2016年04月06日
世界で一番有名な料理人「ポール・ボキューズ」のフレンチを東京で♪
「ポール・ボキューズ」と言えば、ふだんフランス料理にあまり縁がないひとでもその名を知っている超有名店。実は東京に4店舗も展開しているのです。お手軽なランチコースから「スズキのパイ包み焼き」「牛フィレ肉のロッシーニ風」などのスペシャル料理まで、東京でフレンチの名店の味を楽しんじゃいましょう!
世界でいちばん有名な料理人と言われるポール・ボキューズは、1926年にリヨン近郊のコローニュ・オー・モン・ドールという街に生まれました。
ボキューズ家はもともと料理人の家系で、ポール・ボキューズも16歳になると料理人としての修行を始めます。途中、第二次世界大戦に従軍したものの、その後はリヨンやパリで修行を続け、1950年にヴィエンヌ県の超一流レストラン「ラ・ピラミッド」の厨房に入ります。ボキューズはこのレストランで「もっとバターを!」という名言で有名な、史上最高と評されるフランス料理のシェフ、フェルナン・ポワンの薫陶を受けるのです。
1959年に実家の「ポール・ボキューズ」を継ぐと、店は1961年に早くもミシュランガイドの1つ星に輝きます。さらに1965年になると初の3つ星を獲得し、その後は現在までその3つ星を維持し続けているのです。
1970年代になると、ポール・ボキューズは辻調理師専門学校の創設者・辻静雄氏の招聘で日本へやって来ます。彼はこのとき懐石料理や京料理などに触れ、そこから季節ごとの素材を活かす調理法や、料理にふさわしい器を用いた目にも美しい盛りつけの方法などを学びました。ポール・ボキューズはフランスに戻るとさっそくこの手法をみずからのレストランで提供する料理に取り入れ、「ヌーヴェル・キュイジーヌ(伝統的フランス料理の過度な様式化を廃し、新鮮な素材をいかしたシンプルな料理を志向する料理運動)」の旗手となりました。
ポール.ボキューズさんのおかげで、世界中の料理人の地位があがったんです。シェフの腕組みスタイルも、ポール.ボキューズが最初。 pic.twitter.com/b4b9m89ZQO
— 土井善晴 (@doiyoshiharu) 2016, 2月 6
1975年にはフランス料理界におけるそれまでの功績が評価され、フランスの最高勲章である「レジオンヌ・ド・ヌール勲章シュヴァリエ」を授章します。この授章の際にフランス大統領官邸であるエリゼ宮でおこなわれた午餐会で、ポール・ボキューズは独創的なスープ料理を当時のヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領のために作り上げました。このスープ料理がのちに「ポール・ボキューズ」の代表的なスペシャリテ(レストランの看板料理)となるのです。
2016年に90歳を迎えたボキューズは現在ではほとんど料理をしていないようですが、まだまだ健在で、いまはフランス料理のさらなる発展と後進の育成のために力を注いでいます。かつては「ヌーヴェル・キュイジーヌ」の旗手と呼ばれたボキューズですが、現在ではむしろソースづくりに丹精を込める正統派のフランス料理を重要視しています。
Vous êtes formidable, merci pour vos messages!You are amazing, thank you all! #birthday #90thbirthday #happy #bocuse pic.twitter.com/D7qdFWprRi
— Paul Bocuse (@PaulBocuse) 2016, 2月 11
"words of the emperor" Paul Bocuse : interviewer Yoshiki Tsuji - YouTube
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そんな人生を謳歌するシェフ、ポール・ボキューズですが、彼の料理の特徴は「良い素材」「良い火加減」「良い味付け」。フランス料理の基本に忠実で、味付けはけっして奇をてらわず、調理方法や盛りつけに遊び心を見せてくれます。彼のスペシャリテはいくつもあるのですが、もっともボキューズらしいと言えるものをいくつかご紹介しますね。
なにやら長い名前のスープですが、これが先ほど述べた、レジオンヌ・ド・ヌール勲章を授章した際の午餐会でヴァレリー・ジスカール・デスタン(V.G.E.)大統領に供したスープです。
底のやや深いスープ容器の上面に覆い被さるように、パイ生地を載せてオーブンで焼き上げたもの。このパイの蓋は懐石料理の汁椀のふたに見立てたもので、スープの具材となっているトリュフの香りを逃がさないようにするという実際的な効果もあります。スープを飲む際にパイをスプーンで崩すのですが、その瞬間に立ち上るトリュフの香りはパスタの上にちょろっと削って載せるトリュフなどとは段違いの力強さで、大げさでなく至福の瞬間を味わうことができます。
昨夜のボキューズのスペシャリテのスープはほんと美味しかった
— 星くず⚢純情MiMinGos (@_hoshikuzu_) 2014, 12月 20
fond自体美味しいし、トリュフとフォアグラとか具沢山だし生地も美味しいし熱々だったし
これいっぱいで1万の価値があるのはまあわかる pic.twitter.com/hyE8chJTA2
ボキューズが「ラ・ピラミッド」で師匠のフェルナン・ポワンから伝授された料理で、まるまる1匹のスズキを魚の形をしたパイに包み込んで焼きあげたものです。師匠のポワンはシンプルにエシャロット、バター、白ワイン、レモン汁を使うブールブランソースで提供していたそうですが、ボキューズの場合は卵黄、トマト、ワインビネガーなどを加えた酸味の効いたショロン・ソースでいただきます。
これもまた素材の見た目を再現した一品。白身魚の上に丸く型抜きしたジャガイモをうろこ状に並べていっしょに焼き上げたものです。魚の身のふっくらとした食感とさっくりと揚がったジャガイモのクリスピーな食感の対比が楽しめますよ。
フランスでは魚料理の代表的な食材であるルージェ(ヒメジ)を用いますが、日本の「ポール・ボキューズ」では甘鯛を使用したものをいただくことができます。ソースはフュメ・ド・ポワソン(香味野菜や魚の骨、アラなどを煮詰めて作る出汁)、白ワインなどをベースにしたホワイトソースで、赤ワインのソースでさらに水草のような模様が描かれています。
かつて「料理の鉄人」というテレビ番組で料理評論家の服部幸應氏が何度も解説していたので覚えていらっしゃるかたも多いと思いますが、「ロッシーニ風」というのは牛フィレ肉のステーキにソテーしたフォアグラを載せ、トリュフの入ったマデラ酒のソースをかけていただくというなんとも贅沢なスペシャリテです。
世界三大珍味の3分の2をひと皿で味わえてしまうこの料理は、美食家でもあった作曲家ロッシーニが愛した料理ということで「ロッシーニ風」と呼ばれるようになりました。
夏祭りの出店に並んでいる水風船のようななんとも奇妙な見た目ですが、これもれっきとしたフランスの伝統料理。しかも、とても理にかなった料理なんです。
ベッシーというのはフランス語で「膀胱」のこと。そう、この水風船のように膨らんだものは実は豚の膀胱なんです! この中に具材を入れて加熱することにより、水分や香りを逃がすことなく食材に火を通すことができるんです。言うなれば、まだ調理器具が発達していない時代の「真空調理法」といったところでしょうか。
ブレス鶏はフランス中東部のブレス地方で飼育されているニワトリで、赤いトサカ、白い羽根、青い足がなんともフランス国旗を彷彿とさせる地鶏なんです。肉質の特徴は脂肪が筋肉繊維の奥深くまで浸透した「霜降り」になっていることで、この脂肪分と水分をそのままの状態に保ちながら加熱するためには、ベッシー包みという調理法が最適だったのです。
これは説明は不要ですね。もはや一般的なデザートとなっているクリーム・ブリュレですが、実はこれを現在のかたちにしたのもポール・ボキューズなんですよ。
映画『アメリ』で主人公のアメリのマイブームは「クリーム・ブリュレの表面をスプーンで割ること」でした。しかしフランスで伝統的に食べられていたクリーム・ブリュレはカスタードのうえにまぶした砂糖をバーナーでキャラメリゼしてはいましたが、映画のように飴みたいなパリパリ感ではありませんでした。この「パリパリ」スタイルを定着させたのがポール・ボキューズなんです。ボキューズがいなかったら、アメリの人生もちょっとだけつまらないものになっていたかもしれませんね。
先日ふらり立ち寄った「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ/BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee」にて。「“ムッシュ ポール ポキューズ”のクレーム・ブリュレ」
— Takashi.F (@fattaka) 2016, 2月 16
卒倒するほどウメ〜〜〜〜 pic.twitter.com/4yxNTwM5L8
さて、そんな世界一有名なフレンチレストラン「ポール・ボキューズ」ですが、日本ではフレンチレストランやカフェなどを展開する株式会社ひらまつと提携し、東京、名古屋、福岡、金沢に合計8店舗が存在しています。ここからは、東京で上記のスペシャリテをはじめとする最高級フランス料理の数々をいただけるレストランをご紹介していきますね。
2007年6月にオープンした「メゾン ポール・ボキューズ」は、日本各地に展開する「ポール・ボキューズ」の総本店です。代官山の駅を出て旧山手通りを神泉のほうに歩いて行くと、右手に見えてくるコンクリート造りの低層の建物。その地下1階部分にあるのが「メゾン ポール・ボキューズ」です。
らせん階段を下りるとエントランスがあり、店内には大きなサロンと2つのダイニング、バー・ラウンジがあります。一番奥のメインダイニングは、赤い壁が目を引く落ち着いた空間。テレビドラマの飲食シーンなどでもよく使われていますが、印象的なアール・ヌーヴォー調のインテリアなのですぐに分かります。
これに対し大きなサロンは、ティファニー製のステンドグラスとラグジュアリーなシャンデリアが目を引く贅沢な空間です。
「メゾン ポール・ボキューズ」は一棟まるまる貸し切りにして、結婚式を挙げることもできちゃうんですよ。結婚式は何に重きを置くかで会場選びが変わってきますが、何よりも素晴らしい料理の数々でゲストをもてなしたいとお考えの方にはベストプレイスなのではないでしょうか。
メゾン ポール・ボキューズの詳細情報
メゾン ポール・ボキューズ
代官山、中目黒、神泉 / フレンチ、イノベーティブ
- 住所
- 東京都渋谷区猿楽町17-16 代官山フォーラム B1F
- 営業時間
- [月] 定休日 [火] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) [水] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) [木] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) [金] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) [土] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) [日] 12:00 - 15:30(L.O. 13:30) 18:00 - 23:00(L.O. 20:00) ■ 営業時間 詳細は公式HPをご覧ください。 ■ 定休日 月曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- 定休日
- 月曜日
- 平均予算
- ¥6,000~¥7,999
- ¥30,000~
2007年1月21日にオープンした「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」。実はここが日本初出店の場所なんです。収蔵品を持たない企画展中心の新しい国立美術館のオープンに合わせて、美術館を訪れるもうひとつの楽しみを提供するためのミュージアムレストランとして「ポール・ボキューズ」が選定されました。
黒川紀章氏の設計による天井高21メートルのアトリウム。そこにそびえ立つ三角錐をひっくり返したような構造物の上部に「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」はあります。182席の店内にはガラス張りの美術館の壁面から光が射しこみ、夕暮れになると西の方向から美しく幻想的な夕陽が射しこみます。
「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」では手軽なランチセットやコースのほかに、展覧会の内容に合わせたコラボメニューが訪れるひとを楽しませてくれます。
たとえば、フェルメールの絵画『天文学者』にインスパイアされた「鴨フォアグラのソテー 薫り高い黒トリュフのソース」は、絵画のなかで天文学者が着用している日本の着物をイメージした盛りつけをおこない、フェルメールの祖国であるオランダにちなんだオランデーズソースが添えられています。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼの詳細情報
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ
乃木坂、六本木、青山一丁目 / ビストロ、フレンチ
- 住所
- 東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館 3F
- 営業時間
- [月] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) [火] 定休日 [水] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) [木] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) [金] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) [土] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) [日] 11:00 - 14:00 16:00 - 21:00(L.O. 19:30) ■ 営業時間 ≪ご予約について≫ ご予約は、ディナータイムのみ承っております。(16:00~) ■ 定休日 火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- 定休日
- 火曜日
- 平均予算
- ¥3,000~¥3,999
- ¥10,000~¥14,999
2007年9月1日にオープンした都内2軒目のブラッスリースタイルのお店で、銀座マロニエゲートの10階にあります。ボキューズはレストランに比べて気軽なスタイルのブラッスリーでは、おいしい料理とワインを囲みながら気軽に仲間と語り合う「談食」を楽しんでほしいと願っているのだそうです。
植物と大きなエンブレムが目印となっているエントランスを通ると、窓ガラスに囲まれた広々とした店内がひろがっています。店内は木を多く使った落ち着きのある内装ですが、ところどころにゴールドの装飾がほどこされていて、銀座らしいエレガントさも兼ね備えています。ブラッスリーの気軽さと銀座の優雅さを感じながら、最高の料理をいただきたいですね。
ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座の詳細情報
ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座
銀座一丁目、有楽町、銀座 / ビストロ、フレンチ
- 住所
- 東京都中央区銀座2-2-14 マロニエゲート銀座1 10F
- 営業時間
- [月] 11:00 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [火] 11:00 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [水] 11:00 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [木] 11:00 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [金] 11:00 - 15:00(L.O. 14:00) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [土] 11:00 - 15:00(L.O. 14:30) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [日] 11:00 - 15:00(L.O. 14:30) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) [祝日] 11:00 - 15:00(L.O. 14:30) 17:30 - 22:00(L.O. 20:00) ■ 定休日 なし(但しビル休館日に準ずる)
- 平均予算
- ¥6,000~¥7,999
- ¥10,000~¥14,999
2007年11月6日にオープンした「ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京」は、デパートの買い物客や東京観光に来た家族連れ、丸の内のオフィスワーカーなど幅広い客層に立ち寄ってもらうダイニングを目指してオープンしました。
こちらの店内は代官山と同様に赤を基調としながらも、モダンでポップなデザインを取り入れ、幅広い客層に対応した空間を演出しています。キッチンは半オープンになっているので、コックたちが忙しく調理しているパフォーマンスを目にしながら料理を楽しむことができるのもうれしいですね。
ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京の詳細情報
ブラッスリー ポール・ボキューズ 大丸東京
東京、日本橋、大手町 / ビストロ、フレンチ
- 住所
- 東京都千代田区丸の内1-9-1 大丸東京店 12F
- 営業時間
- [月] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [火] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [水] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [木] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [金] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [土] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) [日] 11:00 - 22:00(L.O. 21:00) ■ 営業時間 ※詳細は公式HPをご覧ください。 ■ 定休日 不定休(大丸に準ずる)
- 平均予算
- ¥4,000~¥4,999
- ¥10,000~¥14,999
いかかでしたか? 超有名な正統派フレンチというと思わず身構えてしまいそうですが、「ポール・ボキューズ」は気軽にフランス料理を楽しんでもらうためにお店の形態や料理のコースを充実させてあなたをお待ちしています。まずはランチコースから、そしていつかは記念日のディナーなどでぜひ訪れてみてくださいね。