2016年12月04日
食にこだわりあり。池波正太郎が選んだ東京の老舗洋食店&喫茶グルメ
1970年代に、池波正太郎はフランス映画についての本を書くため、かの地に渡りました。そこで以前から慣れ親しんだ場所のように自然と溶け込み、旅行客ではなく地元のフランス人たちが訪れるレストランやカフェに通ったそうです。そんな彼の西洋料理や菓子に対する味覚は、本場仕込みの確かなもの。その池波も数あるお店の中から選び愛した絶品の西洋料理と菓子の東京の老舗7店を厳選し、ご紹介いたします!食通が愛したお店へ出かけてみませんか?
終わって、京橋の「ロアンヌ」へ行き、仔羊のローストを食べる。こんなに旨い羊を食べたのは久しぶりのことだ。ますの薫製もよく、チョコレートのムースまで、ちょうど、ぐあいよく腹へおさまった。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
「Chez Inno(シェ・イノ)」は、フランスの三ツ星レストランで修業した井上旭シェフがオーナーを務めるお店です。池波正太郎も通った「ロアンヌ」の次に、「シェ・イノ」を京橋の地に1984年にオープンさせました。井上シェフはソースの巨匠とも呼ばれ、特にワインをじっくり煮つめて作ったソースは絶品です。井上シェフが修業をしたパリの「マキシム」の顧客だったソプラノ歌手マリア・カラスの名前を冠した「仔羊のパイ包み マリア・カラス風」は一番人気のメニューです。池波も愛したその味を、最高のおもてなしと空間の中で召し上がれ。
オーナーシェフの井上旭氏の絶版本は、古書として高額取引もされている名著です。
全種類制覇もできる「ワゴンデザート」。甘さ控えめの上品なスイーツです。
シェ・イノの詳細情報
シェ・イノ
京橋、宝町、銀座一丁目 / フレンチ
- 住所
- 東京都中央区京橋2-4-16 明治京橋ビル1F
- 営業時間
- [月] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [火] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [水] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [木] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [金] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [土] 11:30 - 13:30 18:00 - 20:30 [日] 定休日 ■ 定休日 毎週日曜、月2回月曜、年末年始
- 定休日
- 日曜日
- 平均予算
- ¥20,000~¥29,999
- ¥30,000~
[みかわや]へ行く。ポーク・カツレツ、御飯、サラダ。前から考えていたのだが、この店のロース・カツレツはロースの脂がたっぷりついていて、むかしの洋食屋のそれを略(ほぼ)再現している。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
「みかわや」の初代は、日本の西洋料理の潮流を作った「横浜ニューグランドホテル」総料理長サリー・ワイルに師事していました。以降、今もその教えを忠実に再現し、銀座で長く愛され続ける老舗洋食屋さんです。銀座のど真ん中で、美味しく豊かな食事を楽しみたいなら、ここは抜群の空間です。池波正太郎をはじめ、多くの著名人にも愛され続けている、厳選された素材を使った本格的な西洋料理を楽しみたいですね。
昨夜のNHK「サラメシ」の「あの人の愛した昼飯」。作曲家の黛敏郎(1929〜1997)。仕事場のあった銀座のホテルからダイニング代わりにしていた同じ銀座の「みかわや」に来て子牛のカツをよく注文。そのデミグラソースを絶賛していたとか。 pic.twitter.com/BanTq6Yq3j
— 三浦彰WWDジャパン編集委員 (@miura0907wwd) 2016年9月27日
池波正太郎だけでなく、多くの著名人、文化人が通った「みかわや」。
みかわやの詳細情報
みかわや
銀座、東銀座、銀座一丁目 / 洋食、コロッケ、ステーキ
- 住所
- 東京都中央区銀座4-7-12
- 営業時間
- [月] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [火] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [水] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [木] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [金] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [土] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00) [日] 11:00 - 21:00(L.O. 20:00)
- 平均予算
- ¥10,000~¥14,999
- ¥15,000~¥19,999
だが、子供のころの郷愁をさそうポークカツレツとなれば、なんといっても銀座の煉瓦亭だろう。出典:「むかしの味」新潮文庫
「煉瓦亭」は明治時代の開業以来、ポークカツレツや、オムライスなど数多くの洋食メニューを生み出してきました。特にポークカツレツは、お店の看板メニューでもあり、池波正太郎の大好物でもありました。今ではトンカツの付け合わせとして定番になっている、キャベツやパセリ乗せも、初代の考案とのことです。プランタン銀座そば、と便利なロケーションに煉瓦亭ビルはあり、地下一階から地上三階までが110席と、広々とした空間が広がります。予約や貸切も可能なので、「明治」も感じられるレトロな洋食店でのパーティなんかも楽しそうですね!
戦後から使用しているというレジスターは今も現役! 常連だった池波先生のサインらしきものも。
煉瓦亭の詳細情報
煉瓦亭
銀座、銀座一丁目、有楽町 / 洋食、オムライス、肉料理
- 住所
- 東京都中央区銀座3-5-16
- 営業時間
- [月] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [火] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [水] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [木] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [金] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [土] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) [日] 定休日 [祝日] 11:15 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 21:00(L.O. 20:00) ■ 営業時間 [月~土・祝] 17:30~21:00(L.O.20:00)※日によって変動があるためお問合せください。
- 定休日
- 日曜日
- 平均予算
- ¥3,000~¥3,999
- ¥2,000~¥2,999
終わって、六区の「リスボン」で、ポーク・カツレツでビール。古い洋食屋だが、最近、興行街の中へ移転して、店も大きくなった。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
江戸や昭和の情緒が今も色濃く残る浅草の街並みに合う洋食屋さん「リスボン」。この昭和7年創業の老舗洋食店では、池波正太郎も愛したポークカツレツをはじめ、オムライス、カツサンド、カツカレーなど昔懐かしい味を味わえます。しかも、料金はいずれも1000円前後とリーズナブル! 女性でもペロリと食べられる、ちょうどいいボリュームです。浅草ROXの隣にあり、コック帽を被った可愛いブタさんが目印です。
今柊二さんの新書「とことん!とんかつ道」に載っている浅草のリスボンは火曜日定休ですのでみなさまご注意くださいませ とんかつ難民より pic.twitter.com/0vvPq9Bggs
— 三省堂書店有楽町店 (@yrakch_sanseido) 2014年1月28日
「とことん!とんかつ道」でも高評価の「リスボン」のポークカツ。
リスボンの詳細情報
リスボン
浅草(つくばEXP)、田原町、浅草(東武・都営・メトロ) / 洋食、オムライス、かつ丼
- 住所
- 東京都台東区浅草1-25-18
- 営業時間
- [月] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30 [火] 定休日 [水] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30 [木] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30 [金] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30 [土] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30 [日] 11:00 - 14:30 17:00 - 19:30
- 定休日
- 火曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥1,000~¥1,999
私が子供のころは浅草六区の松竹座の横町にあった店で、よく食べたものだが、いまは、この店だけだ。ほんとうに五十年ぶりで「オーギョーチー」を食べたことになる。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
下町情緒があふれる「谷根千」エリアとして、最近とても人気のある根津の街並みの中、とてもインパクトのある「愛玉子(オーギョーチィ)」の看板が目に飛び込んできます。作曲家の藤山一郎氏に決めてもらった「愛玉子」という屋号と同じ、台湾で愛されるデザート「愛玉子(オーギョーチィ)」専門の喫茶店です。オーギョーチィは台湾特有の植物「愛玉子」の種子から作られ、米と同じくらいカロリーがあり、肝臓の妙薬とも言われています。寒天ともゼリーとも違う食感は一度は味わえば、くせになるとと評判です! 創業は1934年で、池波正太郎以外にも、日本画家の東山魁夷(ひがしやま・かいい)、彫刻家の中原悌二郎(なかはら・ていじろう)なども店を訪れていたそうです。
愛玉子の詳細情報
終わって、ビルの1Fにある「小川軒」へ行き、たのんでおいたレーズン・パイを受け取り、店の奥のパーラーでエスプッソをすするうち、疲れが出てきて、何処へも行く気がしなくなる。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
レーズンサンド、レーズンクッキーなど、今では類似品が多く出ている洋菓子。その元祖といわれるのが、東京新橋にある「小川軒」の「レイズン・ウィッチ」です。「小川軒」は、1905年(明治38年)に、初代の小川鉄五郎によってレストランとして開業されました。「レイズン・ウィッチ」は、鉄五郎の次男が考案したものです。当時から現在にいたるまで、最高品質の食材を厳選し、新鮮な商品作りを心がけられています。ちなみに、新橋の「小川軒」は、新橋駅前ビル1号館1階にあるレストランと、同じビル中の通路にある販売店舗があります。
巴裡 小川軒 新橋店の詳細情報
巴裡 小川軒 新橋店
新橋、汐留、内幸町 / 洋菓子、ケーキ
- 住所
- 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 1F
- 営業時間
- [月] 10:00 - 18:30 [火] 10:00 - 18:30 [水] 10:00 - 18:30 [木] 10:00 - 18:30 [金] 10:00 - 18:30 [土] 10:00 - 17:00 [日] 定休日
- 定休日
- 日曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥1,000~¥1,999
それから、ぶらぶらと小川町まで歩き、かねて、うわさに聞いていた「古瀬戸コーヒー店」に入る。なるほどうまい。ブレンドのつぎにモカをのみ、ついでに家でのむためにブレンドの粉を買って帰る。出典:「池波正太郎の銀座日記」新潮文庫
駿河台下交差点から明治大学方面に向かって歩くと、「古瀬戸珈琲店」の可愛い看板があります。店内はなかなか広めでゆったりしており、カウンターの向こうの木の棚には、コーヒーカップとソーサーがたくさん並んでいます。ウェッジウッド、マイセン、ローゼンダール、ジノリ、ロイヤルコペンハーゲンなどなどから、好きなカップを選んでコーヒーを飲むことができます。コーヒーも注文してからの挽きたてです! デザートメニューも豊富で、特に古瀬戸オリジナルのシュークリームは、濃厚なクリームが絶品です。
古瀬戸珈琲店の詳細情報
古瀬戸珈琲店
神保町、新御茶ノ水、小川町 / 喫茶店、カフェ
- 住所
- 東京都千代田区神田小川町3-10 江本ビル 2F
- 営業時間
- [月] 11:00 - 19:30 [火] 11:00 - 19:30 [水] 11:00 - 19:30 [木] 定休日 [金] 11:00 - 19:30 [土] 12:00 - 19:30 [日] 12:00 - 19:30
- 定休日
- 木曜日
- 平均予算
- ~¥999
- ¥1,000~¥1,999
今回は、池波正太郎が愛した洋食と喫茶をご紹介いたしました。いずれも味覚を満足させてくれるだけでなく、歴史を感じる空間が残る老舗の名店ばかりです。リラックスして、食事やお茶をしながら、豊かな時間をすごしてくださいね!