ちょっとディープな京都さんぽ。風情たっぷりの路地裏『先斗町』スポット9選

「先斗町（ぽんとちょう）」は、鴨川沿いを南北に走る約500mの小路。京都を代表する花街の1つで、芸舞妓さんたちの稽古場や茶屋、料理店など、地元の人々が通う昔ながらの店が密集してるエリアです。最近は古い建物を活かしたおしゃれな隠れ家レストランも増え、密かに若い世代からの注目を集めています。

すれ違う傘が傾き合う程狭い路地ですが、いかにも京都らしい家屋が立ち並ぶ通りは風情たっぷりで、シャッターを切りたくなるポイントがたくさん。カメラ片手に路地をただ歩くだけでも楽しめますよ。

先斗町は河原町駅や有名な寺社から近く、入り口からまっすぐ通り抜けても徒歩約10分、ぐねぐね迷いながら歩いても30分かからない程度の広さなので、観光後のちょっとした探検にぴったり。ふらっと迷い込んで、賑やかな観光スポットとは一味違うディープな京都を感じてみてはいかがでしょうか？

カメラ片手に散策するだけでも楽しいエリアですが、せっかくなら1つ2つ、それらしい店に入ってみたいですよね。先斗町には芸舞妓さんのいる茶屋だけでなく、気さくな雰囲気の甘味処や居酒屋、観光目的で立ち寄りやすい劇場や公園など様々なスポットがあります。ここからは一見さんでも入りやすいスポットをご紹介するので、ぜひ先斗町散策の参考にしてみてくださいね。

まずご紹介するのはこちら。鴨川沿いを歩いたことのある方は、なんとなく目にした覚えがあるのではないでしょうか？ 人目を引くこのクラシカルな建物は「先斗町歌舞練場（かぶれんじょう）」という稽古場兼コンサートホールで、実は先斗町側に入り口があります。

注目は例年5月ごろに開催される「鴨川をどり」。このイベントではなんと、普段なかなかお目にかかれない芸妓・舞妓さんの踊りをライブで楽しむことができるんです！

ステージは2部構成で、毎年違う内容の劇と純舞踏が上演されます。チケット価格は手頃で堅苦しいドレスコードもないので、観光客やおひとり様でも気軽に楽しむことができますよ。5月頃に京都に行く方は、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか？

しっとりとした店構えが程よい“地元っぽさ”をかもし出しているこちら。一見すると割烹や寿司屋にも見えますが、実はここは「和カフェ」なんです。 カウンターとテーブル席がある落ち着いた雰囲気の店内で、抹茶をふんだんに使った絶品スイーツを味わうことができます。

わらび餅、パフェ、大福、あんみつなどなど、抹茶を使った様々なメニューがあります。写真からもわかる通り、こちらの抹茶はかなり濃厚。甘さは控えめで、ひと口食べるとお茶の豊かな風味が口いっぱいに広がります。

後味さっぱりの抹茶かき氷は、暑い日はもちろんお酒のシメとしても人気。こちらは夜も営業しているため、飲み会帰りに訪れる地元のお客さんも多いのだそう。観光地とは一味違う“地元感”あふれる雰囲気と共に、上品な京都スイーツを堪能してみてはいかがでしょうか。

先斗町の中程を歩いていると、時代がかった看板が目に入ります。こちらは100年以上も続く老舗の和菓子屋さん。ガラス張りのオープンな店構えで、ふらっと立ち寄りやすい雰囲気です。

店内には、1つ1つ丁寧に作られた和菓子が並びます。こちらは先斗町のシンボルである千鳥を模った「和三盆」。口の中でスッと溶ける上品な砂糖菓子です。コロンとしたフォルムとパステルカラーに思わず心がときめきます！

こちらは春から夏にかけて期間限定で販売される水羊羹「竹露（たけつゆ）」。パッケージにはその年に生まれた若竹を使っているという、なんともおしゃれな一品です。さっぱりとした後味は夏にぴったり！ 散策のお供にもおすすめですよ。

風情ある建物がひしめく路地の一角に、突然ぽっかりと開けた場所があります。それがこちらの「先斗町公園」。パッと見た感じ、なんの変哲もないのどかな公園ですが……。

鴨川に面していて、ロケーションが最高なんです！ 園内に立派な桜の木があり、お花見スポットとしても密かに人気。

丘に上にのぼったり、久しぶりにブランコを漕いでみたり。地元の子供たちが遊ぶのどかな雰囲気の中で、気持ちの良い景色を眺めながら、のんびりピクニック気分を楽しんではいかがでしょうか？

庶民的で入りやすい雰囲気のそば屋「有喜屋（うきや）」。実はこちらの店主さん、天皇陛下から“農業、商業、工業等の業務に精励し、他の模範となるような技術や事績を有する方”に贈られる「黄綬褒章（おうじゅほうしょう）」を授与されたスゴい方なんです。

「有喜屋（うきや）」が提供しているのは、そんな日本屈指のそば職人が作る手打ちそば。麺は細めで、香りがよく喉越しがツルッとしていると評判です。

おすすめメニューはこちらの「有喜そば」。 表面を覆っているフワフワは、納豆と生卵を練り合わせたものです。甘めのつゆと一緒にそばに絡ませて食べると風味がより一層豊かに！ クセになる味わいと食感です。先斗町に来たらぜひ試してみてはいかがでしょうか？

5～9月頃になると、先斗町の多くの飲食店が「納涼床（のうりょうどこ）」を出します。「納涼床」とは、飲食店が川沿いに設ける座敷席のこと。川を眺めながらお酒や京料理をゆっくり楽しめます。賑やかな雰囲気ですが、京都らしい風情を感じられますよ。

川面に納涼床の灯りが反射している様子もまた、京都の夏らしい風景です。5～9月頃に京都へ行く際は、納涼床を眺めながら夜の鴨川を散歩してみてはいかがでしょうか？

納涼床を出しているのは高級店のイメージが強いかもしれませんが、実は比較的リーズナブルな所もあるんですよ。おすすめは日本酒と京都の家庭料理・おばんざいを楽しめる「のん亭」。居酒屋のような気さくな雰囲気です。

店内の席は落ち着いた雰囲気。その奥に、眺めバッチリの納涼床があります。のんびりくつろぎながらお酒を楽しめますよ。席数は少なめなので、訪れる際は事前の予約をおすすめします！

メニューは天ぷらや焼き魚などの家庭料理。ホッと落ち着く優しい味つけです。納涼床で鴨川の風を感じながら、京都のおばんざいで日本酒を一杯……なんて、ちょっぴりツウな夜を過ごしてみてはいかがでしょうか？

おすすめの納涼床をもう一軒。こちらは懐石料理や和食ではなく、ワインとイタリアンを楽しめるレストランです。京都の納涼床でイタリアンのフルコースだなんて、意外性があってとてもおしゃれですね！

床は座敷ではなくウッドデッキ。カジュアルながらもシックにまとめられています。お客さんは女性やカップルが多く、落ち着いた大人の雰囲気です。

お料理は、京野菜を使った"京風イタリアン"。納涼床ではコース料理を楽しめます。ソムリエ厳選のワインと一緒に味わってみて。おしゃれなドルチェが付くバースデーコースもあるので、お祝いの日にもぴったりですよ。

音楽やライブが好き！ という方は、ディナーの後にもう1軒寄ってみませんか？ 最後にご紹介するのはレトロなジャズバー「ハロードーリィ」。ウイスキーと心地よいジャズの生演奏を楽しめるお店です。

店内はアンティーク家具に彩られたクラシカルな雰囲気。ビロード張りのソファにゆったり腰掛ければ、まるで昔の映画の世界に迷い込んだかのような気分に浸れますよ。

週末や祝日前にはプロミュージシャンによる生演奏が行われます(※)。チケットは必要ないので、誰でも気軽にライブを楽しめます。ムードたっぷりのお店でお酒と生演奏に酔いしれた夜は、京都旅行の忘れられない思い出になること間違いなしです！

※週末のライブ演奏は休止中（2022年9月時点）。最新情報はお店の公式サイトでご確認ください

京都の魅力がぎゅっと詰まった路地・先斗町をご紹介しました。有名な寺社仏閣の観光の合間に、こうした京都の人々の暮らしが垣間見えるような場所も覗いてみてはいかがでしょうか？ 旅にぐっと奥行きが生まれて、きっと思い出に残る1コマになるはずですよ。