2016年08月29日
世界遺産・熊野三山を巡ろう。大迫力の那智の滝も見逃せない!
和歌山の紀伊山地に点在する熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の3社は、あわせて「熊野三山」と呼ばれる世界遺産です。2004年に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部で、熊野古道と呼ばれる参詣道の目的地です。また、日本一の落差を誇る「那智の滝」も見逃せないスポットの一つ。荘厳な世界遺産の旅に行ってみませんか?
紀伊半島に位置する和歌山県。その面積の8割近くは森林が占め、特に和歌山県南部には険しい地形が発達した「紀伊山地」と呼ばれる山地があります。三重県、奈良県にもまたがるその山々は、古くから神々が宿る所として崇拝されてきました。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されたことで有名になりました。その世界遺産の一部として知られるのが「熊野三山」です。
熊野三山は、「熊野本宮大社」・「熊野速玉大社」・「熊野那智大社」の3つの神社の総称です。同じく世界遺産に登録された参詣道「熊野古道」を歩きながら目指した場所こそが、この熊野三山だったのです。
熊野は『日本書紀』にも記載されている古くから続く地で、修験道の修行地でした。熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の3社が興され、3社それぞれに祀られる神は3社共通の祭神として扱われるようになっていった経緯を持ちます。
奈良~平安時代の間に、熊野は仏教・密教・修験道の聖地にもなり、神イコール仏であるという考え方が広まりました。そして、熊野へ詣でたり民衆に熊野信仰を広める動きが出はじめ、今日では日本各地に熊野神社が建てられていることにも、その名残が見られます。
田辺市本宮町にある「熊野本宮大社」。スサノオノミコトが主祭神として祀られており、昔は「熊野坐神社(くまのにいますじんじゃ)」、すなわち「熊野にいらっしゃる神」と呼ばれていました。古くから船頭・水主たちからあつく崇敬を受けていた神様で、海上安全、開運招福、厄除けなどさまざまなご利益があるとされます。
困難な山道を歩いて詣でることは、とても有難く徳が高いこととされ、最初は皇族や貴族などの上流階級が参詣していました。そして、時代が移るとともに武士や庶民の間に熊野信仰が広がり、身分の貴賤や老若男女を問わず参詣を受け入れたので、当時は「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど、大勢の人々がこぞって参詣する一大ブームとなっていました。
#豆知識
— 知ってたらちょっと得した気分になる豆知識 (@nihonwosukuitai) 2016年6月12日
日本代表の所属する日本サッカー協会のシンボルマークに使われている黄色は、サッカー協会らしく「公正」を表現しているが、青色は「はつらつとした青春」を表している。
ボールを押さえている三本足の鳥は、八咫烏(やたがらす)。 pic.twitter.com/EWbbgBNh1H
このマークに見覚えはありませんか?よ~く見ると、実はカラスの足が3本あるんです。この3本足のカラスは「八咫烏(やたがらす」と言い、熊野本宮大社の主祭神・スサノオノミコトのお仕えです。日本を統一した神武天皇を、大和の橿原(現在の奈良県)に先導したと言われ、“導きの神”として信仰されています。 よくボールをゴールに導くように、との願いをこめて、日本サッカー協会のマークに採用されたそうですよ。
熊野本宮大社
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新宮市に位置する熊野速玉大社。「熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)」と「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」を主祭神としています。また、熊野速玉大社において熊野速玉大神はイザナギノミコト、熊野夫須美大神をイザナミノミコトとされます。
熊野速玉大社には1,000点を超える、祭神の所用具として製作・奉納された服飾・調度類、いわゆる古神宝類が保管されています。すべて国宝に指定されており、毎年10月に行なわれる「熊野速玉祭」は国指定重要無形民俗文化財に指定されています。今日までずっと残し続けた歴史の厚みを垣間見ることができる神社です。
熊野速玉大社から車で8分ほどの場所にある、熊野速玉大社の摂社「神倉神社」。そこには「ゴトビキ岩」と呼ばれる巨大な岩のご神体があります。ゴトビキ岩は、熊野権現が最初に降臨した場所として信仰されています。
熊野速玉大社公式サイト|和歌山県新宮市鎮座 根本熊野大権現 世界遺産
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那智勝浦町に位置する「熊野那智大社」。熊野三山でも山の上に社殿があり、「熊野夫須美大神(イザナミノミコト)」を主祭神としています。ですが、創建当初は山中にある那智の滝を神聖視する信仰がもととなっており、社殿が建てられたのは熊野三山の中でも最後の神社です。
明治時代の神仏分離令によって、熊野本宮大社と熊野速玉大社の仏堂はなくなってしまいましたが、熊野那智大社は観音堂が残され、今日では青岸渡寺として復興を遂げています。
熊野那智大社
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熊野三山を見るなら、一緒に見ておきたいのがこの「那智の滝」です。「那智の滝」とは、熊野那智大社が創立するきっかけになった滝です。熊野那智大社のすぐ近くにあるので、合わせて訪れることを強くおすすめします。高さ・水量ともに日本一で、日本三大名瀑のひとつにもなっています。実際に見るとその迫力に驚きますよ。
133mの高さから落ちてくるこの滝の飛沫は、浴びるとご利益があるといわれています。滝のすぐそばから眺めるもよし、青岸渡寺の三重塔から見てみるもよし、少し離れて三重塔とのツーショットを見るもよし。さまざまな楽しみ方があります。
那智の滝|那智勝浦町観光協会
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熊野三山を詣でるための参詣道である「熊野古道」は、和歌山県だけでなく三重県、奈良県、大阪府にもまたがる道です。一部を除き、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。道が世界遺産となるのは世界的にもとても稀で、他に例があるとすれば、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」が挙げられます。
そんな希少な世界遺産の道である熊野古道は、石畳による舗装が残っていることが特徴です。そして、周りを見渡せば、木々に覆われて緑が頭上にも広がっています。もし時間に余裕があるのなら、神社への参詣に熊野古道を歩いてみるのもいいかもしれません。木漏れ日の差す神秘的な空気の中、大自然の中を歩く清清しさを味わってみてはいかがでしょうか?
熊野古道|熊野本宮観光協会
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「熊野三山」を巡るには、車でのアクセスが便利です。1日で熊野三山を周るとなるとかなりハイペースになるので、数日泊りがけで制覇するのが無理なくおすすめです。熊野古道を通る「熊野三山」や「那智の滝」への道のりは、昔の人々が苦労し辿りつくからこそご利益が高いと考えたほどなので、少し険しく感じる道でもあります。木々に囲まれた奥深い山々にある「熊野三山」。神聖な空気を味わいながらぜひ巡ってみてくださいね。