【全国】 ドラマチックな時間に包まれよう。マジックアワーに訪れたい絶景スポット10選

「マジックアワー」は、日の出後、日が沈む前に数十分ほど体験できる薄明りの時間帯のことをいいます。この時間帯の撮影では、カメラに特別な設定をしなくても魔法がかかったように美しい写真が撮れることからマジックアワーと呼ばれているんです。つまり撮影用語なんですね。

マジックアワーを迎えると、辺りがオレンジ色に染まったり、紫色から青っぽい昼とも夜ともいえない幻想的なグランデーションで埋め尽くされます。その様子を見ているだけで、心が洗われるようです。

マジックアワーに遭遇すれば、いつも見ている何気ない日常の風景が神秘的な風景に変身。簡単に非日常を体験できるという魅力があります。ビルも橋も海も山も、そして人までも美しくなる時間。この時間帯だけは、イライラした心も、悶々とした心も、何もかもが癒されるのです。それが、一番の魅力かもしれませんね。

マジックアワーのベストシーズンといえば、空気の澄んでいる秋から冬。でも、実は、春から夏にかけても意外とマジックアワーを楽しめる時期なんですよ。雲ひとつない澄んだ空が多い秋や冬とは違って、春から夏にかけては白く薄い雲が空に広がることが多いんです。同じ場所でも季節や気候条件によって、ドラマチックなマジックアワーを過ごすことができるんです。

自然が作り出す芸術は、その瞬間その瞬間で刻々と変化し二度と出会えることはありません。そう思うと、味わい深く儚い気持ちになりますね。それでは、全国のマジックアワーの世界を覗いてみましょう。

1910年に四十三山（よそみやま）の噴火でできた湖。湖の南側には、昭和時代に誕生した昭和火山や多くの観光客で賑わう有珠山（うすざん）があります。そして、湖の中心には無人島の中島が浮かぶ独特な景観の湖です。日の出前は、凛とした空気が広がる中、ピンクの世界が静かな湖面に写りとても神秘的。朝の静寂の中、この風景を見ていると心がとても落ち着きます。

大自然に囲まれた洞爺湖は、ネイチャー体験するのにぴったり。刻々と変化する夕空をカヌーを漕ぎながら楽しむことができちゃうんです。朝とは違って、燃えるようなオレンジの空に、黒く浮かび上がる山のシルエットがなんとも幻想的ですね。

横浜の人気デートスポット「みなとみらい21」。マジックアワーの時間帯は、都会的な風景が広がります。青とオレンジのグランデーションをバックに、建物のシルエットが浮かび上がり、キラキラと宝石のような街の明かりが美しい光景を作り出します。港町横浜らしいロマンチックなマジックアワーを過ごせることでしょう。

ここは、彼氏と一緒に来るのが正解かも。パノラマの絶景で楽しむなら、「横浜港大さん橋国際ターミナル」の屋上がおすすすめです。広い空と街の風景がとてもドラマチック！

「みなとみらい21」にある遊園地「コスモワールド」なら、シックな空模様とカラフルで近未来的なマジックアワーを楽しむことができます。大観覧車“コスモロック21”に乗って、空の上からマジックアワーを観賞するのもいいですね。

南米ボリビアの“ウユニ塩湖”のような写真が撮れるとTVやSNSで話題の遠浅の海岸。干潮時、砂浜にできた水たまりの凪いだ水面が鏡のようになって空を映し出す光景が、とても不思議で美しいと人気の場所です。

とくに、干潮とマジックアワーが重なる時は、橙色の海と人のシルエットがとても映えます。その様子は、まるで映画のワンシーンよう。いろんなポーズをとって、素敵な移り込み写真を撮ってみましょう。

リアス式の湾と真珠養殖で知られている英虞湾。夕凪になるととても素晴らしい景色を見せてくれます。マジックアワーになると湾全体がオレンジ色に染まります。そして、美しい海外線とさまざまな形の島々、繊細な山並み、さらには真珠養殖の筏（いかだ）を黒のシルエットへと変化させます。それは、もう息をのむほどの美しさ。

英虞湾周辺の宿泊施設では、サンセットクルーズを出しているところがあります。高台から眺める景色も美しいですが、この雄大な景色を船上から贅沢に眺めるのも一興です。

日本で一番大きな湖の琵琶湖。琵琶湖の朝は、美しすぎてこの世とは思えないほど心が震える光景です。真っ赤に燃える空と、真っ青な雲と湖。そのコントラストが一面を彩ります。その様子はまるで、朝焼けという言葉が琵琶湖の日の出前から生まれたのではないかと思わせられるほど。一方、夕暮れ時は、青がメインに、赤が差し色となって妖艶な景色です。

琵琶湖のマジックアワーの面白いところは、時間帯や場所によって違った表情を見せてくれるところ。琵琶湖周辺にはキャンプ場があるので、キャンプをして日の出前と日没後の両方を楽しむのもおすすめですよ。

瀬戸内海国立公園にある遠浅の海岸。全国でも有数の広大な干潟が現れる場所です。干潮時になると砂地と海水が紋様のようになり、この紋様に映る朝日と夕日が織りなす景色がとても芸術的です。特に朝方は、写真撮影のメッカとなっています。日の出前は、冷たく感じるほどの濁りのない青の世界。日が昇り始めるころになると、黄金色の干潟が輝きだします。いつまでも見ていたい情景です。

空と同じように干潟もグランデーションがかかり、刻一刻とその姿が変わっていきます。タイムラプス撮影*すると、ドラマチックな情景として残しておけるかも。

*タイムラプス撮影…静止画を連続して撮影しそれらを繋ぎ合わせて動画にする手法

日本三景のひとつ”安芸の宮島“。宮島は島そのものがご神体なので、厳島神社のシンボル大鳥居は海に建っています。その存在感は圧倒的。この島が神聖な空間であることをひしひしと感じさせてくれるはずです。マジックアワーになるとさらにその迫力が増します。けれども、拒絶するわけではなく、訪れた人を優しく包み込むような雰囲気があります。自然と心の緊張が解けていきます。

満ち潮とマジックアワーの時間帯が重なれば、フェリーや屋形船から大鳥居を見ることもできますよ。また、違った雰囲気の大鳥居と空の色のコラボレーションを満喫してみては。マジックアワーを待っている間は、宮島の“表参道商店街”で広島名物の焼き牡蠣やもみじまんじゅうなどを堪能していれば、あっという間にショータイムです。

汽水湖*（きすいこ）の宍道湖は、魚類が豊富でとくにシジミが有名ですよね。近くには、縁結び最強パワースポットの「出雲大社」があります。島根観光のラストに宍道湖のマジックアワーを体験するのもいいですね。湖に浮かぶ嫁ヶ島と空に浮かびあがる青とオレンジのグランデーションが非常にキレイな場所。穏やかに揺らぐ湖面が、景色にさらなる奥行き感を与えます。ただじっと見つめているだけで、心の穢れがなくなっていくようです。

*汽水湖…塩分をわずかに含む湖

湖に浮かぶ嫁ヶ島を入れたマジックアワーの光景をみるなら「宍道湖夕日テラス」がおすすめです。湖畔を歩く遊歩道が整備されているので、宍道湖から吹く風を感じながら散策を楽しめますよ。

九十九島は、200もの島々が点在する長崎県北西部の海域です。石岳展望台からの景色は、映画「ラストサムライ」の冒頭シーンで日本の代表的な風景として登場したのをご存じですか。マジックアワーになると黒い影として点在する島々と、いぶし銀色の静かにきらめく海面に落ちる光の筋がなんとも神秘的。そんな景色を自分の目でも見ることができたら、勇気をもらえることでしょう。

九十九島のパノラマ展望を見たいなら、展海峰（てんかいほう）がおすすめ。数ある展望台の中で一番海に近いから、九十九島と光の織りなす空のショータイムを十分に楽しめます。

古宇利島は、沖縄有数のデートスポット。古宇利島の伝説になぞられて“恋の島”ともいわれているんです。古宇利島のティーヌ浜には、ハートロックと呼ばれるハート型をした岩があります。マジックアワーの時間帯になると、このハートロックのシルエットと南国特有の茜色の空とが生み出す風景はとてもロマンチック。いつまでも見ていたくなる情景です。

古宇利島では、ゴール前後に美しい夕日を眺められる「古宇利島マジックアワーRUN」というランイベントが一定期間開催されます。古宇利島の観光スポットと美しい南国のマジックアワーを満喫できるという贅沢なイベントなんです。走るのが好きな人には、おすすめのイベントですね。

数十分しか鑑賞することができないマジックアワー。この美しい景色をいつまでもとって置きたいときっと思うはず。そんな時は、スマホで簡単に奇跡の時間を残しておきましょう。夕日を撮るのは難しいけど、マジックアワーはカメラ撮影するのに理想の光線量ですから綺麗に撮影しやすいのです。

最近のスマホのカメラ機能は、一眼レフに負けないほどの進化をしています。だから、スマホでも十分撮影が可能なんです。美しいグランデーションに染まる空にピントを合わせ、シャッターを切ればとびきりの1枚が撮れます。感動を形にできるって素晴らしいですね。

太陽が昇る前、そして沈んだ後に密かに繰り広げられる空の大スペクタクル。幻想的で神秘的な奇跡の美を前にしたら、まるで魔法にかかったかのように心が軽くなるはずです。最近、ちょっと疲れているかな、イライラするかも、彼氏とロマンチックな雰囲気になりたいなんていうときにはマジックアワーの美しい場所に出かけてみてはいかかでしょうか。