蕎麦好きなら山形へ行かなくっちゃ！山形三大そば街道をゆこう

山形のそばは、一般的に長野県の信州そばよりもやや硬く太いことが大きな特徴で、コシの強さが魅力です。加えて、デンプン質を多く含んだ地元産の玄そばは、パサパサせず喉ごしが良く、豊かな風味を楽しむことができます。また、バラエティ豊かなことが山形そばの特徴と言えるほど、その種類や食べ方は様々。特に「ざる」と「せいろ」ではなく、大きな長い板や木箱に2～3人前のそばを豪快に盛りつけた「板そば」は、山形県独自の食べ方として知られています。

そば王国・山形県には、県内を南北に貫く最上川および奥羽本線を中心に、「そば街道」や「そばの郷」なるものが17も存在しており、絶品の山形そばを味わおうと、全国各地からたくさんの人が訪れます。秋頃には、各地で新そばまつりも開催され特産品が当たる抽選イベントや、新そばが提供されたりと多くの人でにぎわいます。

内陸地方や山間部のような、昼夜の寒暖差がある地域で栽培されたそばは、質のよいデンプンが作られ、甘味がぐんと増すと言います。山形盆地を中心に広がる北村山エリアは、そばの栽培に適した気候と良質な水を有することから、古くからそばを生産してきました。エリア内には、山形そば街道の元祖として知られる「最上川三難所そば街道」のほか、「大石田そば街道）」、「おくのほそ道　尾花沢そば街道」の3つのそば街道が存在します。

村山市の農村では、田植えや稲刈りなど農作業の節目に、その労をねぎらい「そば振る舞い」が行われていました。この村山に伝わるそば文化を継承するため、平成6年に15㎞の道のりが「最上川三難所そば街道」と名付けられました。現在、14のそば店とそば打ち体験ができる「農村伝承の家」が軒を連ねる街道には、地元に人はもちろん県外からの観光客も大勢押し寄せています。

大正9年創業の老舗店で山形きっての名店と言われている「あらきそば」では、昔ながらの作り方を受け継いだ、香り高い絶品のそばを堪能できます。メニューは板そばのみとなっていますが、別途、身欠きニシンの味噌煮もオーダー可能です。超が付くほどの人気店であるため、江戸末期に建てられた茅葺屋根の店内には、いつも多くのお客さんで賑わいを見せています。

「板そばの里 村山 手打ち塾 瀧田」では、子どもから大人まで本格的なそば打ちが楽しめます。自分で打った麺は、その場で食べることもOK、もちろんお持ち帰りもできます。また、ご主人がその日の朝打ちたてた田舎そば（外二八）も堪能できます。

かつて最上川を利用した舟運の河岸場として栄え、今尚、町のあちこちにその名残が見られる大石田町は、県内でもトップクラスの生産量を誇る、玄そばの産地として知られています。そんなそばの里・大石田町には、味自慢の手打ちそば屋が13店集まった、「大石田そば街道」が形成されており、程よいコシがありながら喉越しは滑らかな、平打ちの田舎そばを味わうことができます。

メニューはどんぶりいっぱいに盛られた食べ放題の「もりそば」のみ。そば粉9割の田舎そばは、そば本来の風味が楽しめます。これを「ピリッと辛い」大根汁に、そばつゆを注いで食べるのが「七兵衛そば」の流儀です。山里の生活が育んだ伝統のそばには、おかずとしてナスやカブ、山菜などの漬物類が3皿付いてきます。

噛みごたえのある極太の十割そばがウリの「手打 大石田そば　きよ」。つなぎを一切使わないばかりか、打ち粉までそば粉を使用する、正真正銘そば粉100％の「十割そば」は、地元では知らない人がいないほどに人気があります。また、秘伝の配合で作られた伝統のつゆも絶品です。

松尾芭蕉が滞在したことにちなんで名付けられた「おくのほそ道・尾花沢そば街道」は、尾花沢市内の13店のそば屋が集い平成11年にスタートしました。結成に際し、農家・そば屋・消費者により「ゆう遊三味会」が組織され、栽培からそば打ちまでの研修が行われるほど地域でそば興しをしています。原料はもちろん尾花沢産を使用し、農家とそば打ち職人がタッグを組んだこだわりの詰まったそばがいただけます。

地元産の玄そばを毎日自家製粉している「手打ちそば　たか橋」では、挽きたて、打ちたて、茹でたてのそばが味わえます。香りとコシのバランスがいい「二八そば」、そば本来の香りが楽しめる「十割そば」など、他店よりメニューが豊富なところも魅力です。

冷たいおそばも人気です。

銀山温泉を少し下りて、新鶴子ダム方面に向った所にある「そば処鶴子」は、茅葺き屋根が印象的なお店です。口の中で風味が広がるコシの強いそばが特徴で、辛みのある大根汁につけると、甘い！辛い！を同時に楽しめます。ちなみに、汁となる大根や漬物用の野菜はすべて自家栽培だそうです。

以上、ご紹介した3箇所では、毎年秋になると新そばまつりが開催され、美味しいそばを食べに来る人でにぎわいます。各会場では、そば屋台、天ぷらそばの早食い、そば打ち体験、抽選で山形の特産品が当たるイベントなどたくさんの企画が目白押し。まつりの時期にあわせてそば街道を廻るのもおすすめです。

尾花沢新そばまつり　2016年10月16日（日）
大石田新そばまつり　2016年10月29日（土）
最上川三難所そば街道「板そばまつり」　2016年11月1日～30日（予定）

いかがでしたか。山形県内では、一年を通して美味しいおそばが食べられるので蕎麦好きさんにはたまりません。人気店ばかりなので混雑が予想されますが、一度は食べたい名店ばかり。美味しいおそばを求めて山形へいってみてはいかがでしょうか。