【全国】別世界に思わず深呼吸。開放的な海が見える美術館8選

頭の中を巡るマイナスな感情。そんな時ってまるで狭い世界に閉じ込められているかのようで、閉塞感が心をすり減らせてしまいます。落ち込みがちで、気づけばため息ばかり。それなら、世界の広さを感じる大海＆感性を刺激するアートに触れに出かけましょう。

思わず深呼吸したくなるような景観を兼ね備えた美術館は、アートに触れる時間もただぼーっとする時間も、心の内側から潤いを取り戻す上質な時間になります。大きな海を見て体中の空気を入れ替えれば、気持ちがぐっと軽くなり心もポジティブになれるはず。後ろ向きな気持ちになりがちな日々を変えるために、気分転換のアート巡りはいかがですか？

東京からもアクセスしやすい海の見える美術館が、神奈川県にある「横須賀美術館」です。県立観音崎公園の中にあり、四方を絶景に囲まれた解放感抜群のスポットです。目の前には東京湾。建物前の「海の広場」に座って過ごすだけでも、心が癒やされていきます。最寄りの浦賀駅からバスで約10分でアクセスできます。

美術館では、三浦半島や横須賀にゆかりのある芸術家の作品を多く展示しています。さらに建物は、建築家の山本理顕氏の作品。入り口までの鉄の壁が続くアプローチや、ガラス張りの建物が半分地中に埋まったような造りなど、建物自体も印象的なアートでぐっと引き寄せられます。

アートはもちろん、美術館の敷地内にある3つの広場「海の広場」「屋上広場」「山の広場」から見る美しい景色も人気。特に一押しは、広い屋上広場から見る東京湾の絶景です。空と海しかない景色を眺めつつ、胸いっぱいに美味しい空気を吸い込みたくなりますね。

海の広場、そしてその向こうの東京湾が見えるレストラン「アクアマーレ」も人気。このレストランを目当てに訪れるお客さまもたくさんいます。海とマッチする爽やかなテーブルクロスをまとったテーブルでのランチ、贅沢なおひとりさま時間になりますね。テラス席で風を感じながら一休みも良いですよ。

都心から気軽に行ける贅沢リゾート地といえば葉山。そんな葉山の地に建つ巨大な美術館が「神奈川県立近代美術館・葉山館」です。神奈川県立近代美術館は1951年に開館した日本で最初の公立近代美術館。洋画、日本画だけでなく、彫刻や工芸、写真と、幅広いジャンルのアートが展示されています。

屋外に展示されているアート作品の数々も見どころ。建物前にあるかわいいお顔の石像は、イサム・ノグチ氏の「こけし」のほか、20作品以上が屋外展示されていますよ。マップを片手に、アート作品を探しながら散策してくださいね。

北欧家具を多くデザインするアルヴァ・アアルトの作品を展示した「アアルトルーム」は、座って寛ぐことのできる体験型展示の空間です。窓の向こうには葉山の穏やかな風景が広がります。

美しい海を眺めるカフェ「オランジュ・ブルー」も、葉山館の一押しスポット。大きなガラス張りで店内からも海が見えますが、お天気の良い日にはぜひテラス席で一息ついてくださいね。日々の悩み事をしばし忘れ、自分のためだけの充実した時間を過ごせます。

静岡県の相模灘を見渡す美術館が「MOA美術館」です。日本古来の芸能や美術を多く展示しており、能や茶の湯を推進して日本美術の情報や魅力を発信し続けています。広大な敷地には尾形光琳の図面を元に復元した「光琳屋敷」や、四季折々の風景が美しい日本庭園もありますよ。

常時3500点以上もの作品を展示する巨大美術館は、入り口からして異世界への玄関のよう。宇宙船に乗り込むかのようなエスカレーターをのぼり、エスカレーターホールの鮮烈な天井に圧倒されつつ、日本芸術の洗練された美しさに見入る時間が始まります。尾形光琳の「紅白梅図屏風」などの国宝や重要文化財も多く展示されていますよ。

日本古典の魅力を伝えるこの美術館には、本格的な能楽堂も。年に数回、能舞台も開催されていますよ。さらに毎年夏には、能により親しんでもらおうと「能楽教室」を開催し、能楽器の体験や能鑑賞を行っています。大人の休日のお出かけにいかがですか？

美術館のロビーからは美しい相模灘が広がり、遠くに初島や伊豆大島を見ることができます。白波のたつ様など、何時間でもぼーっと見ていられそうですね。館内にはカフェやレストラン、和食処も多いので、お茶を楽しみながらアートな休暇を過ごしましょう。

兵庫県の摩耶埠頭にある洗練された美術館が「兵庫県立美術館」です。建物の上のユニークで大きなカエルがお出迎え。このカエルは中に空気を入れて大きくするものですが、いつも膨らんでいるわけではないので見れたらラッキー♪最寄りの阪神電車・岩屋駅から歩いて約8分と、三宮方面からもアクセス抜群です。

美術館の設計を担当したのは、コンクリートむき出しの建築物で知られる安藤忠雄氏。この美術館もその味わいを全面に出しており、無機質なのに引き込まれる一つの巨大なアートとなっています。各展示棟をつなぐ「円形テラス」は美術館のシンボル的な存在です。

有名アーティストの企画展示が豊富な美術館で、いつも多くのアートファンで賑わっています。そんな美術館の見どころが、美術館の屋上「海のデッキ」にある青りんご。青空と海と巨大な青りんごのコントラストはどこかミスマッチなのに、その不思議さが心を明るく晴れやかにします。

美術館の目の前は摩耶（まや）埠頭。アート鑑賞を終えたら港を散策して一息つくのもいいですね。美術館の1階にカフェ、2階にレストランが入っているので、海を見ながらコーヒー＆食事タイムを楽しむこともできますよ。

瀬戸内海に浮かぶ岡山県の島、犬島には、銅精錬所後を利用した「犬島精錬所美術館」があります。敷地に近づくとポツポツと建つ赤い煙突が見え、レンガ造りの遺構が残りまるでダンジョンに迷い込んだかのよう。アートだけでなく、遺跡好きにはたまらない空間です。犬島港から歩いて約5分、犬島港へは対岸の宝伝港から約10分でアクセスできます。

この美術館は自然エネルギーの生成技術を駆使した建物でもあります。と言うのも、1909年に開設された犬島精錬所はわずか10年で停止。その後は硫黄の研究施設など産業施設が多く開かれ、環境汚染が深刻な問題となったのです。近代産業遺産が示すテーマを深く考えさせられるスポットと言えます。

館内の展示物は写真撮影できませんが、外の遺構は撮り放題。ここでしか撮れないフォトジェニックな一枚を狙うのもいいですね。敷地はとても広くて、そのほとんどに茶色いレンガの遺構があるので、日本ではない別世界のような空気が漂います。

アート鑑賞＆遺産観光の合間には、館内のカフェスペースが休憩。今現在（2020年8月時点）は休業中なのですが、海側と天井がガラス張りで瀬戸内の穏やかな気候と海に包まれるスペースです。たこめしなど、瀬戸内の豊かな風土を感じるご当地グルメもありますよ。

香川県の豊島にある「豊島美術館」は、「こんな美術館見たことない！」という声が多く聞かれる斬新な美術館です。地上に落ちた水滴のような、白い涙型の建物。平べったい丘のようで、外から見ると美術館だとは思えないその雰囲気は、英国のアート雑誌でも称賛されたそう。

エントランスからは、一枚の絵画のような美しい瀬戸内海。この美術館は建築家・西沢立衛氏とアーティスト・内藤礼氏のタッグで完成されており、展示は豊島の自然と一体となった生きたアート「母型」のみです。心の静けさをとことん味わうのにぴったりの美術館ですよ。

水滴のようなドームは2つあり、大きいほうが美術館、小さい方がカフェです。カフェは写真撮影OK。自然の胎内に潜り込んだかのような不思議な空間に、大きくあいた開口部から光が射します。時間を忘れて寛ぎたい場所です。

水滴ドームを囲むのは豊かな自然。緩やかな曲線を描く散策路が続き、芸術のドームと豊島の緑、そして瀬戸内海の青を心ゆくまで鑑賞できますよ。美術館は完全予約制なので、事前予約を忘れないでくださいね。

香川県と岡山県を結ぶ巨大な橋、瀬戸大橋。その香川県のたもとにあるのが「東山魁夷せとうち美術館」です。日本画の巨匠である東山魁夷画伯の版画を多く展示しています。小さな美術館の中はとても静かで、穏やかに呼吸しながらゆっくりと芸術鑑賞できます。

館内のカフェスペース「なぎさ」からは、威風堂々とした瀬戸大橋が見えます。大橋と海を望むこの景色は、四国八十八景に選定されていますよ。カフェスペースのみの利用も可能で、その場合入館料は無料です。

カフェでは、カップのかわいいデザインに注目。思わず笑みが溢れる優しい絵柄に心が癒されます。ここでしかいただけない、緑色のコロンとしたおまんじゅう「あまも」と一緒にどうぞ。

美術館の設計は、ニューヨーク近代美術館の設計でも知られる谷口吉生氏。直線のアプローチから眺める美術館の美しさや、モスグリーンとグレイの壁の優しい風合い、海岸へと近づく休憩スペースなど、モダンな造りにも魅了される美術館です。

奄美空港から車で約10分、鹿児島奄美パーク内にある美術館が「田中一村記念美術館」です。奄美の美しい自然を描いた日本画家、田中一村氏の絵を展示しています。南国の離島特有の熱帯植物に囲まれて建っていますよ。

田中氏は、栃木出身ながら奄美の自然に魅了され移住したんだそう。終焉の家も敷地内に展示されていますが、没後有名となった画家なので家は簡素な佇まい。奄美の自然を愛した画家の一生に、思いを馳せてしまいます。

美術館の展示スペースは、奄美の高倉（高床式倉庫）を模した印象的なデザイン。水辺に映えるその建築は常夏のバンガローのようでもあり、ちょっと不思議な映え写真スポットでもありますよ。

芸術鑑賞の後は、青く輝く奄美の海を満喫。鹿児島奄美パーク内には展望台や展望タワーがあり、非日常の絶景を望むことができます。思い切り深呼吸して背伸びをしたら、ちょっと窮屈だった閉塞感も消え去り心が元気を取り戻しますよ。

海の青には、心を落ち着かせ静けさをもたらす効果があるとされます。別世界を体感できるアートの空間で感性を刺激し、優しく癒やされる海の青を一緒に楽しめば、日常の息苦しさで落ち込んで気持ちもちょっと上向きになるはず。全国各地の海の見える美術館で、すり減った心を癒やす上質なひとり時間を過ごしてくださいね。