2016年04月13日
イモなのに芋じゃない?「わかさいも」は北海道民自慢のスイーツ!
北海道出身のひとは「道産子のDNA」「スロー風土(フード)」というキャッチコピーを聞いて、あるお菓子のことを思い出すと言います。そのお菓子の名前は「わかさいも」。北海道・洞爺湖温泉の名物で、地元の素材にこだわり余計なものは使っていないという、ヘルシー志向の現代人にもふさわしいスイーツなんです。道内の小学生が修学旅行で洞爺湖に行くと必ずおみやげに頼まれるというこの「わかさいも」。いったいどんなお菓子なのか、いっしょに見ていきましょう。
2008年にアメリカのブッシュ大統領やフランスのサルコジ大統領、ドイツのメルケル首相らが参加して行われた第34回主要国首脳会議(サミット)。その会場となった北海道洞爺湖温泉にあるのが、「わかさいも」を作っている株式会社わかさいも本舗です。
「わかさいも」の見た目はこんな感じ。大きさは100円ライターとほぼ同じくらいで、手にすっぽりとおさまるサイズです。外見はこんがりと焦げ目がついていて、冬によく食べる石焼きいもをそのまま小さくしたイメージ。
ふたつに割って中を見てみると、その色味は外皮と見事なコントラストをなした上品な白さ。一般に黄色みがかっている石焼きいもとは違いますが、ぴんぴんと毛羽立っている繊維質は、やはりサツマイモ由来を思わせるもの。
でもサツマイモって、その名のとおり鹿児島のほうで育つイモですよね。いったいどんなサツマイモを使っているんだろうと思って原材料名を見てみると、
原材料:砂糖、大福豆、手亡豆、小麦粉、醤油(大豆由来)、鶏卵、昆布、食塩
なんと、サツマイモは一切使われていないんです!
それもそのはず、「わかさいも」は「芋よりも、いもらしく」という強いこだわりから開発されたお菓子で、しかもその原料はほとんどが北海道でとれるものばかりなんです。くわしく見ていきましょう。
・大福豆
大福豆(おおふくまめ)は、白インゲン豆の一種。大粒で味わいがよく、見た目も美しいので、甘納豆や煮豆、和菓子などに利用されることが多い豆です。北海道の洞爺湖周辺の特産品ですが、栽培に手間がかかるので、必然的に価格の高い高級豆なんです。「わかさいも」は、そんなただでさえ高級な大福豆を毎年秋に品質チェックし、厳選されたものだけを使用して、焼きいものホクホク感を再現しています。
・昆布
「わかさいも」を割ったときにあらわれるイモ風の繊維質は、道南産の金糸昆布で再現しています。金糸昆布というのは、芯を取った昆布を細く刻んで、糸状にしたもの。ご存じのとおり、日本料理のだしにも用いられる昆布は、グルタミン酸という天然のうま味成分を多く含んでおり、大福豆の優しい甘さを深いところから支えています。また、昆布は「わかさいも」のホクホクした食感にもアクセントを加えていますよ。
「わかさいも」っていう北海道のお土産を頂いた。
— しじみ (@3399_hananan) 2016年4月1日
お芋を使わないで焼き芋みたいなお菓子を作ろうとするのもすごいんだけど、
お芋のすじを再現するために昆布を使うのが面白いと思った。
もちろん美味しかったです、エミさんありがとう。 pic.twitter.com/QjvC1vxXmQ
・卵醤油
「わかさいも」の外皮のつややかさと焦げ目は、表面に卵と醤油をまぜた卵醤油をぬり、香ばしく焼きあげることで表現されています。この卵醤油は、バニラアイスにたらす醤油と同じように、大福豆の甘さをより引き立てる役割もしています。
なんでも「わかさいも」が考案された当時は、まだ和菓子に醤油を使うという発想がなく、全国初の試みだったそうです。そんなものめずらしさもあって、当時黒松内を訪れた閑院宮春仁殿下が、「わかさいも」を召し上がった際に「塩気のある菓子は初めて食べたが美味だ」と語ったと伝えられています。
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このように洞爺湖や北海道の地元の食材を使い、味のために不必要なものは一切使わず、厳しい品質チェックのもとで生産されている「わかさいも」は、食の安全や地域食材の活用がとりざたされる現在の食にまつわるシーンの、まさに先取りをしていたと言ってもいいでしょう。そして北海道でその味にふれたひとたちによって、現在でも口コミで日本全国にファンの裾野を拡げている、まさに「スローフード」なんです。
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「わかさいも」が考案されたのは大正12年。北海道・黒松内駅で菓子販売をしていた会社の創業者・若狭函寿氏により、「やきいも」という名称のお菓子(もちろん、当時から大福豆と昆布で作っていました)として誕生しました。その後、若狭氏はたまたま訪れた洞爺湖温泉に惚れこみ、昭和5年に移転。この地において再出発するにあたり、若狭氏の友人で当時小樽新聞の文芸部記者をしていた唯是日出彦氏(彼は画家、漫画家、コピーライターでもあり、いまで言うところのマルチクリエイターでした)が、「わかさいも」と命名したのだそうです。
太平洋戦争中は原料である砂糖が品不足となり、同業者の多くがサッカリンなどの人工甘味料を代用品としてもちいるようになりました。そんななか若狭氏は、砂糖でなければ味を保つことができないと、7年もの間「わかさいも」の製造を中止。製造を再開したのは戦後の昭和25年のことでした。
そんな菓子づくりにかける真摯な姿勢と強い情熱が実り、「わかさいも」は昭和34年、ロンドンの国際菓子大博覧会で金メダルを獲得。そして昭和48年には、鹿児島市でおこなわれた「お菓子のオリンピック」とも呼ばれる全国菓子大博覧会で、最高賞である名誉総裁賞を受賞します。この賞は、山梨の「桔梗信玄餅」や沖縄の「紅いもタルト」なども受賞している、菓子界の最高名誉なんですよ。
そんな「わかさいも」の工場の様子をおさめた動画がありましたので、2本続けてご覧ください。
2010.03.08 わかさいもの生産見学IF - YouTube
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2010.03.08 わかさいもの生産見学2F - YouTube
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特筆すべきは、工場の2階で焼き上がった「わかさいも」を包装紙にくるむ機械。これは、今となっては貴重な「ひねり」という機械なんです。実はお菓子を個別包装するというアイディアも、アメリカの生菓子がひとつひとつパラフィン紙で包まれているのを参考にして、「わかさいも」が全国に先駆けて真っ先に取り入れたらしいのです。
現在ではキャンディーなどの小さな菓子を包む「ひねり」はあっても、「わかさいも」ほどの大きさのものを包む機械は、もう製造されていないんだそうですよ。
「わかさいも」を製造している株式会社わかさいも本舗は、ほかにもさまざまなスイーツを販売しています。ケーキなどの生菓子もおいしいのですが、ここでは「わかさいも」同様に日持ちがして、北海道みやげとしてオススメのスイーツをいくつかご紹介しますね。
いもてんは「わかさいも」を油で揚げたスイーツ。「わかさいも」が焼きいもなら、「いもてん」はさしずめサツマイモの天ぷらといったところ。使っている油だって、多くの天ぷら店が使用している高純度の白絞油なんです。昭和43年発売のロングセラーで、好みは分かれますが「わかさいも」よりも好きだというひとも多いスイーツなんですよ。
この「いもてん」、道内の店舗では揚げたてを販売しているところもあります。これがまた最高に美味なんです。都市部でも、デパートの北海道物産展などで実演販売されることがあるので、見かけたら揚げたてをぜひ味わってみてください!
2016年4月6日から12日までは、東京・日本橋三越の全国銘菓店で「いもてん」の実演販売をしていました。
せっかくの機会なので筆者も出かけてみたのですが、やはり揚げたては最高においしいです!
温泉といえば温泉饅頭。洞爺湖温泉に本拠を構えるわかさいも本舗が、自信を持って生み出した温泉饅頭が「わかさいも本舗のおいしいまんじゅう」です。
この饅頭も「わかさいも」同様に素材にこだわっており、餡には道内の十勝産小豆を、黒砂糖と醤油が練りこまれた皮の原材料には、道産の小麦を使用しています。
わかさいも本舗のおいしいまんじゅうTVCM「みなさんのおかげです」編 - YouTube
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北海道土産が「わかさいも」ではなく、「わかさいも本舗のおいしいまんじゅう」だった件。 pic.twitter.com/P7tDfdDvuW
— よーちゃん (@yochanct) 2016年3月24日
北海道の特産品のひとつである「ジャガイモ」。わかさいも本舗ではそんなジャガイモのお菓子もあるんです。それが「北海道じゃがッキー」。
ジャガイモを主原料にしたクッキーなので、普通のクッキーにはない、口の中でほろほろとくずれていく食感が楽しめます。噛みしめるとちゃんとジャガイモの味がします。ほんのりときいた塩味が、ジャガイモとの相性バッチリ。
こちらも北海道限定!
— どさんこいちばyokohama (@dosankoyokohama) 2015年6月17日
わかさいも本舗さんの
『じゃがッキー』
おいもとバターの風味が良いです。
おいも好きさん寄っといで〜♪( ´θ`)ノ pic.twitter.com/vqtDbCY7I4
味のバランスを考えて半分だけチョコレートのかけられた「北海道チョコじゃがッキー」もありますよ。
じゃがッキーリニューアル編 - YouTube
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わかさいも本舗 冬季限定!
— takaまろん (@taka_mrn) 2016年2月20日
「北海道ホワイトチョコ じゃがッキー」おいしい☆
じゃがッキーがホワイトチョコレートと出会って、ちょっとリッチなクッキーになりました(^-^) pic.twitter.com/RJLqupBQZ8
この「北海道Ma-nmaru」は、2016年3月18日に発売になったばかりの新商品なんです。その名のとおり、見た目は北欧のハッロングロットルのような円形をしたクッキーなんですが、中央にはジャムではなくチョコレートがのっかっています。
クッキーの生地は、北海道産の小麦粉を100%使用したしっとりタイプ。中央にのったチョコは、抹茶・チョコレート・ホワイトの3タイプがあって、生地もそれぞれに合わせて風味が変えられています。
何か目新しい北海道みやげをお探しのかたは、ぜひ手に取ってみてくださいね。
以上、「わかさいも」と関連スイーツについてご説明してきましたが、どこで購入できるかが気になってきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。基本的には主要駅や空港の土産物店で購入することができますが、ここからは確実に購入することができる直営のショップをご紹介していきましょう。
株式会社わかさいも本舗の本社がある洞爺湖温泉にあるお店、同社のフラッグシップショップといえるのがこの「わかさいも本舗 洞爺湖本店」です。
店の造りは、1階が和菓子や洋菓子を各種取りそろえたショップとカフェ。2階には、眼前にひろがる洞爺湖のパノラマ風景を眺めながら食事ができるレストランがあります。
1階ショップの奥では、先にご紹介した「いもてん」を実演販売していますので、ぜひとも揚げたてを賞味してみてくださいね。
わかさいもの所にきてます!! pic.twitter.com/ayRmBnxptf
— モチコ@課題が…死ぬ… (@BlkqmbLDtv8ekaZ) 2016年3月21日
わかさいも本舗 洞爺湖本店の詳細情報
わかさいも本舗 洞爺湖本店
洞爺湖町その他 / 和菓子、洋菓子、カフェ
- 住所
- 北海道虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉144
- 営業時間
- [月] 09:00 - 18:00 [火] 09:00 - 18:00 [水] 09:00 - 18:00 [木] 09:00 - 18:00 [金] 09:00 - 18:00 [土] 09:00 - 18:00 [日] 09:00 - 18:00
- 平均予算
- ~¥999
出張などで北海道に行く機会が多いビジネスマンや、札幌観光が目的の旅行者にうれしいお店が、JR札幌駅の飲食店街「パセオ」内にあるこのお店。
「わかさいも」「いもてん」などの定番スイーツが充実していますが、黒糖饅頭の「ぽっぽまんじゅう」も大人気なんです。かつて札幌駅を始発駅として走っていた、SLニセコ号をイメージしたこのおまんじゅうは、特に地元のひとたちが通りがかっては買っていく様子が見られますよ。
『ぽっぽまんじゅう』
— ちょこ *♡ (@MeguChoco0014) 2016年1月21日
私にとっては
忘れ得ぬ世界一の饅頭。
蒸気機関車のような
力強い蒸気で蒸したという
しっとり感。 pic.twitter.com/HPsnhOJ6Od
北海道の玄関口という場所柄、新製品のデモンストレーションなども頻繁におこなっているこのお店、札幌に来た際にはかならず立ち寄ってみてくださいね。
またもや。
— ちょこ *♡ (@MeguChoco0014) 2016年4月1日
『ぽっぽまんじゅう』
この思いを
つないでいてくれるかな。 pic.twitter.com/893Lxf3tqf
わかさいも本舗 札幌パセオ店
閉業や休業等の理由により食べログに店舗情報が存在しないか、一時的な障害で店舗情報が取得できませんでした。
かつて鉄鋼業地帯とした栄えた室蘭にあるお店が、こちらの「わかさいも本舗 室蘭中央店」。JR室蘭駅から徒歩2分とアクセスもばっちりです。お店の外観は「鉄のまち」を彷彿とさせる、高い吹き抜けをもった構造のモダンな外観。
このお店では「わかさいも」などの主力商品はもちろん、北海道新幹線の開通を記念して室蘭工業大学、胆振総合振興局との産学官連携で開発された「いぶりナンシェ」を購入することができますよ。ハスカップやタラコ、ジンギスカンなど地元の名物をイメージした12種類の味のフィナンシェを、ぜひご賞味あれ。
【フェイスブックページ】胆振総合振興局食と観光推進室が更新されました。
— 北海道 (@PrefHokkaido) 2016年4月7日
【北海道新幹線開業に向けたおもてなし商品(お土産)開発プロジェクトの開発商品「いぶりナンシェ」が、、https://t.co/I78tTSrbKV pic.twitter.com/ymO2iHoagU
わかさいも本舗 室蘭中央店の詳細情報
わかさいも本舗 室蘭中央店
室蘭 / 和菓子、ケーキ
- 住所
- 北海道室蘭市中央町2-2
- 営業時間
- [月] 09:00 - 20:00 [火] 09:00 - 20:00 [水] 09:00 - 20:00 [木] 09:00 - 20:00 [金] 09:00 - 20:00 [土] 09:00 - 20:00 [日] 09:00 - 20:00
- 平均予算
- ~¥999
洞爺湖温泉とならぶ北海道有数の温泉地・登別にあるのが「わかさいも本舗 登別東店」です。
安藤忠雄建築を思わせるコンクリートむき出しの外観が特徴の登別東店は、道央自動車道の登別インターに近く、車でのアクセスが抜群。こちらも2階建ての建物になっており、1階は菓子フロア、2階にはこの地方のクラフトビール「プレミアムビール 鬼伝説」が飲めるレストランがあります。こちらも1階では「いもてん」の実演販売をやっていますよ。
わかさいも登別東店。 pic.twitter.com/7lY9YUf7pC
— ダイスケ(ジェス中尉) (@Daisuke_3peace) 2016年3月27日
わかさいも本舗 登別東店の詳細情報
わかさいも本舗 登別東店
登別 / 和菓子、ケーキ
- 住所
- 北海道登別市中登別町96-6
- 営業時間
- [月] 09:00 - 18:00 [火] 09:00 - 18:00 [水] 09:00 - 18:00 [木] 09:00 - 18:00 [金] 09:00 - 18:00 [土] 09:00 - 18:00 [日] 09:00 - 18:00 ■ 定休日 元旦のみ
- 平均予算
- ~¥999
冬のリゾート地としてにぎわうルスツにも「わかさいも」が買えるお店があります。
「わかさいも本舗 EAST VILLAGE ルスツ店」は、レンガ色のコンクリートフレームで構成されたおしゃれな外観。秋の紅葉時には、大自然をそのままに残す羊蹄山の麓の景観が、店舗にうまくなじむように設計されています。
こちらのお店では、菓子コーナーのほかに、カフェとレストラン、そしてファンシーショップが併設されています。レストランで食べることのできるルスツ豚のとんかつや、羊蹄山麓でとれた男爵いものコロッケも絶品ですので、おみやげ購入の合間にぜひ召し上がってみてくださいね。
イーストビレッジの詳細情報
イーストビレッジ
留寿都村その他 / 食堂、そば、とんかつ
- 住所
- 北海道虻田郡留寿都村字泉川25-1
- 営業時間
- [月] 11:00 - 18:30 [火] 11:00 - 18:30 [水] 11:00 - 18:30 [木] 11:00 - 18:30 [金] 11:00 - 18:30 [土] 11:00 - 18:30 [日] 11:00 - 18:30 ■ 営業時間 レストラン・・・11:00〜L.O18:30 (※菓子販売ショップは 09:00~19:00) ■定休日 年中無休
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
- ¥1,000~¥1,999
いかがでしたか? 「わかさいも」がいつまでも人びとの心をとらえて離さない理由は、新しいものを切り開こうとする北海道の開拓者精神が、そのひとつひとつに息づいているからではないでしょうか。まさに「道産子のDNA」の象徴ともいえるスイーツ。とかく派手なスイーツに目を奪われがちですが、次の北海道旅行の際にはぜひ味わってみてくださいね。それと類似品が多いので、購入時にはパッケージをよく確認してくださいね!