2022年10月05日
禅を通して自由におおらかに。京都観光で行きたい、おすすめ禅寺12選
仕事のこと、人間関係のこと…。ストレスとなって、日々心に蓄積されていくそんなもやもや。好きなものを気にせず食べたり、パーッとお買い物をしたりといった発散方法もいいですが、ありのままのしなやかな心の柱を取り戻すことで、なるべくストレスを感じずに過ごすことができるなら、それが一番ですよね。それが叶えられるのが、仏教の教えのひとつ「禅」を学ぶこと。今も変わらず多くの社寺が残る古都・京都には、臨済宗や曹洞宗をはじめ、禅宗の寺院がたくさんあります。そこで今回は、京都旅行におすすめの禅寺をご紹介します。
目次
仕事のことにプライベートのこと…。いろんなストレスが心の中に溜まっていくと、心身ともに疲れますよね。お買い物や食事などストレスの発散方法は色々ありますが、そんなふうに発散していると、際限がなくなってしまい、あまり気分よくは感じられないもの。ストレスになることもなるべく受け流せるような「心の柱」を築くことで、満ち足りた気持ちで毎日を過ごせたら、それが一番幸せですよね。
仏教の教えのひとつである「禅」。いまこのときに集中し、足るを知ることを学べる禅は、ストレスフルな日々を過ごすわたしたちが取り入れたい、先人たちによって築かれた教えです。現代人は「あれもほしい、これもほしい」と欲に支配されてしまいがちですが、本来、人生を幸せに生きる上で必要なものはそう多くはありません。欲から解放され、しなやかで自由な生来の姿を取り戻すことによって、自分自身も含めた万物への感謝の気持ちが自然に生まれる…、禅はそんな幸せな心の在り方を教えてくれます。
1000年の都・京都にはいまも数多の歴史ある社寺が残り、街を歩いているだけでいくつもの神社仏閣と出合うことができます。そんな京都だから、禅に触れられるお寺もたくさん。そこで今回は、京都にある格式の高い12の禅寺をピックアップして、その見どころをご紹介していきます。坐禅や写経、茶道を体験したり、見事な天井画や枯山水庭園に見惚れたりと、境内に流れる禅の精神に触れてみましょう。
赤レンガ造りのアーチが連なる「水路閣」もマスト。全長は約93.2m、高さは最大13mもの大きさで、琵琶湖の水を京都へ運ぶ「琵琶湖疏水事業」に伴って明治21(1888)年に造られたものです。境内に馴染む西洋風の近代建築はフォトスポットでもあり、アーチの中で写真を撮るのが人気ですよ。ちなみに琵琶湖疏水は現在も流れているので、水路閣の上まで上って水流に沿った道をゆっくり散策しても◎。
南禅寺の詳細情報
南禅寺
- 住所
- 京都府京都市左京区南禅寺福地町
- アクセス
- 1) JR京都駅から市バスで30分 2) 地下鉄東西線蹴上駅から徒歩で10分
- 営業時間
- 8:40〜17:00 [12月〜2月] 8:40〜16:30
- 定休日
- [12月28日〜12月31日]
- 料金
- 方丈庭園/大人 600円、高校生 500円、小中学生 400円 三門/大人 600円、高校生 500円、小中学生 400円 南禅院/ 大人 400円、高校生 350円、小中学生 250円
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方丈で襖絵を鑑賞しつつ、ひと休みは素晴らしい庭園の前で。本坊の「潮音庭(ちょうおんてい)」は回廊に囲まれた四角い庭園で、縁側で石や苔の美しさに癒されるひとときを過ごせます。ほかにも、丸・三角・四角の記号で作られた「〇△ロ乃庭」や、洗練された枯山水庭園「大雄苑」など、心が洗われるような美しい庭園を堪能できますよ。
建仁寺の詳細情報
東福寺は紅葉の名所でもあり、時期になると境内も渓谷も色とりどりに染まります。その多さは、渓谷に架かる3つの橋のうち、ひとつの橋の上から別の橋を眺めてみると、色鮮やかな葉っぱの勢いで橋が埋もれて見えなくなってしまうほど。境内にも赤や黄色の葉が降り積もり、紅葉の絨毯の中を歩く情感あふれるひとときを過ごせます。
東福寺の詳細情報
東福寺
- 住所
- 京都府京都市東山区本町十五丁目778
- アクセス
- 1) JR京都駅から市バスで15分 2) JR奈良線・京阪本線東福寺駅から徒歩で10分
- 営業時間
- [4月〜10月] 9:00〜16:00 (拝観受付終了は16:00、16:30に閉門) [11月〜12月上旬] 8:30〜16:00 (拝観受付終了は16:00、16:30に閉門) [12月上旬〜3月] 9:00〜15:30 (拝観受付終了は15:30、16:00に閉門)
- 料金
- 【通常期拝観料 (下記の秋季期間以外)】 通天橋・開山堂 大人:600円,小人:300円 東福寺本坊庭園(方丈)大人:500円,小人:300円 東福寺本坊庭園(方丈)、通天橋・開山堂 (共通拝観券) 大人:1,000円,小中学生:500円 【秋季拝観料:11月10日〜11月30日】 東福寺本坊庭園 (方丈) 大人:500円,小人:300円 通天橋・開山堂 大人:1,000円,小人:300円 東福寺本坊庭園(方丈)、 通天橋・開山堂(共通拝観券) 設定なし
京都五山で第一位にある「天龍寺」は、約700年前に夢窓国師が作庭した「曹源池庭園」の息を飲むような美しさを堪能できるお寺。嵐山や小倉山を借景として造られたこの庭園は、日本で最初に史跡・特別名勝となったことでも有名で、現在は世界遺産にも登録されています。境内にある天龍寺直営の「篩月(しげつ)」では、「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2022」掲載の精進料理もいただけますよ。
天龍寺の詳細情報
天龍寺
- 住所
- 京都府京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町68
- アクセス
- 1) JR京都駅から市バスで40分 2) JR嵯峨野線嵯峨嵐山駅から徒歩で13分
- 営業時間
- 8時30分〜17時 (受付終了16時50分) (庭園受付,北門受付)
- 料金
- 大人 500円 庭園参拝料(諸堂参拝は300円追加)
妙心寺の詳細情報
妙心寺
- 住所
- 京都府京都市右京区花園妙心寺町1
- アクセス
- 1) JR京都駅から市(バスで40分 2) JR嵯峨野線花園駅から徒歩で10分
- 営業時間
- [3月〜10月] 9:10〜16:40 20分間隔で拝観案内 12時〜13時は12時30分のみ [11月〜2月] 9:10〜15:40 20分間隔で拝観案内 12時〜13時は12時30分のみ
- 料金
- 大人 500円
臨済宗建仁寺派の「高台寺」は、豊臣秀吉の正室・北政所(ねね)が秀吉の供養のために建立したお寺です。境内に広がる庭園は国指定の史跡・名勝で、なだらかで優美なデザイン。創建当初から残る貴重な建物「開山堂」を中心にして2つの池がある池泉回遊式庭園で、小堀遠州が安土桃山時代に作庭したものです。こぢんまりとしていますが見どころが多く、やわらかな空気に心満たされるお寺ですよ。
こちらは開山堂から「霊屋(おたまや)」をつなぐ渡り廊下、「臥龍廊(がりょうろう)」。ねねが雨に濡れずに行き来できるように屋根が付いていて、その名の通り龍の背中がうねっているような見事なしつらえです。反対側の廊下には、ねねが秀吉を想って月を見ていた「観月台」があり、特に紅葉の季節は美しい木々をうっとり眺められますよ。
方丈前庭にある「波心庭」は、白砂や砂紋の立体感と、大きな1本のしだれ桜で構成されているシンプルな枯山水庭園。きっちり描かれた白砂の繊細さが際立つ庭園で、無駄を排した禅の心が感じられる造りです。こちらも国指定の名勝で、時期によっては色とりどりの砂を使ったカラフルで独創的なお庭を見ることもできますよ。
高台寺の詳細情報
高台寺
- 住所
- 京都府京都市東山区高台寺下河原町526
- アクセス
- バス停「東山安井」から徒歩7分
- 営業時間
- 9:00〜17:30 (17:00受付終了) ライトアップ ※特別期間のみ 日没後点灯〜22:00 (21:30受付終了)
法輪寺 (だるま寺)の詳細情報
臨済宗妙心寺派の「龍安寺」と言えば、世界遺産の「石庭」。白砂に15の石が配された美しい庭で、心のざわつきが収まるような静謐さを湛えています。奥行きを出す傾斜や縦横の黄金比など計算された造りでありながら、作者も作庭時期も作成意図も不明。さらには、土塀の用意周到な造りや謎の氏名が刻印された石、どの角度から見ても14個しか石が見えない…など、さまざまな謎を抱いた高い神秘性も魅力です。
石庭と並んで有名なのが、「方丈」の裏手にある「蹲踞(つくばい)」。真ん中の四角を口に見立てて、四方に刻まれた文字を合わせると「吾唯足知」と読めるようになっています。これは「今あるものに満足して、不平不満を持たず現状に感謝する」という意味で、人間の欲深さを戒める禅の思想のひとつ。美しい竹筒から水が流れ続ける姿からも、万物の流転がもたらす自由な精神を感じられます。
龍安寺の詳細情報
春と秋の特別公開時には、法堂で狩野光信が描いた天井画「蟠龍図(ばんりゅうず)」を鑑賞できます。相国寺の法堂は天井がドーム型になっていて、天井画は遠近法で描かれているのだそう。法堂の中央辺りで手を叩くと、龍の鳴き声のような反響音が返ってくることから、「鳴き龍」とも呼ばれています。龍の真下でパン!と手を叩いて、龍の鳴き声を聞いてみましょう。
相国寺の「方丈」の庭園は、表と裏でガラッと趣が変わります。禅の「無」の表現とも言われている表側は、白砂のみの潔い美しさ。真っ白な砂に太陽光が反射して、建物をキレイに見せる効果もあるそうですよ。対して、裏側の「裏方丈庭園」は京都市指定の名勝で、風情ある苔庭を堪能できます。相国寺の方丈・法堂・開山堂は春と秋の特別公開のときだけ拝観できるので、タイミングを合わせて訪れてみてくださいね。
相国寺の詳細情報
相国寺
- 住所
- 京都府京都市上京区相国寺門前町701
- アクセス
- 地下鉄烏丸線今出川駅から徒歩で8分
- 営業時間
- 10:00〜16:00
- 料金
- 大人 800円 春・秋期特別拝観期間中のみ拝観可(春:法堂・方丈・浴室、秋:法堂・方丈・開山堂)一般800円
臨済宗大徳寺派の大本山「大徳寺」は、20以上の塔頭寺院を擁するお寺。禅宗の建築様式に従って、主要の大きな伽藍がほぼ一直線に並んでいるところが特徴です。写真の「勅使門」の真後ろに朱色の「三門」があり、「仏殿」「法堂」と4つの重要文化財が並ぶ姿は見物ですよ。春や秋の特別公開では、いくつかの塔頭寺院、国宝の方丈や唐門を含む「本坊」、狩野派の障壁画など貴重な史料が一般公開されます。
立ち並ぶ塔頭寺院への参道や門庭の美しさも、大徳寺の大きな魅力のひとつ。写真は「高桐院」の参道で、秋には赤や黄色の紅葉が舞い散る道を歩けます。大徳寺は茶の湯文化とも結びつきが強いので、各寺院でお抹茶を振る舞っていたり、特別公開時にお茶会がいっしょに開催されたりすることもあるのでチェックしてみてくださいね。
大徳寺の詳細情報
宇治川のほとりに佇む「興聖寺」は道元が開いた日本で最古の曹洞宗の寺院で、のちに淀藩主・永井尚政が再興したものです。中国建築を思わせる「山門」が印象的で、門の入口を額縁として紅葉や新緑の美しい写真を撮ることもできますよ。境内やお庭は、茶人でもあった永井尚政による「枯淡閑寂」を感じられる造り。落ち着いた雰囲気でゆっくり巡ることができて、静かに禅の精神に触れられますよ。
山門までは、およそ200mの「琴坂」を歩いて向かいます。谷川の水音が琴の音色に聴こえる、通り全体が琴の形のように見えるなど、名前の由来まで風情たっぷり。山門まで真っ直ぐ続いている坂は、新緑や紅葉など季節によって心が洗われるような美しさが広がり、境内に行くまでの間も癒しの瞬間が待っています。
広々とした「大書院」では、禅僧が点ててくれるお抹茶とお菓子でひと休みできます。ノイズの多い日常から離れて、石塔と池のある庭園を前に静かにお茶をいただくひととき…。腰を落ち着けてリフレッシュしたら、大黒天・毘沙門天・弁才天の3つの顔をもつ「三面大黒天」や「聖観音菩薩立像」が保管されている「宝物殿」も巡ってみましょう。
興聖寺の詳細情報
黄檗宗の大本山「萬福寺」は、中国明朝様式で建てられたもの。日本の寺院では見られない珍しい建築様式や意匠だらけで、異世界に迷い込んだような体験ができますよ。開創は木魚を日本に伝えた中国の高僧・隠元禅師で、入口となる重要文化財の「総門」は威厳の感じられる美しい造り。屋根には、インド神話に出てくる怪魚・摩伽羅(まから)が飾られています。
黄檗山萬福寺の詳細情報
黄檗山萬福寺
- 住所
- 京都府宇治市五ケ庄三番割34
- アクセス
- その他 ◆JR奈良線「黄檗」駅、または京阪宇治線「黄檗」駅下車、徒歩5分◆京滋バイパスの滋賀方面からは「宇治東」ICから5分、大阪方面からは「宇治西」ICから10分
- 料金
- 【料金】 大人: 500円 大学生・高校生500円、 中学生・小学生300円
【穴場も】京都でもお寺や神社はまったり拝観できる。京都市外のおすすめ神社仏閣8選
数多の神社仏閣に四季折々の自然、美味しいグルメと魅力あふれる古都「京都」は、国内でも屈指の人気観光地。だから年中いつ訪れても人が多く、心身ともに疲れてしまうことも多いと思います。自分のペースでゆっくり拝観できたらなあ…と感じているあなたにおすすめなのが、京都市外の神社仏閣へ足を延ばしてみること。市外にも「平等院」をはじめ、花手水発祥の「楊谷寺」や縁結びのパワースポット「出雲大神宮」など見どころはたくさんあります。市内の人気スポット以外も巡って、あなただけの京都の思い出を作りましょ。
▷京都市外の社寺も巡って、マイペースに過ごしましょ
ホテル選びも「SDGs」に注目。京都のおしゃれでサステナブルなホテル7選
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▷美しい地球を未来に届けたいなら、ホテル選びは「サステナブル」を大切に
禅寺で感じられる美しさは、日本独自の美意識「侘び寂び」によるもの。その落ち着いた静かな佇まいは、傷つきながら生き続けるわたしたちの不安定な心に、そっと気づきを与えてくれます。「何かが足りない…」と常に掻き立てられる日常から離れて、禅の教えをふわりと身に付けて帰りましょう。