いつもと違う京都ひとり旅。あなただけの時を彩るおすすめ美術館7選

年間を通じて多くの人々が訪れる人気の観光地・京都。趣深い街巡りはひとり旅にもぴったりですよね。「八坂神社」や「銀閣寺」などの寺社を巡ったり、嵐山や鴨川で四季折々の自然に触れると、心がしっとり満たされていきます。でも、毎回同じような過ごし方になりがち…なんて思うことも。実は京都には、1300年という歴史と文化に触れられる美術館がたくさん！次の京都ひとり旅は、美術館巡りで新たな楽しみ方を見つけてみませんか？

美術館って美術品が見れるだけ、そう思っている方はちょっともったいないかも。建築デザインが美しかったり、併設されたオープンカフェのテラスで絶品料理が味わえたり。そして美術と言っても、染織やマンガ、美術に詳しくなくても楽しめる展示など、京都の美術館には魅力がさまざま。いつもと違う京都の楽しみ方を知れば、ひとり旅の選択肢がもっと広がりますよ。

「京都市京セラ美術館」は、地下鉄東山駅より徒歩約8分、2020年5月にリニューアルオープンしたばかりの美術館。元々は「京都市美術館」という名称で、1933年の開館以来多くの人から長く愛されてきました。レトロな建物は残したまま、ガラス張りの入口をはじめ現代的な意匠を新しく取り入れた“古くて新しい”デザインに、100年近く続く歴史を身体で感じることができます。

展示作品は、近代以降の京都美術がメインです。日本画・彫刻・工芸など、その内容は多岐にわたるので、見ごたえたっぷり。館内にはミュージアムショップやカフェも併設されている他、日本庭園や東山の山並みを一望できる「東山キューブテラス」というスペースもあります。美術で感性を刺激された後は、カフェやテラスでのリラックス時間を楽しんで。

この美術館は「岡崎公園」の中にあります。その一角を流れる岡崎疎水にも面しているため、春には疎水のほとりにソメイヨシノが咲き誇る光景も楽しめます。美術鑑賞の後は、気に入った作品を思い出しつつゆっくりとお散歩を。おしゃべりに夢中にならずに目の前の光景をしっかり堪能できるのも、ひとり旅ならではの時間です。

次にご紹介するのは「京都国立近代美術館」。東山駅から歩いて10分ほどで到着です。展示作品は絵画・写真・工芸・染織まで幅広く、収蔵数はなんと約12,000点で、特に工芸分野の作品が充実しています。北大路魯山人の陶器、昭和初期につくられた金工や漆工、思わず着てみたくなる優美な染織まで展示されています。展示作品が多くても、じっくり気兼ねなく見て周れるのがひとり旅の魅力。ぜひ心ゆくまで鑑賞してくださいね。

ロビーの大きな窓からは、春は桜、秋は紅葉など四季折々の自然が眺められます。ロビーの椅子に腰かけてゆっくりしたり、疎水沿いをのんびり歩いたりして、鑑賞後の余韻にしっとりと浸るのもいいですね。

建物は、琵琶湖疎水のすぐとなり。館内の疎水近くに併設されたカフェ「café de 505（カフェ ド ゴマルゴ）」には、嬉しいオープンテラス席があります。美術鑑賞の後、優しい風を感じながら店内自家製麺の生パスタを味わえば、仕事や家事のことなんてすっかり忘れられるはず。先ほどご紹介した「京都市京セラ美術館」からも近いので、ぜひセットで周ってそれぞれの魅力を楽しみましょう。

「福田美術館」は、嵐電の嵐山駅から徒歩4分ほどの場所にあります。自然豊かな嵐山で、2019年10月に開館しました。建物は、まるでそれ自体が美術作品のような美しい仕上がり。京町家のエッセンスを踏まえ、庭に設えられた水盤や外壁のガラスに描かれた網代文様など、そのこだわりは随所に。建物を眺めているだけでも心が洗われます。

こちらでは、江戸時代から近代までの日本画家の作品を1,500点収蔵しています。収集のコンセプトは、「たとえ美術に詳しくない方が見ても、感動を与えられるような作品」。横山大観『富士図』や竹内栖鳳『猛虎』などをはじめとする美しい作品に出合えば、これまで美術に関心がなかった方もきっとハマってしまうはず。

ミュージアムショップでは、普段使いできる可愛いアイテムが多く並びます。ひとり旅ではありますが、友人や恋人へのおみやげ選びに熱中するのも醍醐味の1つですね。施設内には人気カフェ「パンとエスプレッソと」も。大堰川や「渡月橋」、嵐山までを見渡せる180°のパノラマビューが楽しめます。無垢材をふんだんに使用した落ち着きある店内で、絶品の「パニーニセット」やパフェなどのスイーツをゆっくり味わいましょう。

「清水三年坂美術館」は、京都市バスの「清水道」と「東山安井」バス停から徒歩約7分。幕末や明治につくられた金工・彫刻・美術染織などの工芸品を常設展示する、日本初めての美術館です。収蔵品数は約10,000点。その中から約60点を展示し、年間を通じて全作品を公開できるように展示替えしています。

展示品はすべて、初代館長・村田理如さんのコレクション。幕末・明治時代の工芸品は、欧米では高く評価されるものの日本国内ではあまり重要視されておらず、海外への流出が進んでいました。村田さんはその事態を憂い、2000年に美術館を開館したそうです。細かなデザインが施された作品の数々は、その緻密さに驚くはず。美しい工芸品に心打たれた後は、アートショップでオリジナルグッズをぜひゲットしましょう。

職人たちが技術の限りを尽くした、絢爛豪華な展示品の数々。美しいティーセットで紅茶を楽しんでみたい、わびさびを感じる壺を寝室に置いたらどうなるだろう…自分の日常と繋げて鑑賞したら、あっという間に時間が過ぎてしまうはず。「清水三年坂美術館」があるのは清水寺のほど近く、三年坂です。さまざまなお店が軒を連ねるエリアなので、美術館で高まった「生活を美しいもので彩りたい」という気持ちは、通り沿いのお店で解消してくださいね♪

私たちはなぜだか、“大きいもの”に惹かれてしまうもの。古くは大仏、今日では「東京スカイツリー」など、その圧巻の光景は今も昔も人々を魅了し続けています。名画の陶板作品を、そんな魅惑の大きさで鑑賞できる世界で初めての屋外絵画庭園が「京都府立陶板名画の庭」。地下鉄北山駅から徒歩約1分という駅近な立地で、入園料はなんと100円！世界の名画がたった100円で鑑賞できるなんて、行かないわけにはいきませんね。

陶板とは、原画を陶製の板に転写する複製芸術の手法。陶器なので耐久性に優れており、屋外の展示が可能になっています。作品は全8作。モネの『睡蓮・春』は200㎝×1275㎝、ミケランジェロの『最後の審判』は1430㎝×1309㎝など、ほぼ実寸大の展示は圧巻の迫力。大きな作品でも、細部までじっくり鑑賞し尽くせるのはひとり旅ならでは。思う存分世界の名画に熱中しましょう。

施設の設計は安藤忠雄氏によるもの。水のきらめきや滝の音が醸し出す音や光で、絵画の表情が多彩に変化する様子を楽しめます。また、庭園の隣には、四季折々の草花が楽しめる「京都府立植物園」が。名画を堪能したら、植物園のオープンテラスのレストランでぜひ食事を。美味しいランチを食べながらスケールの大きい絵画に思いを馳せれば、「私の悩みはちっぽけだったかも」と思えるはずですよ。

JR京都線の山崎駅や阪急京都線の大山崎駅から徒歩約10分の「アサヒビール大山崎山荘美術館」。英国風の山荘を改築した美術館です。天王山ハイキングルートの途中にあるので、体力に不安な方は、駅からの無料送迎バスを利用してくださいね。

建物は大正から昭和初期の山荘を修復し、さらに安藤忠雄氏設計の新棟「地中の宝石箱」「夢の箱」が加わったレトロモダンな雰囲気です。山荘のかつての持ち主は、実業家である加賀正太郎氏。彼はニッカウイスキーの設立にも参画し、アサヒビールの初代社長の山本爲三郎氏とも親交がありました。この美術館の収蔵作品は、山本氏が寄贈した約1,000点で、モネ『睡蓮』の連作や民藝運動ゆかりの作品群が鑑賞できます。

美術品はもちろん、美しい調度品の数々や緑豊かな山崎の景色にも癒されるこの美術館。テラスからは、桂川・宇治川・木津川の三川が合流する雄大なパノラマも満喫できます。館内を巡ったら、2階の喫茶室でアサヒビールをいただくか、車で約8分の「サントリー山崎蒸溜所」まで足を伸ばしてウイスキーの試飲を楽しむか…鑑賞後の至福の一杯は、お好みのスタイルどうぞ♪

最後に紹介するのは、地下鉄烏丸御池駅から徒歩約2分の「京都国際マンガミュージアム」。こちらでは、約5万冊のマンガと約25万点のマンガ資料を配架しています。この写真は、「マンガの壁」と呼ばれる、3階建ての建物各階の蔵書棚。壁一面にマンガがずらっと並ぶ光景には、思わずわくわくしてしまいます♪

実はこちらの建物、廃校になった小学校の校舎を改築したもの。当時のまま残されている校長室にはアンティークの柱時計があり、各階を繋ぐ階段は重厚な石造りです。校庭は、ごろんと横になれる芝生。ふかふかな芝生の上で、昔好きだったマンガを読めば、芝生の感触と懐かしいマンガの一コマに、昔のあたたかな記憶が蘇るかも知れません。

小腹が空いたら、併設の「前田珈琲マンガミュージアム店」で、ローストビーフ丼や企画展とのコラボメニューなどをぜひ。壁面に描かれたマンガ家の直筆イラストも必見です。同行者に気を遣う必要がないひとり旅だからこそ、気兼ねなく童心に戻れますよ。一風変わったミュージアムで楽しめる、大人の休み時間をたっぷり堪能してくださいね。

疲れた心を癒してくれる、京都のひとり旅。いつもと違う旅を楽しむなら、日常ではなかなかお目にかかれない「美の結晶」を満喫できる美術館巡りへ。美しいものに触れ、時間を忘れて美術の世界にどっぷり浸れば、普段の旅とは一味違う感動に満たされます。ひとり旅を美しく彩る京都の美術館で、あなただけの特別な時を過ごしてくださいね。