2017年02月18日

九州最後の炭鉱の島。廃墟マニア注目の長崎「池島」をご存知ですか?

九州最後の炭鉱の島。廃墟マニア注目の長崎「池島」をご存知ですか?

長崎県にある「池島」は、軍艦島を超える廃墟の島として、廃墟ファンの間で密かに注目を浴びている場所。かつて炭鉱で栄えたこの島は、住人を失い廃墟と化した団地、静まり返るかつてのメインストリートなどがある一方で、今も200人ほどの島民の方が生活をしています。風化していく建物と、静かに普段の生活を送る方の生活感が入り交じる、不思議な魅力を持つ池島を紹介していきます。

炭鉱閉山から16年、「池島」ってどんなところ?

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出典:Lotus_05さんの投稿

池島は長崎県の中心部から北西へ約30キロのところに浮かぶ、周囲約4キロの小さな島。九州で最後まで残った炭鉱島であったことから、「九州最後の炭鉱」と呼ばれています。

炭鉱閉山から16年、「池島」ってどんなところ?1052520

出典:kenken2161さんの投稿

1959年の出炭から2001年の閉山まで、49年にわたって石炭火力発電所へ石炭の供給を行った池島炭鉱。炭鉱で働く炭鉱マンと呼ばれる人々の給与は、当時のサラリーマンが得る平均の2倍はあったと言われ、昭和40年代の最盛期には7500人ほどの人が池島に住んでいたそうです。閉山時で2700人ほどまで減っていたその人口は2016年4月の時点でわずか157人にまで減少しています。池島に住民票を置いたまま他の場所で暮らしている人も多いそうで、実際はもっと少ないとも言われています。

炭鉱閉山から16年、「池島」ってどんなところ?1052516

出典:RAIRAIさんの投稿

廃墟島というと、同じく長崎にある軍艦島が有名ですが、軍艦島は1974年に閉山しています。そう考えるとギリギリ21世紀まで稼働していた池島のすごさが伝わりますよね。

炭鉱閉山から16年、「池島」ってどんなところ?1052517

出典:RAIRAIさんの投稿

閉山からたった16年しか経っていない池島は、かつての生活感が残る団地やお店が現在進行形で草木や海風などの自然にどんどん飲み込まれていっています。しかし損壊度は未だ低く、規制されているエリアが少ないので自由に見て回ることが出来るんです。つまり、非日常の風景を間近で見ることが出来るのが池島の大きな魅力です。

池島へのアクセス方法

①長崎空港から瀬戸港経由で池島へ

①長崎空港から瀬戸港経由で池島へ1052485

出典:RAIRAIさんの投稿

まず一つ目の方法が長崎空港から長崎駅→さくらの里ターミナル→神の浦→大瀬戸(瀬戸港)と4つのバスを乗り継ぎ、瀬戸港からフェリーで池島へ渡る方法。フェリーの所要時間は30分ほど、瀬戸港からは1日6便のフェリーが出ているので時間的には融通が効きます。ゆったりと進むフェリーからは景色をじっくり楽しむことが出来ますし、車を載せることも可能なので長崎空港から車での移動だと非常に便利。しかし、車移動でなければバスを乗り継ぐところで約2時間半掛かるので時間に余裕がある方、または途中のどこかで一泊出来る方におすすめの方法です。

②長崎空港から佐世保港経由で池島へ

もう一つの方法が長崎空港からタクシーで佐世保港、そこから池島までの高速船に乗る方法。こちらの方法が楽ではありますが、高速船は1日に2便しか出ていないこと、また船体自体が小さいので欠航しやすいという点があります。

池島を効率よく散策するには

池島を効率よく散策するには1055303

出典:RAIRAIさんの投稿

池島は周囲4キロという小さな島なので島内は2~3時間で歩いて巡ることも可能。ただし高低差もあるので自転車か島内を走るコミュニティバスの利用がおすすめです。電動自転車は池島港から3分ほどのところにある「みなと亭」でレンタルが可能、コミュニティバスも船の待合室のすぐそばから出ています。バスの利用であれば本数が少ないので、港についたらバスに乗って終点まで行き、港に戻りながら街を散策するという方法が効率的です。

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子1052486

出典:RAIRAIさんの投稿

野ざらしになって劣化が進むトロッコもかつて石炭を運ぶために使われていたもの。このように至る所で放置されたままのトロッコや重機、車両を見ることが出来ます。

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出典:レドビさんの投稿

こちらは火力発電所。掘り出した石炭はこの施設で燃やし、立ち並ぶ社宅の電気を作っていたそう。この火力発電所の隣りにある施設ではここで出る熱を利用して海水を真水に変えていました。この世界初の技術はコストの比較的安いテクノロジーとして今でも世界に貢献している発明となっています。

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子1052585

出典:RAIRAIさんの投稿

鮮やかな緑が錆ついた大型のジブローダー。この重機で石炭をすくい上げてベルトコンベアに載せ、船に積み込むために使われていました。

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子1052483

出典:H@jiさんの投稿

炭鉱で働く人々の社宅として使われていた8階建てのマンション。一風変わったモダンな建物は当時は家族を持つ世帯で賑わっていたそう。8階建てでもエレベーターは無く、高台になっている裏手から直接5階に入れるよう工夫されたユニークな構造です。

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子1055333

出典:Tomopukinさんの投稿

まさに今草木に食べられそうになっているかつての家々。もう数年もすると建物も見えない状態になりそうですね。

ノスタルジーと生活感が混ざり合う現在の池島の様子1052488

出典:RAIRAIさんの投稿

全校生徒2人という長崎市立池島小学校。昭和45年の最盛期には1287名の生徒が通っていたというこの小学校も人口の減少とともにたった2人のみになってしまいました。小学校の周りを囲む壁には卒業生たちの元気な絵が描かれています。

池島唯一の食事処は「かあちゃんの店」

池島で食事をするには3つの方法があります。それは、①港ショッピングセンター(といっても丸木ストアしかありません)にある丸木ストアでパンやお惣菜を購入する、②レンタサイクルをしているみなと亭でお弁当を頼む、③「かあちゃんの店」で食べるという3つ。

池島唯一の食事処は「かあちゃんの店」1052513

出典:RAIRAIさんの投稿

ここ「かあちゃんの店」は島内で唯一の食事処。店内のテーブルで食事を頂くことができ、閉山前から池島に住んでいる方のお話を聞けるとても貴重な場でもあります。

「かあちゃんの店」内観 1052601

出典:いっちゃん2013さんの投稿

広い店内には会議室などで使われているテーブルがあり、こちらで食事を頂きます。

ちゃんぽんやカツ丼、カレー、チャーハンなどメニューも豊富にありますよ。

「かあちゃんの店」料理 1052602

出典:食通日本さんの投稿

おすすめは、長崎名物のちゃんぽん。野菜がたっぷりと乗った具沢山のちゃんぽんは、しっかりとコクの効いたクリーミーなスープが美味しいと評判です。

「かあちゃんの店」料理 1052603 池島名物トルコライス

出典:乳酸菌不足の水銀党員さんの投稿

カツとナポリタンパスタ、ケチャップライスが乗ったボリューミーなトルコライスもおすすめの一品。島を探索して疲れたときや、これから島内に向かうためのエネルギー補給にもぴったり!素朴な味が良い思い出になりそうです。

かあちゃんの店

閉業や休業等の理由により食べログに店舗情報が存在しないか、一時的な障害で店舗情報が取得できませんでした。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー

炭鉱で使われる技術やその方法、石炭の掘り方に興味がある方は「長崎さるく」が行っている「池島炭鉱さるく」に参加してはいかがでしょう?元炭鉱マンガイドの案内で坑内を見て回り、石炭を掘る模擬操作の体験もできるツアーです。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052635

出典:

ヘルメットやライト、バッテリーの装備を背負って時速5キロで進むトロッコに乗って、炭鉱の中へ入っていきます。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052487

出典:RAIRAIさんの投稿

炭鉱の入り口。錆びついてはいますが、今なお内部に入れるというのは閉山からあまり時間のたっていない池島ならではの体験です。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052478

出典:CarpeDiemさんの投稿

当時のそのままの状態を見ることができます。坑内に入るとモワッとした湿気を感じますが、この湿気と暗闇が炭鉱で働く人にとって一番つらかったことなのだそう。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052519

出典:a-kichiさんの投稿

今では見ることのなくなった黒電話もそのまま保存されています。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052518

出典:みっちゃん♪♪さんの投稿

坑道内は機械やケーブルがたくさんあり、それらがどのような役割を果たしていたのかを聞くことが出来ます。

午前コースと午後コースに分かれており、午前コースにはオプションで当時の炭鉱マンが食べていた炭鉱弁当をつけることも可能。

炭鉱について詳しく知りたい人におすすめなのが坑道体験ツアー1052639

出典:

こちらがオプションでつけられる炭鉱弁当。レンタサイクルをしている「みなと亭」で作られるそうで、予約が必要です。

炭鉱があった当時の雰囲気を感じたいという方にはおすすめのツアーです。炭鉱は閉山すると完全に封鎖してしまうことが多いそうなので、坑内に入れるのはとても貴重な体験。参加したい場合は3日前までにインターネットからの予約が必須で、服装や靴も動いやすいもので行く必要があります。

池島を訪れてみませんか?

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出典:H@jiさんの投稿

時間がたつと建物の老朽化が進み、安全面などからどんどん行動できる範囲が狭まってしまうことが多いこのような場所。人が生活するということと、自然の力の間に揺れる池島には、この世界がギュッと凝縮されたような不思議な魅力に満ちています。独特な空気を味わいに池島を訪れてみてはいかがでしょうか。

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