2017年01月14日

京都の穴場観光・奥嵯峨、紅葉の名所「祇王寺」で美しい苔庭と平家物語の悲恋

京都の穴場観光・奥嵯峨、紅葉の名所「祇王寺」で美しい苔庭と平家物語の悲恋

『平家物語』でお馴染みの祇王寺は、時の権力者であった平清盛の寵愛を受けた白拍子『祇王』が出家した尼寺。寵愛が長く続くことはなく、清盛は祇王をあっさりと捨ててしまいます。悲しい運命をたどった祇王は、母親と妹と出家しここで静かに眠りについたのです。悲恋に翻弄された一人の女性の悲しみと、出家してからの軌跡をここで感じてみませんか。

悲恋の尼寺「祇王寺(ぎおうじ)」

悲恋の尼寺「祇王寺(ぎおうじ)」1000734

出典:Dhamatakaさんの投稿

紅葉の名所としても、穴場的な人気のある「祇王寺」。夏には、京都随一といえる苔マニア必見の庭園もはずせません。10種類以上の苔が、ボリュームたっぷりに育った庭園が出迎えてくれます。京都の式を美しく魅せてくれる「祇王寺」にまつわる悲しい恋の物語を知ってから、ぜひ訪れてみてください。

「平家物語」の悲しい恋の物語

平清盛の寵愛

平清盛の寵愛979051

出典:ター君さんの投稿

平家全盛の時代、京の都では美しき白拍子姉妹の「祇王(ぎおう)」と「祇女(ぎにょ)」の踊りや唄に民衆も貴族も夢中でした。清盛はこの姉妹を非常に気に入り、屋敷に迎え優遇しました。気前よく、姉妹の母「刀自」には屋敷を別に設え、仕送りまでしたというのですからその寵愛ぶりはかなりのものだったようです。

祇王の幸運

祇王の幸運979052

出典:クリースさんの投稿

特に姉の祇王は寵愛も深く、清盛は片時も祇王が離れることが無かったというのですから白拍子としての技量だけでなく、清盛の心を癒す母性も強く持ち合わせていたのではないでしょうか。この二人の仲を裂くことになるのが、この祇王自身とは幸せな時には思いもしなかったでしょう。

新たな白拍子の登場

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出典:ginkosanさんの投稿

祇王が寵愛を受けている頃、京の都には加賀から流れてきた「仏」という白拍子が話題になっていました。ところがが清盛はまったく興味を示さない為に、この白拍子は大胆にも清盛の屋敷に押しかけてきたのです。天下の平清盛に白拍子如きが、そう簡単に会えるわけがありません。追い返される仏を、哀れに思った祇王は『せめて舞だけでもご覧になってはいかがでしょう』と清盛に頼み込みました。

清盛のステータス

清盛のステータス979047

出典:chiikanさんの投稿

祇王に促され、しぶしぶ仏の舞を見る事になった清盛ですが、“若く美しい”仏にあっという間に夢中になってしまいます。なんと清盛は祇王を追い出して、仏を側におきたいと言い出す始末。仏は自分の実を認めてもらうだけが目的でしたが、清盛は評判の若く美しい白拍子を側に置くことが、自分のステータスぐらいにしか考えていなかったようです。

祇王が読んだ歌

祇王が読んだ歌979050

出典:ginkosanさんの投稿

自分を愛した清盛はもう祇王の前にはいませんでした。遊女と時の権力者の関係が何時までも続くとは思っていなかったとは言え、あまりに急な別れに祇王はその理由さえ妹にも母親にも告げず屋敷を出ていきます。

『萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはではつべき』

尼になる決意

尼になる決意979043

出典:buttonさんの投稿

それでも清盛に対する恋慕を断ち切れずにいた祇王でしたが『仏が寂しがっているから顔を出すように』との再三の催促に、とうとう俗世を捨て尼になる決意をします。無神経な清盛の態度に死を考えた祇王ですが、『男の為に命を捨てるなら御仏の弟子となり俗世から離れては』の母親の意見に従ったのですね。

若い尼僧の正体

若い尼僧の正体979042

出典:dukkiiさんの投稿

祇王が嵯峨の静かな庵で、念仏三昧の日々を送っていたある日若い尼僧が訪ねてきます。祇王に将来の自分を重ねた仏は、祇王が髪を下して暫くして後を追うように尼僧となったのでした。こうして清盛に人生を振り回された、4人の女性は身を寄せながらこの嵯峨で生涯を終える事になったのです。

清盛を愛した女性達

こちらの仏壇には、本尊大日如来だけでなく祇王、祇女、母の刀自、仏御前の木像が安置されています。それだけでなく、平清盛の木像も。心変わりにより、自分の人生を台無しにされたにも関わらず祇王は最後まで清盛を愛していたのでしょうか。目に水晶がはめ込まれた木像で鎌倉末期に製作されたものだそうです。

静かな嵯峨野で半生を過ごした白拍子

静かな嵯峨野で半生を過ごした白拍子995848

出典:

祇王は21歳、祇女は19歳で出家、仏にいたっては17歳での出家と若く美しい時期を清盛に捧げ、そして権力者の愛は気ままである事に虚しさを覚え、残りの人生を尼として生きた女性たち。彼女達は、翻弄されるだけでなく自分の人生を自ら幕引いた強い意思を持っていました。そんな彼女達は、不幸にみえて本当は幸せだったのではないのか。ここを訪れるとそんな気持になってしまうのです。本当の事は彼女達の口から語られることはありませんでしたが、静かなこの祇王寺で尼僧の反省に心を傾ければ自分がどんなに恵まれた環境にいるのかを感じられるのではないでしょうか。

祇王寺の見どころ

輝きにより見え方が異なる「吉野窓」

輝きにより見え方が異なる「吉野窓」1000796

出典:m.shino35さんの投稿

祇王寺といえば、草庵にある「吉野窓(よしのまど)」も有名です。

輝きにより見え方が異なる「吉野窓」979041

出典:kiyotti3さんの投稿

柔らかな丸窓で、光の入り具合によって虹色に影が映ることから虹の窓とも称されています。静かな境内には、四季折々の美しい花や緑が風に揺られています。彼女達は何を思いこの吉野窓からの風景を見ていたのか……ここでひと時思いを馳せてみましょう。

移り変わる四季を楽しもう

秋は紅葉が楽しめる

秋は紅葉が楽しめる995836

出典:Falfaさんの投稿

小さなお寺なのですが、紅葉の季節はそれは見事な美しさ。苔の上にも真っ赤なな落ち葉が広がる様を、祇王たちも楽しんだのかもしれませんね。

おすすめは夏!素晴しい苔を見逃さないで!

おすすめは夏!素晴しい苔を見逃さないで!995842

出典:

紅葉で有名なので、秋にはたくさんの人が訪れますがシーズンオフの初夏は絨毯のような苔がなんとも美しいこと!光の加減や、見る角度によって異なる10種類の苔は京都でも屈指のものです。隠れた名所として、苔マニアならここは外せないスポットです。

おすすめは夏!素晴しい苔を見逃さないで!995843

出典:空色しずくさんの投稿

他のお寺と違いとにかく小さいので、ささっと見て帰ってしまう人も多いのですが、立ち止まる場所一つで違う景観が楽しめてしまうのが一番の魅力。新たな人生の出発点とした祇王たちが、ここで立ち止まり何を思い念仏を唱えたのか……ほんの少し味わってみてください。

祇王寺近辺で、京グルメを味わおう

大文字屋

「大文字屋」外観 996010 嵯峨釈迦堂(清凉寺)の境内にあります

出典:大哉心乎さんの投稿

「あぶり餅」は食べると、無病息災で一年間過ごせるご利益があるとされています。この竹串は、西陣の機織に使うと安全に織ることができたという縁起の良いものなんです。清涼寺の仁王門横にある茶屋になるので、ひと息入れてじっくり境内を回りましょう。

「大文字屋」料理 1000821

出典:マシュランさんの投稿

小さくちぎった餅に、きなこをまぶして炭火で焼いたものに白みそたれをつけたもの。香ばしい炭火焼きの香りに、京都らしい白みそがマッチング。みたらし団子とは一味違う伝統的な味を堪能してください。

大文字屋

閉業や休業等の理由により食べログに店舗情報が存在しないか、一時的な障害で店舗情報が取得できませんでした。

嵯峨豆腐 森嘉(もりか)

「嵯峨豆腐 森嘉」外観 996050

出典:薫美さんの投稿

京都の有名店に豆腐を下しているのがこちら。渡月橋の上流にある『松籟庵(しょうらいあん)』でもこちらの豆腐を用いているんですよ。豆腐やお揚げを購入できるだけでなく、その場で食べることができるので軽食としてもおすすめです。

「嵯峨豆腐 森嘉」料理 996049 ひろうす

出典:Mハルさんの投稿

店頭で食べることができるのは、「飛龍頭(ひろうす)」と「あげ」だけ。ユリ根、銀杏がたっぷり入ったひろうすは、熱々に少しの塩で味わってください。おやつ代わりにもぴったりですが、意外にもお腹がいっぱいになるので食べ過ぎに注意してくださいね。

嵯峨豆腐 森嘉の詳細情報

嵯峨豆腐 森嘉

トロッコ嵯峨、嵯峨嵐山、トロッコ嵐山 / 豆腐料理

住所
京都府京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42
営業時間
[月]  09:00 - 17:00 [火]  09:00 - 17:00 [水]  定休日 [木]  09:00 - 17:00 [金]  09:00 - 17:00 [土]  09:00 - 17:00 [日]  09:00 - 17:00 ■ 定休日 第3第4火曜
定休日
水曜日
平均予算
  • ~¥999
  • ~¥999

祇王寺へは嵐山から、ぶらり散策してみよう

祇王寺へは嵐山から、ぶらり散策してみよう996000

出典:

竹林庭園も門前にできたので、以前よりもさまざまな楽しみ方ができるようになりました。最寄り駅がないので、人力でここまで連れて来てもらったり、嵐山駅からレンタサイクルを利用してもよいですね。大覚寺・祇王寺(2カ寺)共通拝観券も販売されていますので、ゆったりと嵐山を楽しんで、のんびりとした気持ちで向かう事ができます。侘しいこの地に女性が骨を埋める覚悟をして歩いたのではないかと考えるのも面白いと思います。春から夏にかけて、この周辺の空気は澄んで美しく体もきっと元気になるはず。悲しい伝説はありますが、きっと最後は幸せだったのではないか……帰り道にはそんな思いを胸に帰途につけるはずです。

祇王寺へは嵐山から、ぶらり散策してみよう1000730

出典:つぶれあんぱんさんの投稿

祇王寺の詳細情報

祇王寺

住所
京都府京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
アクセス
・JR嵯峨野線嵯峨嵐山駅、京福電鉄嵐山駅より徒歩20分 ・バス「嵯峨釈迦堂前」下車 徒歩15分
営業時間
9:00〜17:00 (受付終了16:30)
料金
拝観料:大人300円・小人 (小中高生) 100円 大覚寺、祇王寺 (2カ寺) 共通拝観券:600円

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