょうか。
それが何か・・・強いて口にするなら、一人の男の人生が濃縮された「結晶」というべきでしょうか。
改めて語るのはどうかと思いますが、コーヒーは10g~13gに95度前後のお湯で2~3分かけて淹れるというものが一般的には知られています。2~3分以上かけて淹れると、雑味が生じるともいいます。「創作抽出(想定外)コーヒー」と称するこちらのコーヒーでは、その常識は通用しません。
通常の3倍から10倍の量が使われる豆。これだけの量の豆を使うだけあって、お湯を注ぎ蒸らす工程にも5分以上の時間を費やされます。注いだお湯が豆を通過し、たった数滴のコーヒーが落ちるだけでも時間がかかるのです。
また、それだけの時間をかけて抽出されるのだから、温度も「ぬるめ」。このお店のコーヒーには、この温度こそ適温。むしろ、この温度でなければこのコーヒーの真のうまさを味わうことができません。それは一般的な「コーヒー」とはよべない、もっと別の飲み物。そう、例えるならば「ワイン」のようなものです。
一般向けのコーヒーとして、他の喫茶店で提供されるホットコーヒーくらいの温度のものもメニューには存在します。一般向けといいながらも、他のお店でコーヒーを飲むことができなくなるくらいのものなのですが・・・、このお店に来たのなら、その常識を逸脱したコーヒーを味わわずしていかがしましょう?
この工程を経て淹れられたコーヒーは種類により20cc~60ccと、一般的なコーヒーショップから考えると少量。しかしお値段は1,100円~4,000円以上と破格。メニューだけを見ていると、何も知らない人ならば目を疑うかもしれません。
しかし、淹れられたコーヒーは飲み物の常識を軽く打ち破ります。まさに、豆から抽出されたエキス。豆のあらゆる旨味がぎゅっと濃縮され、「ウマイ」という言葉だけでは表現できません。それが先に言った、「一人の男の人生が濃縮された『結晶』」という形容につながります。
超濃厚なこのコーヒーは、飲み始めに豆の甘みが広がり、後から苦みが追いかけてくる。コーヒーに対して苦手意識がある人でも、その感覚が180度好転するかもしれません。
コーヒーは豆からできている、豆の味はこんな味なのだ・・・と、日常では気がつくことのない感動に見舞われます。このコーヒーのスタイルができあがるまで、店主はどれほど試行錯誤を繰り返したことでしょうか。
コーヒー好き、コーヒー仙人、変人、詩人・・・などなど、この店の店主についての形容はさまざま。ただのコーヒー好き、コーヒーマニアでは表現できないこの店主、田中完枝さん。10代で詩人・中原中也の影響を受け、自らも詩作の人生を歩み始めます。
「詩は言葉のポエム、コーヒーは飲むポエム」店主はそうささやきます。
ここで、長時間かけて抽出される豆のエキスそのものともいえる「創作抽出(想定外)コーヒー」、その一部をご紹介します。
このお店で最も有名なコーヒーといえば、40ccで10万円のコーヒー。ヴィンテージワインさながらです。お試しとしてスプーン1杯2000円でも提供されるので、こちらの方がよく知られているかもしれません。
いかがでしたか?マニアという言葉だけでは語りきれない、奥深い「ザ・ミュンヒ」。一口触れれば、コーヒーへの概念だけではなく、人生観も変わるかもしれません。
お店は年中無休とのことですが、時々コーヒー研修でお休みのことも。遠方の方は、電話で確認してからお店に伺うとよいですね。
ザ・ミュンヒの詳細情報