2016年03月23日
もののけ姫の舞台になった屋久島「白谷雲水峡」とは?
宮崎駿監督が何度も足を運び、白神山地の森と合わせ、映画「もののけ姫」に出てくる森のイメージをつくりあげたと言われる太古の森「白谷雲水峡」。世界遺産の島「屋久島」の、苔むした深い緑の森を堪能できる癒しのスポットです。一日かけて原始の森でリフレッシュできる、おすすめのルートをご紹介します。あなたも「こだま」に会えるかも?
白谷雲水峡は世界遺産の島「屋久島」の原始の森を散策できるトレッキングスポット。屋久島の原生林の自然を容易に観賞できる場所として、昭和49年に屋久島自然休養林に指定されました。
日本蘚苔類学会が「日本の貴重なコケの森」に制定した日本有数の苔スポットで、石や木など、すべてのものが緑色の苔で覆われた幻想的な世界が広がっています。この幻想的な森は、宮崎駿監督がアニメ映画「もののけ姫」に出てくる原始の森のモデルにしたと言われています。
白谷雲水峡には
・弥生杉コース(約1時間)
・奉行杉コース(約3時間)
・太鼓岩往復コース(約4時間)
の三つのモデルコースがありますが、白谷雲水峡を満喫するなら、太鼓岩往復コース+辻の岩屋+奉行杉コース(合計約5時間)がおすすめです。
*苔の世界をじっくりと堪能される場合、その分、余裕を見てください。
レク森協議会 屋久島レク森協議会(ヤクスギランドと白谷雲水峡)のご案内
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白谷雲水峡へは屋久島最大の町、宮之浦から路線バス(1日6往復)またはレンタカーで約30分。最初のバスに乗り、最後のバスで帰ると白谷雲水峡で7時間過ごすことができますので、今回ご紹介のコースを満喫することができます。
レンタカーの場合、駐車場は無料ですが、ハイシーズンにはかなり混雑して入口から離れた路肩に駐車するケースも多いので、朝、早めの出発をおすすめします。
白谷雲水峡の詳細情報
屋久島最大の町宮之浦から車で約30分。標高約600mの場所に入口があります。入口で協力金を募っているので、屋久島の自然を守るため、300円の協力金にぜひご協力ください。入口を入ったら、まずは太鼓岩往復コースを目指します。
登りはじめるとすぐに花崗岩の大岩があります。雨の日は滑りやすくなりますのでご注意ください。
入口からは整備された歩道がつづいていましたが、それもここまで。この橋が屋久島の原生林への入り口です。橋を渡ると本格的な登山道に入り、徐々に森が深くなっていきます。
橋を渡ると苔むした登山道を進んでいきます。この登山道は300年以上前(江戸時代)に、屋久杉の平木(板状に加工したもの)を運ぶために作られた道です。自然石を活かした石組みは当時のものが残っています。
さつき吊り橋を渡ってから楠川歩道を約1時間進むと、白谷小屋に到着です。トイレや水場があるので、ここで一息つきましょう。
白谷小屋から約15分。いよいよ映画もののけ姫のモデルとなった「苔むす森」へ到着。樹木も岩石も土も苔に覆われた、一面が緑の幻想的な世界が広がります。特に、雨にぬれ、水をたっぷりと含んだ苔は生き生きとエネルギーを発散し、光り輝やいています。
多くの人がここで引き返してしまいますが、ここまで来たのですから、ここから先にある絶景も是非楽しんでいただきたいところ。続いて、さらに先のコースもご紹介します。
苔むす森から先はこれまでよりも登りが急になりますが、苔に覆われた杉の巨木が待っています。「武家杉・公家杉」や「かみなりおんじ」といった杉の名木や名前のない巨木が次々と。登りがきつくなってくると足元だけを見てしまいがちですが、それではもったいない!時々立ち止まって顔をあげ、周囲の景色に目を向け木々を渡る音に耳を澄ませてください。
苔むす森から約40分。少し開け、ベンチもある辻峠に到着します。ここから太鼓岩まではさらに急な坂を20分ほど登ります。最後のひと頑張りのためにここで一息つきましょう。太鼓岩登頂後に再び戻ってくるので、貴重品以外の荷物は辻峠に置いて、身軽になって先に進むのもおすすめです。
急峻な道を超えた先に現れる大展望台。春にはヤマザクラ、夏には緑、秋には紅葉とそれぞれのシーズンに応じた景色を楽しむことができます。空いている時期には景色を眺めながらのコーヒーは最高です。(狭い場所なのでゆずりあってください)
太鼓岩から辻峠に戻り、辻峠から15番の看板を楠川別れ方面に3分ほど下っていくと、「もののけ姫」でモロ一族の住む岩屋のモデルになったと言われる辻の岩屋があります。白谷雲水峡の公式案内図には載っていませんが、ぜひ押さえておきたいポイント。雨の日はここで雨宿りしながらお昼ご飯を食べることもできます。
辻峠から岩屋までの道は、江戸時代の敷石が手つかずで残っています。300年前に屋久杉を背負って歩いた人たちに思いをはせてはいかがでしょうか。
帰り道、白谷小屋で休憩した後は、くぐり杉の先にある11番の看板を左に曲がり、奉行杉コース(原生林コース)へ入りましょう。このコースは白谷雲水峡周辺で発見された屋久杉の名木を結ぶようにつくられたコースです。名木をつなぐことを優先して作られたコースなのでアップダウンもあり、歩く人も少ないのですが、その分、手つかずの太古の森を満喫することができます。
時間の許す限り、時には立ち止まって、時には腰を下ろして、都会と違う森の時間を感じて下さい。
石や木、苔を持って帰ることはできませんが、持って帰ることができるお土産がひとつあります。
それは水。自然の水なのでご自宅まで持って帰ることはできませんが、宿までだったら問題ありません。お酒が飲める方は屋久島の地焼酎を水割にして味わってみてください。白谷小屋の水場だけでなく、原生林コース流れる沢の水も飲むことができますよ。
映画「もののけ姫」にでてくる太古の森のモデルになったとされる白谷雲水峡。苔に覆われた緑の世界や屋久杉の巨木からなう太古の世界があなたを待っています。道中全てが美しい自然にあふれていて、名所だけを駆け足で巡るのはもったいない場所です。ぜひ、ゆっくりと以時間をとり、立ち止まりつつ自然の声に耳を傾け、太古の森を堪能してください。