2016年05月24日
宮島観光の拠点に。厳島神社に寄り添う名旅館「岩惣(いわそう)」
日本三景の一つ宮島に名旅館と呼ばれるお宿があります。創業160年。世界遺産でもある厳島神社の社に程近い、国立公園の入り口に佇む一軒がこちらのお宿『岩惣』。宮島の観光の拠点にするのもよし、あるいはこの旅館に泊まることを目的に宮島に足ぶのもいい。歴史ある名宿の魅力をご紹介します。
神の島とも称される宮島の景勝地の一つでもある「もみじ谷公園」の入り口に建ち、豊かな緑と川に囲まれたお宿『岩惣』。1854年創業の老舗旅館であり、厳島神社より徒歩約5分、フェリー桟橋より徒歩約10分と宮島観光に最適のロケーションに位置しています。
江戸末期安政元年、ペリーが2度目に来航した同年に岩惣の歴史は始まります。初代・岩国屋惣兵衛が紅葉谷(現在のもみじ谷公園)を美しい姿にして、多くの人々に訪れてもらいたいと開拓をはじめ、旅人たちの憩いの場所として茶屋を開きました。それが岩惣の前身である岩国屋惣兵衛茶屋です。
明治に入ると茶屋は旅館に業態を変えます。その後、土砂災害など幾度とない困難にぶつかりますが、国内外のロイヤリティが滞在する宿として名を残す宿となります。ちなみに、広島の銘菓であるもみじ饅頭ですが、実は、岩惣の女将が宿のお茶菓子として考案したものなんですよ。
まず明治時代には、国内の鉄道を整備し関東大震災後の復興に努めた後藤新平、また「舞姫」を発表した小説家の森鴎外が泊まった記録が残されています。昭和に入ると、映画『ラストエンペラー』のモデルともなった満州国皇帝の愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)をはじめ、小説家の池波正太郎や宇野千代などが名を連ねます。そして、平成に移ると小泉純一郎元首相が泊まった記録もあるのだとか。
■宿泊者リストの一部を抜粋
16年山本五十六
20年マルセル・ジュノー博士
22年昭和天皇陛下
23年ヘレン・A・ケラー
24年皇太子時代の今上天皇陛下
岩惣の玄関母屋は明治25年からのもの。124年もの間、厳島の様子を見守ってきた歴史ある建物なんです。
大正末期から昭和にかけて造られた「離れ」をはじめ、瀬戸内海を望む「新館」、そして川の水音の調べが部屋まで届く木造建築の「本館」といった3タイプの客室が用意されています。いずれも情緒ある和の客室で、宮島での一夜を過ごしてみませんか?
和室と洋室を備えた錦楓亭(きんぷうてい)をはじめ、昭和3年に建築された木造平屋建ての秋錦亭(しゅうきんてい)、元広島藩主・浅野長勲公が名付けた龍門亭(りゅうもんてい)と3つの離れがあります。静寂な時に包まれる空間は、いつか泊まってみたい客室です。
新館からは、もみじ谷と自然と瀬戸内海を望むことが出来ます。穏やかな瀬戸内海に沈む夕陽の美しさに出会えるかもしれません。
もみじ谷に向き合い、もみじ川の水の音が聞こえる本館。昭和初期の木造建築です。
先人の女将が使用していた井戸水を調べたところ、ラドンを豊富に含む温泉水と判明し、以降「若宮温泉」として新たな宿の魅力に加わった大浴場。露天風呂はシカの散歩道に面するため、入浴中にシカとご対面…なんてこともあります。
宿に泊まるときに大いに期待するのが食事ですよね。岩惣では、旬の食材と地元の名産を堪能できる料理で、おもてなしされます。
その土地の気候風土から生まれた地酒と共に料理を味わうのも旅行の醍醐味の一つ。中国山地からしみ出す軟水と穏和な気候に恵まれた広島には、蔵元が50以上あります。岩惣では、広島の銘酒も用意されているので、おすすめをきいてみるのも良いですね。
「広島の酒」の品質は、香味及び色沢が良好で、その特徴としては、「うまみがあり、小味の効いた、キレのよい、芳醇な香りをもった清酒」であることとされています。
豊かな緑と綺麗な小川が流れるもみじ谷へ散歩に出かければ、鹿と巡り合わすことも多々あります。ここなら束の間の余暇を自然の中で清々しく過ごせることでしょう。
いかがでしたか?今流行の和モダンな雰囲気を味わえる宿ではありませんが、歴史を重ねたからこその美しさや時間の流れが岩惣にはあります。あなたの行ってみたい宿のひとつに加えてみませんか?
公式詳細情報
みやじまの宿 岩惣
広島県 / 宮島 / 旅館
- 住所
- アクセス
- 宮島桟橋より徒歩にて約15分。無料送迎有り(要連絡)
- 宿泊時間
- 15:00(IN)〜 10:00(OUT)など
じっくり読む この宿の良いところ
「厳島神社」は朝がいい。神聖な空気を全身で浴びるひとり朝旅/広島