築地で朝ごはん！ 場外市場、おすすめの朝食メニューがあるお店20選

東京都民の台所である築地市場。都内に11ある東京都中央卸売市場のなかでも最も古い歴史を持っており、取り扱っている水産物が約480種類、1日あたりの取引金額が16億1,100万円と水産物の取引高では世界最大級を誇っています。
もともと日本橋にあった魚市場と、京橋にあった青物市場が築地に移転して開場したのが昭和10年。以来80年以上にわたって、東京の食のみならず日本の食文化を長いあいだ支えてきました。
そんな築地市場ですが、2016年11月に豊洲への移転が予定されているのはみなさんもニュースなどでご存じですよね。

築地市場には「場内」と呼ばれるエリアと「場外」と呼ばれるエリアがあります。「場内」は卸売業者や仲卸業者、飲食店の料理人などが出入りをするプロのためのエリア。テレビでもおなじみの競りがおこなわれたり、たくさんの水産物を積んだトラックやターレットと呼ばれる小型特殊自動車が行き交ったりしていて、とても活気があります。

このようなプロのための「場内」ですが、一定のマナーを守れば一般客でも入場することが可能です。「場内」には市場関係者のための飲食店が軒を連ねており、早朝から腹をすかせた多くのひとでごったがえしています。

これに対して「場外」は一般消費者向けのお店が並んでいるエリアです。上野のアメ横と同じような場所と思っていただければまちがいないです。とはいえ、プロが業務用の買出しをするようなお店も多く、味や品質は折り紙付きです。
2016年11月の豊洲への移転後は、築地市場はすぐに解体されることになっています。野球場やサッカー場を併設したショッピングモールの計画などもあるそうですが、いずれにせよ解体されると「場内」の飲食店はすべて閉店か移転を余儀なくされるでしょう。これに対し、今回ご紹介する場外市場の店舗は文字通り「場外」にありますから、築地市場が閉場したあとも通うことができるんです。

このように今後も訪れることができる築地場外市場の飲食店ですが、実際に行く前に知っておきたい注意点がいくつかありますので目を通しておいてくださいね。

まず、営業日に注意です。場外の飲食店とはいえ、築地市場に来る客をメインのターゲットにしているのですから、基本的に市場がお休みの日曜、祝日、年末年始にはお休みの店が多いです。また、築地市場は水曜日が不定休でお休みの日が多く、それに合わせて水曜が定休のお店もあるので注意してください。せっかく出かけてガッカリすることのないように、webの店舗情報などで必ず確認するようにしてくださいね。

また、営業開始時間が早く、午前中のうちに店じまいする店舗もありますので、こちらも事前のチェックが大事です。あんまり早く行っても市場関係者たちの食事時間に重なってごった返していたりしますし、かといってなかには売り切れ次第閉店なんてお店もあるので、タイミングをよく見計らって出かけてくださいね。
さらに、お店によっては席数がめちゃくちゃ少ないところが当たり前にあるのも築地場外。カウンターのみ数席の人気店も少なくないので、混雑時には並ぶ覚悟をしていきましょう。

「おにぎり屋 丸豊」は日本の元祖ファストフード、おにぎりのお店です。このお店の開店時間はなんと深夜3時!! これからひと仕事という市場関係者のために、たくさんの種類のおにぎりを取りそろえています。具は、焼サバ、しじみ、あさり、おぼろたらこ、たこ飯など、いかにも魚河岸のおにぎり屋さんというラインナップ。どれにしようか迷っているうちに眠かった頭も冴えてきますよ。

半熟玉子が入った「ばくだん」もオススメ。テーブル席もあるので、座って食べることもできますよ。

築地場外に玉子焼きを専門にするお店は何軒かありますが、一番のオススメは早朝4時に開店するここ「つきぢ松露」。日本橋三越や銀座三越、東京駅のグランスタにも出店している名店です。

もともとはお寿司屋さんだったのですが、終戦直後のヤミ市で女将が焼いていた玉子焼きが評判となり、いまでは玉子焼き専門のお店になったのだそうです。出汁のきいたしっとり玉子焼きをぜひご賞味あれ。

同じく5時に開店する「幸軒」もラーメンが食べられるお店。でもここはラーメン以外の中華料理のメニューもあります。おすすめは、ウスターソースをつけて食べるジャンボ焼売。横浜のほうの焼売と比べると倍の大きさで、高さは4センチちかくあります。先代の店主がお客さんを喜ばせたいと考えた一品は口を大きく開けて豪快に召し上がってくださいね。

もっと食べたい方には、チャーシューと焼売の盛り合わせライスもありますよ。

6時にもなると、場外の飲食店はぽつぽつと開店しだしますが、まだお目当ての店が開店してなかったときは食べ歩きできる「うなぎの串焼き」で小腹を満たしてはいかがでしょうか。

「築地うなぎ食堂 にっしん太助」は焼き上がったうなぎ串や肝串、げそ串やほたて串などの海鮮串焼きを店頭で販売しています。奥にはカウンター席も11席あり、朝食をしっかり摂りたい派も安心です。

築地場外には意外とパン屋さんも多いです。そのなかでも開店が早いのがこのお店。

お総菜パンなどもありますが、やはり朝食パンと言えばクロワッサン！ このお店はクロワッサンに特に力を入れていて、ほんのりと塩気がきいている「あんこクロワッサン」は一番人気です。ほかにも「バタークロワッサン」「バニラクロワッサン」「チョコクロワッサン」などがあり、店内にはイートインスペースもあってゆっくりすることもできます。バラックのような外観とは裏腹に本格派のブーランジェリーです。

もっと本格的にモーニングコーヒーが飲みたくなったら、1960年から創業している「米本珈琲 本店」に向かいましょう。
朝6時から営業しているこちらの喫茶店は、香りの高いブレンドコーヒーを提供してくれますが、市場関係者には黒糖マキアートやマシュマロモカなどの甘いコーヒーも人気なのだそうですよ。やっぱり肉体を酷使すると、身体が甘いものを求めるんでしょうね。

トーストとゆで卵がついたモーニングセットも11時までありますよ。

「東都グリル」は築地場外のビルの地下1階にある定食屋さん。街で愛される定食屋さんの定番どおり、和洋中ひと通りのメニューが揃っていますが、やはり一番人気なのはテレビのランキング番組で1位を獲得したビーフシチュー定食です。熱々のビーフシチューの具材はやわらかお肉とほくほくポテト、そしてスパゲティ。これに味噌汁と白飯がついて、市場で働く男たちの胃袋をがっちりとつかんで放さないのです。

アルコールを朝から気兼ねなく飲めるのもうれしい限り！

7時になると、築地場外の飲食店の多くが目を覚まします。ということは、開店待ちで並ぶのが嫌なひとは7時をひとつの目安にして行くといいですね。

7時に開店するここ「きつねや」も築地場外屈指の行列店。まさに市場で働く人たちを支えてきた名店です。肉豆腐や牛丼などの「手早くかき込める」系のお店ですが、それは先々代が「周囲に魚料理の店が多いから肉を扱えば人が来る」と考えたからなのだそうです。その先見の明に脱帽です。

5席しかないカウンターに着席することができたら、牛のシロ（小腸）とフワ（肺）を使った「ホルモン丼」を食べてみてください。濃厚な八丁味噌ベースの汁にシロの脂とうま味が溶け出し、至福のひとときを味わうことができますよ。常連さんは「ホルモン丼」にしないであえて「ホルモン煮」と「ごはん」に「生卵」を注文し、卵かけご飯にホルモン煮をかけて召し上がるのだそうですよ。ぜひ真似をしてみてください。

「すし富」は7時から開店しているお寿司屋さん。マグロ専門仲卸の「鈴富」が直営でやっています。専門業者だけあって鉄火丼などのマグロを使ったメニューはどれも鮮度抜群なのですが、せっかくのお寿司屋さんなので丼モノではなく握りをいただきたいですね。

旬の天然魚にもこだわっているので、青魚や白身魚、貝類などの旨味ののった旬のネタを握りでいただくという最高の贅沢を味わっちゃいましょう！
日曜も10時からですが営業していますよ。

和麺好きのみなさんお待たせしました。7時になるとお蕎麦屋さんも開店します。
築地場外にあるこの「長生庵」は、通にはうれしいお酒も飲めるお蕎麦屋さん。魚河岸の近くという立地条件を活かして、海産物の天ぷらが豊富なのが特徴です。中でも牡蠣の天ぷらは身がふっくらとしていて、天ぷらの名店にも負けないクオリティーと評判です。

マグロのお造りや「ホタテのウニのせ刺し」など天ぷら以外の肴もあって、「新政」「臥龍梅」など蕎麦と相性の良い全国の銘酒が取りそろっていますから、朝食だけでなくぜひ夜にも訪れてみてくださいね。

築地駅から徒歩5分の「オリミネベーカーズ」も朝が早い築地のパン屋さん。2011年オープンの比較的歴史の浅いお店で、イーストや乳化剤などを使用しない現代的なベーカリーです。

築地という地の利をいかしたメニューとして「サバサンド」や「いいだこのフォカッチャ」「しらすのフォカッチャ」などもありますので、おみやげにも最適ですよ。

今回はいちおう朝食というくくりですが、朝のスイーツは脳の目覚めにもいいのでこちらもご紹介したいと思います。
「さのきや」は魚の形をした皮にあんこを包んだ和風スイーツを提供しているお店。そう聞くと「それってたい焼きでしょ！」と思われるかもしれませんが、こちらのお店のはたい焼きではなく「マグロ焼き」なのです。その証拠に、ほら、流線形をしているでしょう？

「さのきや」のメニューは小倉あんの「本マグロ」と小倉あんのほかに甘酸っぱいあんずを包んだ「中トロ」の2種類。ここでしか食べられない「マグロ焼き」をぜひ味わってみて！

場外というよりも築地駅の近くですが、こんなお店も朝早くから開店しています。渋谷「STREAMER COFFEE COMPANY」のオーナーバリスタだったラテアート世界チャンピオンの澤田洋史氏が監修した「Turret COFFEE」は、ラテアートも見事なエスプレッソを提供しています。エスプレッソのお供にカステラやどら焼きなどの和菓子を用意しているところが、築地らしいといえば築地らしいですよね。

ちなみに店名の「Turret」とは最初にご説明した築地場内を走る「ターレット」のこと。お店のロゴにも使われていて、地元に根ざしたエスプレッソバールを目指す心意気がうかがわれます。

和スイーツが食べられるお店が続きましたが、もっと本格的な甘味処を求めるならここ「天まめ」です。朝7時からやっている甘味処ってなかなかないと思います。

このお店でぜひとも食べたいのが、店名にもなっている「てんまめ」。神津島産の天草でつくった寒天に、ふっくらと煮た小豆、黒豆、赤えんどう豆などが添えられ、波照間産の黒砂糖を使用した黒蜜がかけられたこだわりのみつ豆。早朝から来て朝食を済ませたら、食後のデザートとして楽しみましょう！

7時半になると開店する鶏肉料理のお店。築地で鳥肉卸をしている「鳥藤」の直営店舗です。お店は場内にもあるのですが、こちらは場外にある店舗です。

鳥肉卸だけあって、鶏肉料理はどれも絶品。コラーゲンたっぷりの「水炊き定食」は塩ベースの優しい味で、築地で胃に優しい朝食を探しているひとにはぴったり。反対にガッツリ系を探しているひとには、「塩親子丼」や「チキンカツカレー」、希少部位の「ぼんじり丼」などがオススメですよ。

8時になると築地界隈ではもう朝の遅い時間と言えるのかもしれません。それでも銀座や京橋などの近場で働くひとにとってはまだまだ朝食の時間。

大正15年創業の「瀬川」は漬けマグロ丼の名店中の名店です。海苔をまぶした白飯の上に盛り込まれている漬けマグロには、刻み生姜、大葉、わさびが添えられていて食欲をそそります。本能のおもむくままにかき込めば「あぁ日本人でよかった」と感慨にふけること請け合いです。

メニューは「まぐろどんぶり」と「今だけどんぶり」のみ。マグロは基本赤身ですが、お店の仕入れ具合によってはトロが入る日もあるそうです。売切れ仕舞いのお店なので、早めに行って並ぶ価値はありますよ。

1杯に甘エビ50尾分のだしを凝縮した「海老そば」で市場関係者にも人気のラーメン店が「えび金」です。

甘エビの頭をじっくり煮込んで取り出したスープは濃厚なうま味と海の風味に満ちています。そんなスープに合うように、麺には煮出した後のだしガラを練り込み、麺とスープが最高のレベルで調和するように仕立てられています。

こちらも築地本願寺の向かいになりますが、おしゃれなレストランカフェで朝食を食べたいなら「築地テラス」がオススメです。

数種類あるモーニングメニューはスープやサンドイッチなどが中心。セットドリンクでコーヒーや野菜ジュースなどをチョイスして、出勤前のしばしののんびりした空気を味わうには最適のお店です。

9時というともう朝食には遅い時間かもしれませんが、まだまだ眠れる築地の名店が続々と目を覚まします。

9時半に開店する「鈴木水産」は「生うに定食」が大人気の超有名店。ここの「生うに定食」は小鉢に少量のうにが申し訳なさそうについてくるのではなくて、なんと箱盛り！ 一度でいいから箱うにを独り占めしたいという人間の欲望を、かくもあっさりと満たしてくれます。

このインパクトなら観光客に一番人気だというのも納得。築地ならではの新鮮な海鮮丼やお刺身定食もボリュームたっぷりですので、うにが苦手な方もぜひ訪れてみてくださいね。

「フォーシーズン」は7時半にオープンの喫茶店なのですが、ぜひとも食べてほしいスパゲティが9時半からの提供となるのでこちらに記載しました。いわゆる「ロメスパ」が名物で、マーガリンで炒めた昔ながらのスパゲティを味わうことができます。

焼きそばのソースで味付けした「焼きスパ」や懐かしの「ナポリタン」などにも食指が動きますが、はじめて訪れる場合にはテレビ番組でマツコ・デラックスさんも絶賛したという「和風スパ」をオーダーしてみてください。きれいに刻まれた大葉で表面を覆いつくした和風スパは、香ばしく炒められた醤油味がやみつきになります。

いかがでしたか？　築地場外という土地柄、水産物がおいしい名店が多いですが、それらを食べ飽きたプロ御用達のさまざまなジャンルのお店がありましたね。ぜひ早起きをして、市場の賑わいとともにおいしい朝食を味わってくださいね。