2016年04月05日
東京でそばを食べるなら3大系譜から攻めよう。老舗そば屋9選
ツルッとのどごしよく美味しい「そば」。うなぎ、寿司、天ぷらに並ぶ江戸庶民の味ですが、歴史があるからこそなんとなく小難しいイメージはありませんか?そこで、そばの歴史、江戸そばの3つの系列、特徴をわかりやすく解説、それぞれの名店を紹介してみたいと思います。100年以上続く老舗の味を知らずにいるなんてもったいない!もっと気軽に「そば」を楽しんでみませんか?
現在私たちがよく知っている「そば」は元々「そばきり」と呼ばれ、今から400年ほど前に生まれました。でもこの「そばきり」、そばの長い歴史から見るとつい最近開発された新しい食べ方なんです。それまでは技術的な理由から、そのまま食べたり「そばがき」や「そばもち」にしたりして食べていたそうです。
まずは、お米よりもずっと古くから食べられていた「そば」のルーツを簡単に紹介しましょう。
日本では高知県内にある9000年以上前の遺跡から蕎麦の花粉が見つかっています。最近の研究では、ソバは中国の四川・雲南省から伝来し、遅くとも縄文時代初期には栽培されていたと考えられています。
記録としては797年に完成した「続日本紀」が最古の文献で、奈良時代の天皇が「飢饉に備えるため蕎麦の栽培を奨励した」との記述があります。米や小麦に比べるとマイナー感は否めませんが、どんな土地でも育ちやすいため非常用の代用食として栽培されていたようです。また、当時は粒のまま食べるのが主流でした。
鎌倉時代に中国から挽き臼が伝わったことで大量の製粉が可能になり、そばや小麦などの粉食が普及、「そばがき」に「そば団子」などそば料理のバリエーションも増えていきました。
そして室町後期の戦国時代になるとついに麺を切って食べる「そば切り」が生まれ、これが現在のそばの原型だといわれています。
平和な江戸時代になると「そばきり」は江戸を中心に急速に広まり、庶民の味として浸透していきます。かつて飢饉対策の非常食だったそばが縁起のよい「ハレの食品」として受け入れられたことや、ファストフードとしてせっかちな江戸っ子に受けたことで一大そばブームが起こり、江戸後期(1860年)には江戸府内にそば屋さんが3700店以上もあったそうです。製法も、そば粉だけを使用した「十割」のほか、つなぎに小麦粉を混ぜる「二八(小麦粉2:そば粉8)」「三七」「半々」、さらに小麦粉2:そば粉10の「外二」などさまざまなものが生み出されました。
江戸時代にすっかり定着したそば食ですが、「砂場」「更科」「藪」という大きく分けて3つの系統があります。次は、「江戸蕎麦御三家」といわれる3種類のそばの歴史と特徴をみていきましょう。
江戸蕎麦ビッグ・スリーのひとつであり、もっとも古い歴史を持つのが「砂場そば」です。そして、その起源は江戸時代よりも前の大阪城築城の頃、大阪市内中にあった資材(砂利)置き場「砂場」(現在の西区新町)にできたそば屋さんであるといわれています。
砂場そばの特徴は、甘くて濃いめのそばつゆ。これは、元々出前が主だったため、水気の引いたそばをつゆの中に浸して食べても辛くないよう考案されたものだそうです。砂場そばはお店によって個性を出しているので、さまざまな違いを楽しめるのも特徴のひとつです。
大阪で生まれた砂場そばはその後江戸の糀町に「糀町七丁目砂場藤吉」として開業しました。現在は南千住に場所を移して営業しており、都内にある砂場そば店の総本家として伝統を守っています。細打ちの白いそばは歯ごたえがあり、甘辛のそばつゆとよく合います。
砂場の詳細情報
砂場
三ノ輪橋、荒川一中前、三ノ輪 / そば、天丼、親子丼
- 住所
- 東京都荒川区南千住1-27-6
- 営業時間
- [月] 11:00 - 17:00 [火] 11:00 - 17:00 [水] 定休日 [木] 定休日 [金] 11:00 - 17:00 [土] 11:00 - 17:00 [日] 11:00 - 17:00
- 定休日
- 水曜日、木曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥3,000~¥3,999
1839年創業の巴町砂場は、細打ちのそばとうす味のつゆが特徴。今ではどこのそば屋さんにもある「とろろそば」は、こちらが発祥といわれています。伝統を継承しつつ新しいメニューの開発にも注力する姿勢は今も昔も変わりません。
巴町 砂場 (ともえちょうすなば) - 神谷町/そば [食べログ]
閉業や休業等の理由により食べログに店舗情報が存在しないか、一時的な障害で店舗情報が取得できませんでした。
明治2年創業で南千住砂場から暖簾分けしたこちらのお店は「天ざる」「天もり」の元祖。「ざる」はのどごしの良い更科粉、「もり」は香りの良い一番粉を使用し、温かいつけ汁には芝海老と小柱のかき揚げが入っています。古きよきそば屋の雰囲気が味わえる名店です。
室町砂場 日本橋本店の詳細情報
室町砂場 日本橋本店
新日本橋、神田、三越前 / そば
- 住所
- 東京都中央区日本橋室町4-1-13 砂場ビル
- 営業時間
- [月] 11:30 - 21:00(L.O. ドリンク20:00) [火] 11:30 - 21:00(L.O. ドリンク20:00) [水] 11:30 - 21:00(L.O. ドリンク20:00) [木] 11:30 - 21:00(L.O. ドリンク20:00) [金] 11:30 - 21:00(L.O. ドリンク20:00) [土] 11:30 - 16:00(L.O. 15:30) [日] 定休日 [祝日] 定休日
- 定休日
- 日曜日、祝日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥3,000~¥3,999
寛政元年(1789年)信州特産の布織物商人でそば打ちが上手い布屋太兵衛(ぬのやたへえ)が、領主保科兵部少輔の助言でそば店を開業したのが始まりの更科そば。そばの産地信州更級の「更」と保科家の「科」を合わせて「更科」と名付けられました。四代目の時に将軍御用達となったことから別名「御前そば」とも呼ばれています。
更科の特徴は、なんといっても麺の透き通るような上品な白さです。これはソバの実の芯だけを集めた「一番粉」を使用しているためです。細くコシのある更科は、のどごしを楽しみましょう。更科の老舗は麻布十番に集まっているので、食べ比べてみるのもよいかも知れません。
直系八代目の堀井良造氏が「永坂更科 布屋太兵衛」から独立して開業した更科の総本家。あっさりとしてほのかな甘みを感じるそばが逸品です。伝統的な白い更科そばに季節の食材を練り込んだ「季節のかわりそば」が名物となっています。
総本家更科堀井 本店の詳細情報
総本家更科堀井 本店
麻布十番、六本木、赤羽橋 / そば、日本料理、揚げ物
- 住所
- 東京都港区元麻布3-11-4
- 営業時間
- [月] 11:30 - 15:00 17:00 - 20:00 [火] 11:30 - 15:00 17:00 - 20:00 [水] 11:30 - 15:00 17:00 - 20:00 [木] 11:30 - 15:00 17:00 - 20:00 [金] 11:30 - 15:00 17:00 - 20:00 [土] 11:00 - 20:00 [日] 11:00 - 20:00 [祝日] 11:00 - 20:00 ■ 定休日 年始
- 平均予算
- ¥2,000~¥2,999
- ¥1,000~¥1,999
一度廃業してしまった「更科」を七代目が中心となって再興したお店で、正統派の更科そばを味わえる名店です。冷たいそばには2種類のそばつゆ「から汁」と「あま汁」が用意されていて、どちらか一方で食べるもよし、好きな塩梅にブレンドするもよし、お好みで楽しめます。
永坂更科 布屋太兵衛 麻布総本店の詳細情報
永坂更科 布屋太兵衛 麻布総本店
麻布十番、赤羽橋、六本木 / そば
- 住所
- 東京都港区麻布十番1-8-7
- 営業時間
- [月] 11:00 - 15:00(L.O. 料理14:30) 16:30 - 20:00(L.O. 料理19:30) [火] 11:00 - 15:00(L.O. 料理14:30) 16:30 - 20:00(L.O. 料理19:30) [水] 11:00 - 15:00(L.O. 料理14:30) 16:30 - 20:00(L.O. 料理19:30) [木] 11:00 - 15:00(L.O. 料理14:30) 16:30 - 20:00(L.O. 料理19:30) [金] 11:00 - 15:00(L.O. 料理14:30) 16:30 - 20:00(L.O. 料理19:30) [土] 11:00 - 20:00(L.O. 料理19:30) [日] 11:00 - 20:00(L.O. 料理19:30) 11:00~20:00(※19:30Lo)年中無休 平日 15:00~16:30 準備中 (準備中ラストオーダー14:30)
- 平均予算
- ¥2,000~¥2,999
- ¥2,000~¥2,999
七代目店主から屋号使用の許諾を受けて馬場繁太郎氏が創業したお店。こちらはメニューが充実していて、中でもカレー南蛮が人気の名物です。とろみのある濃厚なカレーがしっかりとそばに絡む食べ応えのある逸品です。
麻布永坂 更科本店の詳細情報
麻布永坂 更科本店
麻布十番、赤羽橋、六本木 / そば
- 住所
- 東京都港区麻布十番1-2-7
- 営業時間
- [月] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [火] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [水] 定休日 [木] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [金] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [土] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [日] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30) [祝日] 11:00 - 21:00(L.O. 20:30)
- 定休日
- 水曜日
- 平均予算
- ¥2,000~¥2,999
- ¥2,000~¥2,999
藪そばのルーツは雑司ヶ谷にあった「爺がそば(じじがそば)」といわれ、お店の周りに竹藪があったために店名ではなく「藪」と呼ばれるようになったそうです。数多くあった藪そばの中で現在まで続いているのが「団子坂藪蕎麦」を受け継いだ「かんだやぶそば」で、親戚の「並木薮蕎麦」「池の端薮蕎麦」と合わせて「藪蕎麦御三家」と呼ばれています。
藪そばの特徴は、ひとつはソバの実の甘皮による緑がかった麺の色、もうひとつは辛口のそばつゆです。この塩辛いつゆによって江戸っ子の「そばの先にちょっとだけつゆをつける」食べ方が広まりました。
かんだやぶそばは明治13年(1880年)に創業した藪そばの代表的なお店です。国産の最上級そば粉を使用し、そば粉10:小麦粉1の割合で粉を配合、風味の良さが特徴です。伝統の味と職人の技を創業以来変わることなく守り続けている老舗です。
かんだやぶそばの詳細情報
かんだやぶそば
淡路町、新御茶ノ水、小川町 / そば
- 住所
- 東京都千代田区神田淡路町2-10
- 営業時間
- [月] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) [火] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) [水] 定休日 [木] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) [金] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) [土] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) [日] 11:30 - 20:30(L.O. 20:00) メニューの価格は変わっています。 おしながき を写真投稿しましたので確認して下さい。
- 定休日
- 水曜日
- 平均予算
- ¥2,000~¥2,999
大正2年(1913年)にかんだやぶそば初代の三男が創業し、別名「雷門の藪」とも呼ばれています。夏は「ざるそば」、冬は「鴨南ばん」が人気のこちらは、グルメマンガ『美味しんぼ』に実名で登場している名店です。深く濃厚でありながらまろやかなそばつゆは、ぜひ蕎麦湯で割って最後まで味わいましょう。
並木藪蕎麦の詳細情報
並木藪蕎麦
浅草(東武・都営・メトロ)、田原町、浅草(つくばEXP) / そば
- 住所
- 東京都台東区雷門2-11-9
- 営業時間
- [月] 11:00 - 19:30(L.O. 19:00) [火] 11:00 - 19:30(L.O. 19:00) [水] 定休日 [木] 定休日 [金] 11:00 - 19:30(L.O. 19:00) [土] 11:00 - 19:30(L.O. 19:00) [日] 11:00 - 19:30(L.O. 19:00)
- 定休日
- 水曜日、木曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥2,000~¥2,999
池の端藪蕎麦は並木藪蕎麦の次男が1954年に創業したのれん分けのお店です。そばは国産のそば粉を季節によってブレンドし、独自の製法で超軟水化した清水だけでつないだ十割そば。つゆは、そば本来の風味とのどごしを最大限に味わえるようアレンジした奥深い辛口つゆ。伝統のその先を目指してそばにもつゆにもとことんこだわっています。旬を生かした人気のそば懐石は要予約です。
池の端 藪蕎麦 (いけのはた やぶそば) - 湯島/そば [食べログ]
閉業や休業等の理由により食べログに店舗情報が存在しないか、一時的な障害で店舗情報が取得できませんでした。
身近なそばも老舗となると入りにくく感じるかも知れませんが、元は庶民のファストフード!小難しいことは考えず気楽に自分の舌を信じて楽しめばいいのです。
最後に、そばをおいしく食べるポイントをひとつ。そばをズズッとすするのはマナー違反ではありません。すすって食べることで味と香りを一緒に楽しむことができ、さらにのどごしの良さも感じることができるのです。なので、そばを食べる時だけはいつもの大和撫子な顔は隠し、江戸っ子になりきって粋にすすりましょう。